ヘアアイロン記事でSNS推し活を止めてる話
25歳娘役が転落死した件の合意書が締結し、人気振付師の決別も出た。事件の幕引きは、余波の始まりなのか。
合意書は否定していた内容を、ほぼそのまま受け入れたような極端さである。劇団と弁護士が行っていたのは、主張を通し受け入れさせる勝負だったのか。ほぼ0対100な勝敗より、その事実に複雑なままでいる。
一方「宝塚GRAPH2023年11月号掲載記事について」も公式HPに掲載された。インタビューは故人が急逝する前に実施されたが、訂正や発刊中止等するべきだったと謝罪をしている。
現実的に急遽訂正や出版差し止めとなると、関係者の過重労働は免れない。「遺族の精神的被害を軽減するために、他人へ過重労働を課す」という矛盾を押し通せてしまった。
ヘアアイロン事件が週刊文春に掲載された当時は、全否定されていた。自死を知るまで、むしろ遺族が訴え出るまで「故人も文春を嫌がっている」と思っていた。GRAPH記事がパワハラになるには、関連会社含めた宝塚中で「故人がリークした文春砲」と認識している前提がある。しかしその状況で死を選んだなら、上級生の指導が原因というのは無理がある……遺族も文春との繋がりについて秘匿し続けているので、後味の悪い「合意」である。
ただもし亡くなっていなかったとしても、見ていて気持ちの良い記事ではなかった。文春への対抗心を剥き出しにし、基本的な配慮や倫理より優先していたからだ。
経緯をみるにインタビュアーとの会話から、抜き取り編集を行った人間の意図が反映されたらしい。その要因にSNSの影響を感じる。
本件加害者は、丸顔で童顔ながら背が高い。気の強い役が似合う娘役である。
今時の自立系娘役ながら、反抗期の少女のような持ち味ともいえる。
そのような娘役を好む人の傾向なのか、SNSでも好戦的なタイプが目立つ。
成績上位で実力派という時代の後押しもあり「ファンが怖いタイプのタカラジェンヌ」なのだ。
編集者が元々そのタイプだったのかは不明だが、市場調査はしているはずである。
つまり「ファンが喜びそうな書き方」をした結果、謝罪を引き起こすまでに至った可能性が高い。
今回の経緯説明でより確信したが、掲載当時からなんとなく思ってはいた。
アメブロや旧Twitterの流し見ぐらいだが「書いちゃえ!」「事実無根なんだし堂々と!」なスタンスのファン層、と納得してしまったのだ。
だからこそ編集側が掲載を決めた気持ちも理解してしまう。これこそがSNSの恐ろしさである。
SNSのプロフィールに贔屓や推しを並べる人も多い。なんとなく見た情報が積み重なり「◯◯ファンはこんな人」と、スター本人のイメージにも定着していく。
タカラジェンヌとファンの距離感はそれなりに近く、性格が合わないとファンを続けにくい傾向はある。ファンがスターの鏡というのは間違いではないが、自分に無いものを求めるパターンの方が多い印象だ。
しかしSNSに関していえば、スターのイメージを強烈にしたようなアカウントが指示を得やすい。結果的に影響力を持つように思う。
本件は一見ポジティブで前向きな行動が、無神経で非道となる可能性を思い知らせた。
何がどう転ぶか分からないからこそ、SNSで特定の人物を応援するのは恐ろしくなっている。
とりあえず宝塚は見続けているものの、しばらくは遠巻きぐらいがフラットになれていいかもしれない。
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