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#156 中国史上最高の紙!?「澄心堂紙」とは?

『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。

お正月と言えば、書き初め!

もう1月も中盤ということで、はやいですね。

皆さんは今年の年始めは何をしましたか?
お正月と言えば、初詣に行って、おせち料理とかお雑煮を食べて、基本的にはゆっくりと実家などのお家で過ごす方が多いんじゃないでしょうか。

そんなお家ですることと言えば、そう「書き初め」ですよね。
書道と言えば、中国とか日本の伝統的なものですが、ペンで書くより緊張感もあって、人によって特徴が表れて面白いですよね。

半紙と画仙紙

そんな書道で使われる紙と言えば、そう、「半紙」ですよね。
でも、この呼び方は正確ではなくて、「半紙」というのは大きさを指した呼び方です。
ちなみに「半紙」というくらいなので、何かの半分のサイズなのですが、「半紙」のサイズが特殊すぎて、何の半分のサイズなのかは諸説あるようです。

さて、じゃあ「半紙」じゃなくて何?ということなんですけど、基本的に、書道に使われる紙は、「画仙紙」と呼ばれるものです。
本格的に書道をやられている方とか、和紙マニアでない限り聞いたことがない名前だと思います。

「画仙紙」にも色々な種類があって、原材料が違っていたり、厚みが違っていたり、墨の滲み具合が違っていたり、本当に多種多様です。
中には、赤とか紫とか金色といっためちゃくちゃ派手な画仙紙もあります。

中国史上最高の紙!「澄心堂紙」

そんな多種多様な書道用の紙ですが、書道の本場・中国で史上最高と言われる、伝説の紙があるんです。

その名も、「澄心堂紙(ちょうしんどうし)」

こちら、中国が南唐の時代の3代目の国王・李煜(り・いく)という方が作らせた紙です。
ちなみにこの李煜(り・いく)さんですが、政治能力は極めて低かった一方で、文化・芸術面の才能は半端じゃなかったという方です。
実際に、政治はそこそこに、文化・芸術に全振りして、南唐時代を終わらせてしまっています。やはり、さすがに国のトップにはバランスが必要ということですね(笑)

国王としてはどうかということなんですが、やはり、文化・芸術面ではとてつもない功績を残していて、先ほど紹介した伝説の紙「澄心堂紙」の他に、筆、硯、墨も作らせていて、そのどれもが中国史上最高と言われています。
そう、国は滅ぼしたけど、めっちゃすごい人なんです。

李煜

どんな紙なのか?

さて、「澄心堂紙」ってどんな紙なの?ということなんですが、詳しい原材料とかは分かっていません。

何らかの加工がされていることは分かっているようです。
何らかの加工というのは、材料を含侵させていたり、あるいは紙を叩いたり削ったりして平滑性を出している記述が残っています。
こういった加工をすることで、滲み具合を調整したり筆の走りを良くしたりしているんですね。

台湾にある故宮博物館に展示してある、蔡襄(さい・じょう)という人が書いた『澄心堂帖(ちょうしんどうちょう)』という作品があるんですが、ここに「澄心堂紙」という文字が書かれています。
何が書かれているか簡単に言うと、「李煜(り・いく)さんが作った「澄心堂紙」がまじで天下一です。めっちゃ欲しいです。」という感じです。
蔡襄(さい・じょう)さんは、「澄心堂紙」の生みの親・李煜(り・いく)さんより少し後の時代の人なので、残念ながら簡単に「澄心堂紙」が手に入らないんですね。
でも、本当に最高の紙だからめっちゃ欲しい。
そんな想いを書いた、ということになります。

この蔡襄(さい・じょう)さん、宋の時代の「四大家(したいか)」、つまり四大書家と言われているくらいヤバい方です。
そんなヤバい方に、最高の紙と言わせるくらい、ヤバい紙ということです。

日本にも保管されている!

ここまで言われたら「澄心堂紙」、どんな紙か気になりますよね。
実物が見たいですよね。

実は、なんと、日本にあります!
『五馬図巻(ごばずかん)』という、李公麟(り・こうりん)という中国の画家が描いた作品が、なんと、東京国立博物館に所蔵されているんです。
ただし、なかなか一般公開されないようで、簡単に見れるものではないようです。
これはなんとか公開してほしいですね。

『五馬図巻』(李公麟)

というわけで、今回は、中国史上最高の紙「澄心堂紙」について解説してきました。いかがだったでしょうか。

それでは、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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