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【超短編】誰にも明かされない、誰も知ることのない3人の関係性のお話

「ほんま、2人して優しすぎる兄妹やな。もっと罵倒してくれたり、兄貴からぶん殴られたりしてもおかしないってのに…なんやろな」

「フラれたとしたら、一般的にはフった方が悪者になっちゃいますけど、今回のはどちらも悪くないですもん。私は誰も悪者にしたくないですし、そもそもこの結果は誰も悪くないです。誰がなんて言おうと、私達が互いを思いやって決めたことだし」

「なんか、最近のドラマでも似たようなセリフ言ってたな、受け売りか?」

「んー、違わないけどそのままの受け売りじゃないよ、私の心をうまいこと言い当ててるなと思ったから拝借しただけ」

「つーわけで、どうなの、兄貴としては」

「…当事者がそういうのなら、俺は何も言わないっす。もちろん、何も思いませんどうでもいいですって訳ではないですけど…妹が決めたことなら、兄として尊重します」

「全く…俺ん立場あらへんやんか」

「まぁ、これは俺の本心なんで。前々からちょっと話は聞いてたんで覚悟してたというか、シュミレーションもしてましたし」

「この3年が時間の無駄だったなんて1ミリも思ってないですからね。この環境で1人で生きていける保証なんてなかったし、実際沢山助けてもらって守ってもらいました。こうして兄とまた会えたのも、1人では絶対叶わなかったと思います」

「……あれ、泣いてます?」

「…やかましいわ、こっち見んなや…」

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