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『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』の読書メモまとめ

いわゆる「ライター」と呼ばれる職業をしてなくても、普段の生活で文章を書くことって結構ありますよね。

だから文章力を磨いておけば、もっと上手に自分を伝えることが出来るかもしれない。そう思って手に取ったのが、この本でした。

「バズる」なんて宣伝チックなタイトルがついてますが、中身はキチンと丁寧な文章術の解説本。もちろんブログやSNSを伸ばすのにも使えるし、単純に読み物としてもおもしろいです。

文章って、こんな風に構築されてるんだ〜!

そんな発見がたくさん出来る本でした。

文芸オタクの私が教える バズる文章教室

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良心的な釣りで読者を引き込む

バズる文章を書くには「気になる言葉」を使おう。聞き慣れない言葉をあえて文章の前半に放り込む。「おっ」と引きつけて、その後丁寧に解説。文章に引っかかりを作ることが読ませるコツ。ただし嘘や誇張はNGです。良い文章には「良心的な釣り」が大事。

問いを読者と共有する

問いを見れば答えが知りたくなるのが人情。そこで文頭にいきなり問いを持ってくる。さらに効果的なのは、問いを読者と共有すること。自分も読者も一緒になって答えを探る構造を作ると、読ませる文章が作れる。
例:「近頃、どういうわけか◯◯なのである。」

簡単な問いから始める

マニアックで難しい話をする場合、本題から入ると読者は置いてけぼり。そんなときは簡単な問いから始める。例えば「日本とアメリカのメディア文化の違い」なんて専門的なテーマなら「ハリウッド映画と日本映画の違いってなんだろう?」といった身近な例を出して導入する。

日常から非日常へ急展開

非日常的な出来事を書くとき、急に切り出すと白々しい。そんなときは、あえて思いきり日常的な話から入る。ありふれた生活風景。でもそこから意外な展開をすれば読者は思わず引きつけられる。グッと身を乗り出した読者にこそ、肝心な話が響いてくる。

短文でリズムを作る

心地よく読ませるにはリズム感が大事。リズムを出す方法はいくつかあるが、初心者におすすめなのが「一文を短くする」こと。それだけで自然とリズムを生みやすい。
例:10年前に買ったバッグが破れてしまった。→バッグが破れてしまった。10年前に買ったものだ。

曖昧さは親近感を生む

情報をズバン!と伝えるなら語尾は断定系にするべき。でも文章ってそれだけじゃない。ときには曖昧さが共感を呼ぶこともあるんです。「と思う。」「って感じ。」「なんて言えるかも。」そんな曖昧な言葉が、読者に親近感を与えて、寄り添う印象を出すこともある。

体言止めは明確に伝わる

「おかーさん、お茶。」これって文法的には間違いです。でも日常ではよくある言い回し。語尾って意外と削れるんです。そして削ると、かえって明確になるんです。「まずは実践してみよう。」よりも「まずは実践。」 ビシッと届けたい言葉に使いましょう。

会話文の読みやすさ

カギカッコで括られた会話文は読みやすい。小難しい文章より、身近でスーっと伝わります。そして何より、注目を集める効果があるんです。つらつらと書かれた文章の中に、パッと視線を引き止める会話文。ここぞ!というところで使って印象を残しましょう。

感情を隠して伝える

本当に心が動いたら、きっとそれは言葉にはならないはず。説明しなくても良い感情は、あえて省いて淡々と。その方が強く伝わります。
例:「娘が初めてプレゼントをくれて嬉しかった。」→「娘が手渡したのは、初めてのプレゼントだった。」

唐突な口語で本音を晒す

綺麗な文章は「です。」や「である。」で統一したくなる。ですが、あえて口語を使うのも一つの手。特に混ぜて使うのがテクニック。全体は堅めの文体で、ここぞというところで「〜だよ。」と放り込む。唐突な口語がメリハリを生み、本音をさらした印象が作れます。

読点でテンポを操る

読点は読み手のテンポを操ります。細かく区切るほどゆっくり読める。ただ遅く読むという話ではなりません。ゆっくりと、丁寧に、懇懇と、言葉を一つずつ届ける。そんな印象が作れます。つまり読者との距離が縮むんです。大事なメッセージを語るときに使えます。

違和感で惹き込む

スラスラと違和感なく読める文章だけが正解とは限らない。あえて違和感のある言葉を使うのも一つの手。三島由紀夫は、冷酷な人間を「氷のように清潔」と表現した。マイナスとプラスの言葉の組み合わせが違和感を生む。上手く使えば、読者を惹き込むことが出来る。

即フォローすれば極論も言える

強い言葉は、注意を引くが拒絶もされる。そこで使えるのが、一旦断言してから即フォローするテクニック。
例:「人生を変えたいなら今すぐ部屋を片付けなさい。それも完璧に。完璧なんて無理?大丈夫。片付けなんて所詮物理的な作業。誰でも必ず出来ます。」

経験談のパターンは2つ

おもしろい経験談は二通り。誰も体験したことない貴重な体験か、誰もが頷くあるあるか。前者は共感してもらうのが難しい。そんなときは、置き換えるのがテクニック。誰も知らない体験を、誰もが共感できる話に例えて説明する。新鮮さと共感の両方が伝わります。

格言は上乗せして使う

自分の主張に説得力を持たせるには、偉人の格言が有効です。ただし、引用するだけだと味気ない。知識をひけらかしただけにも聞こえます。そこで格言を拡張する。自分の解釈を上乗せしたり、古い格言を現代の例に置き換える。言葉に新鮮な説得力が生まれます。

急に読者に呼びかける

文章は基本的に、主張をつらつらと書き連ねるもの。いわば「独り言」です。そんな文章の中で、突然読者に呼びかける。「〜しませんか?」と問いかけたり、「〜でしょう?」と同意を求める。読者は傍観者から一気に参加者に。ぐいっと話に引き込むテクニック。

情景描写で余韻を残す

文章には、書き手の主張が必要です。となると文末は主張で締めたくなるもの。つい結論めいたまとめをしたくなる。そこをあえて、ただの情景描写で締めるのもテクニック。心地良い文章に必要なのは、結論よりも読後感。読み手が想像できる余地を残しましょう。

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感想まとめ

読んでみると、有名な作家さんの例文がたくさん出てきて、それを添削するように解説が入ります。その構成が、すごく読みやすかった!

中でもAKBの楽曲「ポニーテールとシュシュ」が出てきたのは、おもしろかったですね。あまり真剣に歌詞の中身を見たことはなかったのですが(ちょっと失礼)、作ったのはあの秋元康さん。文章のテクニックが、これでもか!と駆使されていて驚きました。

身近な文章も注意深く読めば、おもしろい。そんな気づきがあっただけでも価値有る本でしたー!

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