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遅延

交換日記をまわすのがとんでもなく遅くなってしまった。ごめーん。
謝りつつも本当に失礼な話をしますけど、「ごめーん」と私は誰かに謝るたびに、脳内のジョイマン高木が「まことにすいまめーん」と合いの手を入れてくる。絶対に口には出しませんけど。そういうのみんなあると思う。

ぱくえみさんからのお題「通勤通学などのBGM」
曲もそうだ。
あの時のこの場所を通るとその時に聴いていた曲が脳内に流れ出す、というのがあると思う。
私は就活中にとにかく元気を出すために、何十回何百回と聴いた曲がある。
真面目な就活生だった私は、東京まで一体何往復夜行バスで通ったのだろう。
スマホも持っていないあの時代、慣れない都会の電車を乗り継ぎ、歩き、バスに乗り、いま考えると、よく頑張っていたなぁ、とひとごとのように思う。
当時の私はというと、ただ楽しんでいた。たしかその頃付き合っていた人にプレゼントしてもらったiPod(某お菓子の、白い恋人みたいな形の)で、音楽を聴いて電車に乗っている自分に酔っていた。就活の合間に舞浜のボンボヤージュまで行って、大好きなディズニーの雰囲気を感じに行ったこともある。ひとりで。皇居周辺で空き時間にベンチで読書する自分に酔っていたこともある。気になるなんとか展があれば百貨店まで見に行ったこともある。私は、就活というより「東京慣れてますごっこ」遊びをしていたのだ。
結局足繁く通ったものの、いや、通ったおかげで「私が生活するのは"東京"じゃない」と自己分析ができ、本社東京、勤務地地元、というなかなかお気に入りで、約7年続いた生活に落ち着いた。
さてそれでは聴いてください。そんな「東京慣れてますごっこ」の最中に私の耳に常に流れていた曲、
The Black Eyed Peasの「I Gotta Feeling」!!
脳内だけでもパーティーモードで無敵になれるので、鬱屈した日々に取り入れるのはおすすめ。
先日ラジオで流れたこの曲に、喜んで反応していると、夫から「なんか意外」というようなことを言われたのだが、たしかに普段JAZZとか落ち着いたBGMを好む私には意外な曲かもしれない。そうだよ。東京で自分に酔うためには、普段のBGMではだめなんだよ。

文フリ岩手9に関する日記
岩手に行った。子どもふたりをワンオペで連れ、移動時間に半日費やして新幹線で行った。タブレットに動画をかき集め、ふた口イヤホンジャックで子ども用のヘッドホンふたつをつければ、そこはもう「家のソファ」と言っても過言ではない。飛行機で、離陸着陸のタイミングにテーブルをしまわなければならない、とか細かいルールに対応できない男子を連れて歩くには、新幹線の方が気が楽である。
文フリ岩手の前日に移動をして、到着と同時に実家の庭でのバーベキューで迎えられる。実家の愛犬ムックが体調を崩し、心配した我が弟も同じ日の午前中に東京から岩手に移動していた。久々に叔父と甥のふれあいも楽しめた。ムックは老犬だが、もう少し頑張れそうだ。

文学フリマ自体は反省点も多々あったが、やはり地元、のびのびと楽しめた。規模も東京のように大きくないので、他のブースも回りきれた。
反省点としては、ブース設営の小道具の組み立て方がわからなかったこと、華道部OGとしては欠かせない生花の展示に、ネギの香りのする花を準備してしまったこと、である。
「なんかネギ…?ん?見た目だけ?いや香りも?」
というやりとりを何度しただろう。よりによって、入り口のまん前!あの会場でネギ臭さを感じたすべての方、犯人は私です。ラックの組み立てはお隣のブースの方々に助けてもらった。本当にその節はありがとうございました。
「見本誌コーナーで気になったので買いにきました」と購入してくださる方が何人かいて、すごく嬉しかった。私の両親、弟が総出で子どもたちの子守りをしていてくれたのだが、みんなで文フリにも足を運んでくれたのも嬉しかった。じぇっきゃさんが製作したステッカーも各々選び、長男は「はは、はしる」、次男は「降」をノートに貼っていた。

