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【掌編小説】 むつみ

湯船にゆっくり
つかって

心と身体が
ゆるまっていくのを
感じる

煩わしい
感情も

全て
流れてしまえばいい

なんて考えてみる

最近
彼と喧嘩して
まだ仲直りできてない

どうでもいい
些細なことが
発端で
ヒートアップして
互いに
謝るタイミングを
逃したままだ

いつもは
わりとすぐに
仲直りできるし

今回も
そのうち
何ごともなかったように
元に戻ると
思っていたのに

もう3週間も
連絡がない

まだ
怒ってるの?

会いたくて
たまらないと
思ってしまうのは
わたしだけなのだろうか

あぁ
面倒だな

1人の時は
こんなことで
一喜一憂
する必要もない

いっそ
このまま
別れてしまえば

きれい
さっぱり
このモヤモヤが
なくなるだろうか?

目を閉じて
雑念を
払おうとするが

思い浮かぶのは
彼の顔と
一緒に出かけた
いろんな思い出ばかりだ

いつのまにか
わたしの中の
大部分を
占めていたことに
今更
気づいてしまった

すごく
会いたい

さぁ
なんて切り出そうか

何が原因で喧嘩してたんだっけ?

もう
観念して
正直な
気持ちを
ぶつけてみよう

『すごく会いたい
大好きだよ』
って

あなた
なしで
今のわたしは
なりたたないみたいだから






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