#162 食べられなくなったお米で作った紙「kome-kami」
『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。
食べられなくなったお米で作った紙「kome-kami」
今回は、面白そうな紙を発見しましたので、そちらをご紹介していきたいと思います。
以前の放送で、使えなくなった素材を紙に混ぜ込む、「混抄紙」が増えてきてますよー。というお話をしたかと思います。
「混抄紙」というのは、紙を抄くときに何かしらを混ぜ込む、という寸法です。
今回ご紹介する紙は、既に抄き終えた紙に、後加工で何かしらを塗工したものです。
はい、今回ご紹介する紙は、食べられなくなったお米を紙の表面に塗った紙、通称「kome-kami」です。
お米と紙なので、「kome-kami」です。シンプルで良いですね。
何のためにお米を塗っているのか?
はい、この「kome-kami」。
先ほどもご紹介した通り、お米を紙の表面に塗っている訳なんですが、、、
「一体何のために塗っているんですか?」ですよね。
当たり前ですが、「美味しくするため」、、、ではないんですねー
お米を塗っている理由。
いくつかあるんですが、
①紙を白くするため
②印刷の発色を良くするため
③インキの滲み防止のため
こんな感じです。
そう、お米、めっちゃ優秀なんです。
実は昔から紙にお米を混ぜていた!
そして実は、紙にお米を混ぜるということは、結構昔からやられていたんです。
「kome-kami」のように後から塗るパターンと、「混抄紙」のように抄くときに混ぜるパターン。この2パターンがあります。
福井県越前市(僕の地元ですね!)で漉かれている「越前奉書」という和紙があります。
主に楮を原料として漉かれる紙ですけれども、、、
遡ること江戸時代。
「越前奉書」は、すんごい品質がいいので、徳川幕府の御用紙に指名されます。
そして、その当時の「越前奉書のレシピ」が載った、貴重な資料がありまして、そこにこう記されています。
3つ目の「揄」というのは、藁の先の表皮を剥いだ「しべ」と呼ばれる柔らかい部分のことです。
材料としては「楮」がメインですが、「米」とか「揄」を混ぜることで、墨の滲み具合を良い感じに調整していたのでは、と思われます。
そう、こんな昔から米を混ぜて、紙の品質を調整していたんですね。
「kome-kami」サステナブルな仕組み
さて、「kome-kami」に話を戻しましょう。
紙の表面に塗るお米は、加工・流通段階や家庭で出る食用に適さないお米、備蓄用アルファ米で廃棄されてしまうものを使います。
つまり、食べられないものや廃棄されてしまうものをアップサイクルしている訳ですね。
それから、売上の1%はフードバンクに寄付されるそうです。
廃棄食品をアップサイクルして紙の機能性を上げて、売上の1%が食べ物が必要な人のために寄付される。
素晴らしい取り組みですね。
皆さんも、是非「kome-kami」をチェックしてみてください。
はい、という訳で今回は、食べられなくなったお米で作った紙「kome-kami」をご紹介させていただきました。
いかがだったでしょうか。
それでは、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
▼「kome-kami」のHP
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