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『稲盛和夫一日一言』 6/12(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/12(月)は、「試練は幸福をもたらす」です。

ポイント:試練を、絶好の成長の機会と捉えられる人、さらには、人生とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場であると考えられる人。そういう人こそが、限りある人生を、豊かで実り多いものにすることができる。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「苦労は魂を磨くための試練」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 生きていくことは、得てして苦しいことのほうが多いものです。ときに、なぜ自分だけがこんな苦労をするのかと、神や仏をうらみたくなることもあります。しかし、そうした苦労は、自分の「魂」を磨くための試練だと考えるのです。

 生きていれば、病気にかかったり、事故に巻き込まれたり、また事業に失敗したりするなど、さまざまな災難に遭遇します。しかし、それらはすべて自分の心をつくり心を磨くために、神が与えてくれたものだと受け止め、そこから逃げることなく真正面から対峙し、さらに努力を重ねていく。そのことが心を磨くことになるのです。

 私自身、そのことを痛感しています。
 自分に残された道は傾きかけた会社で働くことしかないのだと覚悟を決め、誰よりも懸命に働き始めたことで、幼いことから挫折続きだった私の人生は一転しました。
 目の前の仕事に一心不乱に取り組んだことで、新しいファインセラミックス材料の開発に成功し、それが契機となって京セラが設立され、今日があるのです。そういう意味では、人生の入り口で苦難に遭遇したことを、今はどれほど感謝しても感謝しきれないくらいです。

 そのことはまさしく、災難とも思えることに出合っても、その試練を真正面から受け止め、真摯に努力を重ねることが、いかに大切かということを示しています。
 常識的には不幸だと思われることが、実は運命を開く素晴らしい幸運なのです。たとえいかなる苦難に遭遇しようとも、それはむしろ自分を高めてくれる絶好のチャンスだととらえ、さらに努力を重ねていくことが大切なのです。
(要約)

 「試練」には、「信仰や決心などの強さを厳しく試すこと。また、そのときの苦しみや苦難」といった意味があります。

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社)6月12日の項で、ラーメン店「一風堂」創業者 河原成美さんはご自身の若いころを振り返って、次のように語られています。

 商売を始めると決めた二十代の私は、自分に対する決め事を三つ作った。そうしたのは、自分で自分を信じられなかったから。(中略)
 三年後、自分に対する決め事を守り抜いた私は、内なる自分から理解を得られたと思った。そこから私の人生の扉が開いていったと感じている。
「大切なのは自分からの信頼。人生の二人三脚の始まりは自分」
(要約)

 目の前の試練や苦難に対して、それらをいきなり自分が成長できる絶好の機会だと前向きにとらえることのできる人はそう多くはないでしょう。
 しかし、まずは内なる自分の心と向き合うことです。そして、その場から逃げたいとか避けて脇を通り抜けたいといった弱気の虫を自分の心から追い出し、真正面を見据えてみる。

 自身の人生を振り返ってみても、試練や苦難から逃げてしまったときのことを思い出すと、ずいぶん昔のことであるにもかかわらず、心がざわざわして落ち着かない気分になります。それは、「自分に打ち勝つことができなかった」という後悔の念が心の奥底に残っているからではないでしょうか。
 しかしながら、そうした負の遺産?ともいうべき経験が、その後の自分の人生において、前を向いて踏ん張るうえでの原動力となってくれたのも、またまぎれもない事実です。

 限りある人生ですが、生きている限り、少しでも豊かで実り多きものにしていけるよう、今後とも心を高め魂を磨き続けていければと思っています。



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