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映画評 男はつらいよ お帰り寅さん

父親が寅さんが大好きで、テレビで映画が放映されると、必ずオンタイムで見るか、録画していた。いま見ると、当時も少しは感じていたが、「ダメな人」なのだが、ついついそのダメさに笑ってしまうのは、寅さんの魅力なのだと感じる。

寅さんは、95年の作品が最後で、その翌年に演じていた渥美清亡亡くなっているので、寅さんの終わりは描かれていない。ちなみに映画製作の前にテレビの連続ドラマで放映されたときに、寅さんはハブでかまれて死んだ話になっている。

「お帰り寅さん」は、吉岡秀隆演じるおいの満男の視点から描かれ、折々に昔の映画のシーンが、思い出話の形で差し挟まれている。ただ、寅さんの思い出話は出てくるが、亡くなったという表現や経緯は一切出てこない。それは、柴又のおじちゃん、おばちゃん、タコ社長もそうで、博やさくら夫妻、タコ社長の娘にすっかり代替わりした様子となっている。ここはあえて、登場人物、あるいは見る側に、「過去の人」にせず、今も各人の残像に生き続けるようにしたい山田洋次監督の思いなのかもしれない。

にしても、いまは気軽に映画作品が見られるのはうれしい。2時間くらいの作品が一気見できる。素敵な時代である。

#映画 #男はつらいよ #寅さん