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『稲盛和夫一日一言』5/7(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/7(日)は、「渦の中心に立つ」です。

ポイント:集団の中で仕事を円滑に進めていくには、自分から積極的に向き合い、周囲に働きかけながらダイナミックに仕事を進めていくことのできる渦の中心で仕事をする人が必要。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「渦の中心になれ」というフィロソフィ項目の中で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 仕事は一人ではできません。上司、部下をはじめ、周囲にいる人々と一緒に協力し合って行うのが仕事です。その場合には、必ず自分から積極的に仕事を求めて働きかけ、周囲にいる人々が自然に協力してくれるような状態にしていかなければなりません。これが「渦の中心で仕事をする」ということです。

 会社にはあちこちで仕事の渦が巻いています。気がつくと他の人が中心にいて、自分はその周囲を回るだけで、本当の仕事の喜びを味わうことができないときがあります。自分が渦の中心になり、積極的に周囲を巻き込んで仕事をしていかなければなりません。

 会社では、どこの部署が担当すべきなのか、判然としない類の仕事がたくさんあります。特に会社の規模が小さいところでは、一人の人間が複数のポジションを兼務していて超多忙、といったケースも多いはずです。
 そのような状況であっても、「皆さん、ちょっと集まってください。この案件について知恵を貸してほしいのですが・・」と声を上げる言い出しっぺがいます。そして、それは上長とは限らない。年齢や社歴が若くても、先輩や上司まで集めて、そう切り出す者が必ずいるはずです。

 「ボーっとしていると、部下や後輩に取り仕切られて、その周囲をグルグルと走らされることになるぞ。それがイヤなら、自分が中心になって、周囲の人間を巻き込んで、自分で渦を作りなさい」
 私は、なかなか渦を起こせないベテラン社員に対して、そういって激をとばしたものでした。

 「渦を作っていく人になってほしい。そういう人がたくさんいなければ、会社の発展は望めない」と、ことあるごとに私は言ってきました。(要約)

 今日の一言では、『渦の中心で仕事をしている人』のことを、「その人を中心に、あたかも上昇気流が湧き起こるかのように、全員を巻き込んで組織が大きく動いていく。自分から積極的に仕事に向かい、周囲に働きかけ、仕事をダイナミックに進めていける人」と表現しています。

 目的意識、課題意識を持った人間が真っ先に手を挙げ、有言実行で率先垂範して事に当たる。手を挙げた者がリーダーで、その言動に我欲がなければ、渦は次第に大きくなって、次第に解決へと向かって進んでいきます。

 指示命令系統に従って人が動くのではなく、そこで働く誰もが自然発生的にあちこちで渦の中心となって周囲の人を巻き込み、その結果、誰もがが活き活きと奔走している。そうした職場には、「自分は何をしたらいいのですか?」と立ち止まって誰かの指示を待つような人間はいません。

 京セラ入社早々、私もこの「渦の中心になれ」というフィロソフィを学びました。仕事や人間関係に慣れるまでは試用期間みたいなものだから、体調を崩さないように気をつけながら、まずは上司や先輩から指示された最低限のことはしっかりこなしていこうと考えていたのですが、すぐにそうした受け身に傾いた姿勢はこの職場では不要だということが分かりました。

 新入社員であっても、集団の中で果たすべき役割は必ず存在しています。自分が渦の中心になって動くべきことがあるはずなのに、自分にはまだそれが見えていない。ならば、まずはそれを探すことから始めよう、と気づかされたのです。

 「渦の中心になる」 あなたも周囲に遠慮などせずに、「渦中(うずちゅう)」目指して一歩踏み出してみませんか!


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