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書評 成長の臨界 河野龍太郎


著者はエコノミストとして、経済雑誌で人気エコノミスト・アナリストで首位を獲得し、市場で評価される存在。同書を読んでみて、この評価も納得できる。同書のコンセプトは、現在問題になっているさまざまな事象について、考察を示す。とにかく、経済だけにとどまらず、政治、心理学、社会学、歴史といった広い視点に立ちながら、さまざまな学者の知見も引用しながら、考察を示している点が、同書の一番の魅力である。著者は定期的に勉強会を開催しており、そのなかで培われたネットワークも、同書の見方に反映されている。

いくつか面白い視点が示されているが、従来のような合理的な代表的個人を前提にした経済学の考え方では、とらえきれない事象が表れているとの認識のもと、前述したように幅広い知見から、見方が示されている。米中関係、日本の金融政策、国債管理、通貨政策など多岐にわたり、目からうろこが落ちるような見方が示されている。ただ、環境問題に関しては、地球温暖化防止の観点から、割と通俗的な見方がされ、原子力発電再稼働といった問題にあまり触れられていないのが残念な感じがした。

#書評 #経済学 #河野龍太郎