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なりたいもの

”やりたいこと”について考えに考えこんでいたけれど、
全然思い浮かばなかった。

自己啓発本には9割の確率で書かれていることがあった。
「行動しろ」
訳してしまえば、どの本もその四文字がすべてを指しているんじゃないのかな、なんて嫌味ったらしいことを思ってしまう自分に嫌気がさした。

変わりたい、という思いが強いはずなのに、じゃあ動こう!となると脳は止まってしまう。止まっている期間を社会はなかなか認めてくれない。ずっと動き続けないといけない。脳も身体も。お暇の時間はあったとしても短くないとだめ。確かに休憩時間だから、仕方がないのかと自分に言い聞かす。働いていても学校にいっていても、休憩時間は全体の何割かな。とにかく動かないとだめなんだ。自分をどうやって売っていくかが大切とされる時代だから。

「やりたいことをリストにあげてみよう」
そんな1年の始まり。スタートするとき。
”やりたいこと”で思い浮かぶのは、ビジネスに関係ないようなことばかりで、自分の能天気な思考に思わず乾杯したくなった。
でも、毎日笑って過ごしていて、たまには腹筋がちぎれるんじゃないかってくらい爆笑する日もあって、美味しいごはんとあったかい家族や友達、没頭できる趣味たち。
それだけで結構好きな生活だな、とも思う。

20代後半を迎えて、アラサーという言葉が身近になった。
20歳を超えたあたりから急に1歳足されるスピードが上がったような気がする。社会人になるとさらにスピードが上がった。
まだ先だと思っていた未来は想像よりも近くて、コツコツと音を出しながら進もうとしているまわりの背中を少し後ろから見ている。
好きなアイドルのことでキャーキャー言ったり、ラジオを聞いて声出して笑ったり、本や映画に没頭して泣いたり考えたり、パーカーとデニムで河川敷を散歩したりしているわたしを、10年前のわたしは1ミリも予想していなかった。でも、そんな自分が嫌いなわけでもない。"生産性"からかけ離れている自分の毎日で、憧れられることもないけれど、こんな感じでも楽しく生きていけるんだよーって、笑っていられる存在でいたいな。わたし自身が、ちょっと生き辛いなってときに助けてもらったアイドル、本、ラジオ、漫画、映画、ドラマみたいなものになれるといいな。そんなことを思った2020年の終わり。
悲観的にばっかりなりたくないからさ、ここではははと笑ってのろのろスピードでも歩いていきたい。

そんな思いでただただ文字を並べていきます。

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