書評 邪悪に堕ちたGAFA ラナ・フォルーハー
グーグル(Google)、アップル(Apple)、Facebook(フェイスブック)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取って、米国の大手IT企業を「GAFA」と呼び、4社が世間に与える影響について、語られるようになってから久しい。4社が事実上、市場を独占し、利便性が大幅に向上した一方、弊害が語られることも多くなった。2000年代の初めのころは、「ウェブが世界を変える」といった言説が梅田望夫氏あたりが、まき散らしていたが、前澤友作氏の広告をめぐるFacebook改めメタの対応や、グーグル八分と呼ばれる検閲に対する指摘など、最近は弊害が指摘されることが多い。
同書は一時は、Googleへの転職も検討したというジャーナリストが、その負の側面について、まとめ上げた1冊。負の側面として、まとめている5点が下記である。
・ユーザー無視の「広告ビジネスモデル」
・イノベーションを阻害する「市場の独占」
・個人情報を駆使した「監視資本主義」の脅威
・合法的で巧妙な「税や法、規制の回避」
・金満ロビー活動による「知らぬ間の支配」
著者の子供が、知らぬ間に多額の課金費用が掛かっていた話や、前述した転職時の話など、個人的なGAFAをめぐるエピソードから、GAFAのロビー活動の実態、中国におけるビジネスの問題など、マクロ的な視点へと詳細に問題点を抽出する。かといって、GAFAを否定するわけではなく、いまは独占的となっている物を、どのように社会やわれわれに還元していくかまでを示している。出版されたのが2020年前ということで、ややタイムラグがあるかもしれないが、いまでもGAFAの現状、今後を考えるうえで有効な1冊。