寡黙な死骸 みだらな弔い
20160728
久しぶりの読書に、久しぶりの衝撃というか、感動というか…そんな簡単な言葉では片付けられない程の、流石の小川洋子ワールドに、
上手く表現出来ないけれど、私の頭の中をグルグルと回り続けている無駄でしかない下らない思考や悩みや苛立ちが全て消え去った。笑
小川洋子風に感想を述べると、
考える隙を与えてくれない程に完璧に創り上げられた彼女の世界の中に私の思考回路なんて全く意味を果たしていなくて、
ただ、目の前に広がった鮮やかな灰色の情景に、ただただ、溶け込んでいくほかに為す術がなかった。
笑。
「寡黙な死骸 みだらな弔い」。
短篇集なんだけど、全てのお話しに繋がりや伏線があって、並行世界の中で必ず誰かが事故で、事件で、死ぬ。(もしくは既に死んでいる)
この間からちまちま読み進めていて、なんだこれおもしれーぞってずっと「早く読破して感想をどこかに書き殴りたい!」と思っていたんだけども、読み終えた今わたしの心はぽっかりと大きな穴が空いてしまい、放心状態でございます。
サイコでホラーでサスペンスで、後味が悪くて不気味でグロテスクなのに、悲しくて哀れでみすぼらしくて、切ない。
少しでも気を緩めてしまえば、簡単に涙が出てきそう。
これぞ小川洋子と唸りをあげたくなるほどの気持ちの悪さでした。(褒めてる)
彼女の作品はどれも、いつもどこかに死の匂いが漂っていて、気が抜けない。のに、あまりにも綺麗で静かで淡々と流れる清流のような言葉選びにリラックスして読み進めることが出来て、人が人を殺める描写でさえ美しく思えてしまう。笑
静かな興奮が冷めやらないうちに、どこかに残したくて。