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『稲盛和夫一日一言』4/16(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/16(日)は、「正道(せいどう)を貫く」です。

ポイント:正道を貫くには、自分というものを無にしていかなければならない。しかし、それにはたいへんな勇気が必要となる。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、正道を貫き通すことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 正道、つまり正しいことを行おうとすると、どうしても困難で苦しいことに遭遇するものです。相手に迎合するとか、うまく世渡りできるからと、妥協するような生き方をしてはなりません。どんなに難しい局面に立っても、正道を貫き通すのです。

 正しいことを行い、苦労ばかり重ねているよりは、ご都合主義で生きた方が得ではないかと、苦しければ苦しいほど思ってしまう、それほどに人間とは弱いものです。

 自分が正しいと思う道を踏み行っているなら、いくら逆境に立たされようとも、そのことを楽しむくらいの境地になれるよう、自分自身に言い聞かせるのです。必ず報われることを信じ、正道を貫き通すことが大切です。(抜粋)

 また、2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)には、遺訓七条が次のように解説されています。

 事大小と無く、正道を踏み至誠を推し、一事の詐謀(さぼう)を用うべからず。人多くは事の指支(さしつか)ゆる時に臨み、作略(さりゃく)を用いて一旦その指支えを通せば、跡は時宜(じぎ)次第工夫の出来る様に思え共、作略の煩(わずら)い屹度(きっと)生じ、事必ず敗るるものぞ。正道を以てこれを行えば、目前には迂遠(うえん)なる様なれ共、先きに行けば成功も早きもの也。

【訳】どんなに大きいことでも、またどんなに小さなことでも、いつも正しい道を踏み、真心を尽くし、決して偽りのはかりごとを用いてはならない。人は多くの場合、あることにさしつかえができると何か計略を使って一度そのさしつかえをおし通せば、あとは時に応じて何とかいい工夫ができるかのように思うが、計略したための心配事がきっと出てきて、そのことは失敗するに決まっている。正しい道を踏んで行うことは、目の前では回り道をしているようであるが、先に行けばかえって成功は早いものである。

 今日の一言には、「長い目でみれば、正道を貫くことが、一番楽なことなのです。なぜなら、繕い隠そうとするものが何もないからです。自分の名誉や地位、財産などにこだわりがあり、それを必死に守ろうとして、複雑怪奇な策略を企てる、そんなことをするものだから、みんな憔悴(しょうすい)してしまうのです」とあります。

 誰しも切羽詰まってしまったときなど、良心ではよくないことだと分かっていても、ついつい「これくらいならいいだろう」と良くないことを考えてしまいがちです。極端な場合、行動を起こしてしまってから、「目的のためなら手段を選ばず。結果オーライだ」などと考えて、自分自身を納得させようとしたりします。

 いついかなるときであろうとも、正しい道を踏み、誠を尽くそうとする。たいへん難しく、しかも勇気のいることだと思いますが、常に自分の良心に従って、正道を貫こうと心がけることこそが、自分の人生を真っ当な方向へと軌道修正することにつながるのではないでしょうか。


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