1−1 現在の女性アイドルについて

 まず、日本の「アイドル」の諸相についてまとめておこう。現在のアイドル業界では、様々なアイドルグループが次々と誕生しては消えていくを繰り返しており、2010年頃から雑誌やネットで「アイドル戦国時代」という言葉が誕生・使用されている。AKB48グループや坂道グループをはじめ、昨今の音楽シーンの一翼を女性アイドルが担っていると言っても過言ではない。メジャーのみならず、地方密着グループや独特なコンセプトを持ったグループなど、その裾野はどんどん広がり、細分化している。また、「アイドル戦国時代」と言われ出した2010年に始まった、アイドルが多く出演する大規模なフェスである「TOKYO IDOL FESTIVAL」(通称:TIF)は2019年現在も続いている。2018年には8月に3日間開催され、総勢200組を超えるアイドル・アイドルグループが出演、総来場者数は8万1000人を記録し、女性アイドルの勢いは加速しているように見える。


 TIFのような大規模なイベントのみならず、地上波の歌番組でも女性アイドルは活躍している。その中でも、秋元康が総合プロデュースを行っているAKBグループや坂道グループは大きな影響をもたらしているのではないだろうか。2018年12月には13周年を迎え、長い歴史を築いてきたAKB48を筆頭とする48グループは国内に6グループ(メンバーがおらず、実質解散状態のSDN48は除く)、国外に9グループと大規模であることがわかる。また、AKB48の公式ライバルとして誕生した乃木坂46も、近年では人気に拍車をかけ、2018年の年間写真集ランキングでは「乃木坂46写真集 乃木撮 VOL.01」が1位、楽曲ではシングルを発売するとオリコン1位を連続で出し、2017年には「インフルエンサー」で、2018年には「シンクロニシティ」で日本レコード大賞を受賞している。その乃木坂46の妹分としてデビューした欅坂46もデビューした2016年には初の紅白出場を成し遂げ、以降3年連続で出場している。また、大賞は逃しているものの2017年には「風に吹かれても」で、2018年には「アンビバレント」でレコード大賞優秀作品賞を受賞している。2018年の年間写真集ランキングでは、長濱ねるの「ここから」が2位、菅井友香の「フィアンセ」が5位、今泉佑唯の「誰も知らない私」が6位に入っており、この年11月には1期生21人全員での、最初で最後の写真集となった「21人の未完成」が、発売前に重版が決定し累計20万部をすでに突破している。そして、欅坂46のアンダーグループのような位置付けにあったけやき坂46(ひらがなけやき)のグループ独立、日向坂(ひなたざか)46改名、シングルデビューが決定し、46グループの勢いは止まらない。


そして、秋元康プロデュース以外にも活躍する女性アイドルグループは多い。平成前半〜現在にかけて、根強い人気を持つモーニング娘。をはじめとしたハロープロジェクト系列や、パワフルなパフォーマンスが人気を博すももいろクローバーZ。その妹分として名古屋在住のメンバーで構成され活躍しているチームしゃちほこは2018年にTEAM SHACHIに改名した。他にも多くのアイドルがいるが、メジャーなアイドルとしてこの4系列をここでは紹介する。


2019年1月に公開された、LINE利用者の中の、620588人の回答を集計した人気女性アイドルランキングはこのような結果になっている。


(URL:http://survey-blog.line.me/ja/archives/36070617.html)


乃木坂46・欅坂46の坂道グループが上位に入っている。また、AKB48もランクインしており、勢いは留まることを知らない。PerfumeやももいろクローバーZ、E-girlsといった国内のグループのみならず、TWICE、少女時代といった韓国で誕生したグループも支持を集めている。また、10代のみのランキング集計結果も見てみる。

(URL: http://survey-blog.line.me/ja/archives/36070617.html)

総合ランキングでは4位に入っていた欅坂46が10代男子では2位、女子では1位に入っており、若者に支持されていることがわかる。ここで、欅坂46を支持する人々の男女比率・年代比率のグラフを見てみる。


(URL: http://survey-blog.line.me/ja/archives/36070617.html)


男女比率は男性が52.3%、女性が47.7%とやや男性が多いものの、ほぼ半々とも言えるのではないだろうか。年代比率は20代が25.0%と1番高く、続いて、30代、40代、10代と幅広い年代から支持されていることがわかる。これを同じ坂道グループである乃木坂46と比較してみる。


(URL: http://survey-blog.line.me/ja/archives/36070617.html)


乃木坂46は男性の方が支持率が高く、支持している年代も欅坂46と比較して年齢層が少し高いことがわかる。
 以上、現在活躍している女性アイドルを概観した。次のセクションでは本節で特に幅広い年代に支持されており、本論文で研究対象とする欅坂46について検討する。

【参考資料】
http://survey-blog.line.me/ja/archives/36070617.html
https://www.fujitv.co.jp/events/concert/tif/index.html
https://www.oricon.co.jp/confidence/special/52166/16/
https://www.oricon.co.jp/confidence/special/52166/16/