そしてその晩の打ち上げでは、久々にまったく体調が悪くなることもなく、ぽかぽかと最高に気持ち良い状態で酔っ払い、最高な一日を過ごした。華道部OGを謳ったグループではあるが、華道部OGは私たち三名で完全体ではない。日記は書いていないが、華道部OGであるちいかわみたいな元ギャルもいる。ちいかわギャルも一緒に、四名で食べて呑んで幸せな夜だった。
さらにその後、ぱくえみさんと二人で、バーで飲んで日付を跨ごうとした頃には、私は完全に楽しくなっていた。「会社員時代酷いアルハラを受けていたけれど、ちゃんと自宅に帰れるようにタクシーに乗ったら道すじを説明できるようになっているから、大丈夫だから〜」というようなことをブツブツ言いながら、タクシーに乗り込んで帰った。幾度となく唱えた道案内だったが、何しろ会社を辞めて引越してから7年が経っている。多少不安だったがなんとかなった。
タクシーの中で、愛知で留守番中の夫に電話をかける。「帰りのタクシーで電話するなんて、別居婚だった新婚時代みたいじゃん!」とはしゃいで話していたが、疲れ果てた夫は半分寝ていたらしく電話のことは何も覚えていなかった。ただ「本は売れたか」「楽しかったか」の確認は夢うつつでも忘れない夫であった。

そして幼稚園を二日間お休みさせて、火曜日に大移動して愛知に帰る、それが当初のプランだった。
しかし、大雨の影響で東京で立ち往生をくらう。ただでは帰れない。私はいつもそうだ。子どもの頃から、震源地でのキャンプ、大雨による旅行の行程変更、新幹線遅延、引越し当日に父高速にてスピード違反で捕まる、海外へ行けば空港で火災報知器が鳴り響く、などなどどこか行くと何か起こるのが私。子連れだろうが、立ち往生する時はする。それが私。
「運転再開しそうな気もするが、はっきりとは申し上げられません」と説明を受ける。そりゃそうですよね。子どもたちが疲れで限界を迎える前に、休める場所へ移動したい。今日中の移動を早々に諦め、ホテルを探す。
私ぐらいのワンオペ育児上級者ともなると、突然のワンオペ宿泊でもびくともしない。駅弁を買い込み、ホテルにこもる。動揺しないのは子どもたちも一緒で、思わぬホテル宿泊に大はしゃぎ。もちろん夫も動揺しない。「全然いいよ〜!そうしや〜」と言って、翌日午前中にホテルから行ける無料の観光スポット情報を送ってくれた。

無事に一泊し、翌日のお昼、じぇっきゃさんが駆けつけてくれた。まさか三日後に再会できるなんて。東京駅の地下でお店を予約してくれていたのだが、待ち合わせのすこし前に次男がベビーカーで寝てしまい、地上から地下に行けるエレベーターを探す。しかし、ない。長男に沢山の荷物を持ってもらい、13キロの次男を抱っこして、ベビーカーを畳んで担いで、エスカレーターで降りる。さぁ、もういちどベビーカーをひらいて次男を乗せよう…、ってあれ?閉じることはできたが、これ、抱っこしたままじゃひらけないぞ…?
「ちょっと、手をこの形にして、力入れてみて?」
「ちがうちがう!ここ、ここに力いれて!」
と、長男に頑張ってもらったが、ひらかない。無理だ…。ここにきてワンオペの限界…。床に次男を置くしかない…?というところまで考えを巡らせたあたりで、
「大丈夫?」
とじぇっきゃさんが登場。完全にヒーローの登場シーン。そしてすっと荷物やベビーカーを担いで運んでくれた。かっこよすぎるだろ…。
私の脳内には、しかと流れていたよ。スーパーマンのテーマ。そして口からは発していたよ、
「ほんとありがと、ごめーん」
(まことにすいまめーん)


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