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【掌編小説】 やえ

いつも
悪い男に
惹かれてしまう

悲しい
思いすること
わかっているのに

好きって気持ちは
自分で
コントロールできないから
しょうがない

他に
いいよってくる
男がいない訳ではない

でも
魅力を
感じられない
人と
いくら
一緒にいたって

ちっとも
楽しくなんかない

ましてや
好きでもない人に
触れられるなんて
絶対に無理なのだ

何度も
苦い思いを
味わっているのに


好きになってしまうであろう
この男にも
同じ予感がしている

全て
あたしが都合のいいように
勝手に創りあげたものかもしれない

そうだとしても

あたしに
喜びを与えてくれるのならば

それでいいのだと思ってしまう

胸が
キュン
っと
高鳴って

頬が
紅く染まる

あたしを
一番
魅力的に
させるのは

恋してる
この瞬間なのだ

とびっきりの
笑顔と

現実よりも
本当らしい嘘で

あたしは
魔法にかけられるのを
焦がれているのだから

覚める時を
感じさせないほどに

うっとりとした
一時が

永遠に
続きますように

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