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『稲盛和夫一日一言』 3月7日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月7日(木)は、「心をベースにした経営」です。

ポイント:人の心をベースとした経営とは、企業内において強固で信頼し合える心の結びつきを実現するということに焦点を絞って経営を進めるということ。それには、経営者自らが素晴らしい心の持ち主でなければならない。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)「心の通う、心で結ばれた集団をつくる」の項で、人の心をベースとした経営について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラは、資本金300万円と支援してくださった方の個人保証によって銀行から貸していただいた1,000万円の、合計1,300万円を元手に始まった会社です。
 当時、もちろん人材はありませんでしたし、資金も不足気味だったなかで、前の会社で私の上司であった今の相談役と、経営というのは何をベースにしてやっていくべきだろうかと、よく議論をしていました。

 そうしたときに私は、モノもカネも大事だけれども、これらは非常に不確かなものだ。いちばん確かで、今後頼りにしていかなければならないのは、「人の心」ではないかと考えました。

 確かに、人の心ほど儚(はかな)く頼りにならないものはないけれど、これくらい強くて頼りになるものもないはずだ。そういうモノやカネよりも強くて頼りになる人の心というものをベースに、経営をやっていくべきだと思ったのです。

 それ以来、私どもはずっと、人の心をベースとした経営を行なってきました。どうすれば強固で信頼のできる、心で結ばれた集団をつくることができるか、ということに焦点を絞って経営をしてきたのです。

 これは一般にいわれるように、「心の通う」ということになろうかと思います。心を通わせるには、「愛されるためには愛さなければならない」といわれるように、その中心になるべき私、すなわち経営者が、まず素晴らしい心の人たちに集まってきてもらえるような素晴らしい心を持たなければならないと、私は解釈しています。そのために、経営者である私自身がわがままを自戒しています。

 また、皆の心を一致団結させるためには、やはり経営者が私心をなくして、皆が心を寄せてくれるこの集団のために、少し時代がかった表現ではありますが、命を懸けるというくらいの気持ちで社員に尽くさなければならないと考え、努めています。
 そうした、信じられる者同士の集まりということを基本にして、今日までやってきました。
(要約)

 2014年発刊の『稲盛和夫の経営問答 従業員をやる気にさせる7つのカギ』(稲盛和夫著 日本経済新聞出版社)「第1章 経営の原点に立ち返る」の中で、従業員との間に心と心が通じ合う関係をつくることの大切さについて、名誉会長は次のように述べられています。

 会社を経営していくうえで重要なことは、いかに従業員をやる気にさせるかです。なぜなら、経営者一人がいくら頑張っても、できることは知れているからです。
 会社を発展させていこうと思えば、自分と同じ気持ちになって一緒に仕事をしてくれる従業員が必要になります。従業員が自分の会社と思い、一生懸命に働いてくれるからこそ、会社は大きく成長していくのです。

 私も京セラを創業して間もないころ、さまざまな機会を見つけては、「こういう会社にしたい」という自分の考えを従業員たちに話すように努めてきました。それは、従業員を経営のパートナーと考えていたからです。パートナーであるからには、私の考えを理解してもらわなければなりません。

 「この社長ならついていきたい」「会社の待遇は決してよくないけれども、この人となら生涯をともに歩んでもいい」といった気持ちが芽生えてくるくらい強固な人間関係を企業内につくっていこうと、私は懸命に努めました。

 そうした思いがあったからこそ、従業員も真摯に私の話に耳を傾けてくれたのだと思います。互いに胸襟(きょうきん)を開いて、心と心が通じ合う関係をつくっていく。それが、従業員を燃えさせる第一歩です。

 このことは経営の原点であり、会社をもっと大きく発展させていこうとするときに、あらためて立ち返って理解していただきたいことです。あるいは、新たに小さな会社を立ち上げ、それを発展させていこうとするようなときにも参考になると思います。(要約)

 「あなたを頼りにしていますよ」という一言を真正面から言えるかどうか。経営者からそこまで頼りにされて頑張ろうと思わない従業員はそうはいないでしょう。
 良好な人間関係を構築していくには、そうした接し方を続けることができるかどうかではないでしょうか。


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