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個の時代に宝塚が続く道

七海ひろきさんがYouTubeにて、生の声を発してくださったことで考えたことをまとめます。事務所の方針もありますので、他のOGもコメントするべきだとは一切思っていません。
肯定し過ぎてないつもりですが、今回は理性ではなく感情で書いてます。

現代は個人の時代であり、学校・企業・地域といった所属意識は希薄になっています。
所属している組織がアイデンティティなんて、誰もがドン引き。誇りに思っているだけで、冷めた目でみられる古臭い価値観です。
「学校であり企業であり地域」という所属意識の塊な宝塚は、既に一般社会の感覚からはだいぶ離れたところにいます。

宝塚歌劇団は卒業前提でありながら、宝塚を越えることを奨励されていません。元々嫁入り前提だったため女優などで成功するより、よき宝塚OGである方が重要視される傾向にあります。
そこがAKB48などアイドルとの違いであり、若いタカラジェンヌが将来を憂いてしまう要因かもしれません。

入団当初から抜擢されるようなバック(後ろ楯)の強い生徒以外、中卒~高卒として仕事を探すことになるリスクも背負っています。
転落死があった当初は「タカラジェンヌなら何でも出来るのに」といわれてましたが、現代の社会不安を考えれば楽観的過ぎるでしょう。

一方、キャンセルカルチャーに代表されるような「正義中毒」は、所属という安心を失った現代人だから強まったとも言われます。自分を「正しい側」にしたいがために、悪と決めたら徹底的に叩く。今回の件でも多く見られます。

宝塚では以前から、歌やダンスに「正しさ」を求めてしまうファンも気になっていました。「正しく上手い」ことを優先するあまり、試合を見ているような気分になります。

芸術のスポーツ化は、本来芸術が持っていた自由さを失わせています。
歌やダンスの数値的なレベルを求めすぎた結果、実力派と言われるスターも耐えられなくなるほど負担が重くなりすぎている。既に宝塚側も認めています。

またトップスターに顔や持ち味、得意分野などのタイプまで合わせ出しました。
「正しいスター」まで規定してしまっているのです。
つまり個性はトップスターとの違い=間違いと言っているようなもの。

昔からトップスターによって組が変わってはいましたが「トップスターに無い持ち味を2番手男役やトップ娘役が出し、お互いを引き立て合う」のが基本でした。
だからこそファンが別れ、世代交代が出来ていたと感じます。
しかし今はトップスターのファンが叩かなそうなスターで固めるのが優先され、出る杭は打たれるどころか最初から外している状態です。

以上の息苦しさは、特に若いタカラジェンヌにとって負担でしょう。しかし、時代遅れや逆行しているから起こった訳ではありません。
むしろ表裏一体の現代病です。

個人の時代になるほど、個は型にはまりたがります。
逆にガッチリ固める組織集団の中だと、そこからはみ出そうと個性を発揮したくなります。
一方の方向性に時代が進む時、反動もセットで来るのです。
個人の時代だから個らしくすれば、むしろ組織的な型にはまりたい気持ちが強まるのではと思います。

宝塚をよく知らないまま批判している中には、現代が失った帰属意識、それに伴う安心感や結束力への羨望がみえるものもあります。
もっといえば旧ジャニーズ、歌舞伎、日大アメフト部は刑法に触れます。しかし宝塚はこれほど騒がれても、加害者とされる生徒の逮捕には至っていません。
それなのに同等のように語られるのには「女性の罪は男性より重い」という女性蔑視も感じています。

これを利用し遺族弁護士は、世論やイメージ戦略を重視しているようです。正直、自分の実績プロデュースに利用しているんだと感じます。
遺族は爆弾を抱えているからです。
まず1つ目は、劇団が本気を出せば「102期を含めた娘達の加害」をいくらでも証言させることが出来ます。

2つ目は、遺族が明らかに文春のリーク元なことです。文春に載った母親とのLINEが遺族が提出したものと同じなのは、もう隠す気がないのでしょう。
文春は外部漏らしをしないようなので、最初のリーク元は断定出来ません。
しかし「親に愚痴った内容が文春砲になった」のは事実です。

遺族が特定の宙組上級生を執拗に攻撃するのは、死を選ぶほど苦しんだ本題から目を背けたい表れにみえます。
しかしそうだとしてもバレないようにするのが弁護士であり、今の遺族弁護士が本当に遺族のために行動しているとは思えません。
また宝塚歌劇団もそこを攻めません。
遺族が黙る手段はいくらでもあるのに、やり返さず穏便に済ませようとしています。見通しも甘いですが、対応も甘いなと感じています。

誠意を示すのは必要です。
しかし過重労働は直していくといっていますし、厳しい指導も元々過渡期でした。何年~何十年スパンで考えるようなことなのです。
それなのに私刑が行われ、加害者として攻撃され続けている生徒の移動が取り止めになりました。客観的にトップ娘役への妨害が成功したように見えます。
文春が採用しなくても簡単にネットに流せる現代において、かなり危険な状態です。

告発者が「退団しないで」と思う、火の粉を浴びせたくなかった生徒が自ら責任を負う……警察を介入させずに解決しそうな道はそれぐらいです。
誰もが「私刑目的の告発は止めた方がいい」となる終着点に持っていくことが必須なのです。

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