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『稲盛和夫一日一言』 6/10(土)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/10(土)は、「自分に打ち勝つ」です。

ポイント:遊びたい気持ちを抑えて、今やるべきことに懸命に励む。人生という長い旅路で成功するには、自分に打ち勝つことのできる強さが必要。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、自分に打ち勝つことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 仕事がいやでいやで仕方がないと感じても、もう少し頑張ってみる。腹をくくって前向きに取り組んでみる。そうすることが、人生を大きく変えることにつながっていきます。

 最初は多少無理をしてでも、まずは「自分は素晴らしい仕事をしているのだ」「何と恵まれた職業に就いているのだろう」と、心の中で繰り返し自分に言い聞かせてみる。

 そのときに大切なのは、「自分に打ち勝つ」ということです。つまり、利己的な欲望を抑えること、自分を甘やかそうとする心をいさめること。
 そうすることができなければ、何事も成し遂げることはできませんし、自分の持てる能力を最大限に発揮することもできません。

 例えば、まじめによく勉強して80点をとる人間がいます。それに対して、頭の回転や要領がよく、それほど勉強しなくても60点をとる人間もいます。後者は前者に対して、「あいつはガリ勉だからできて当然だが、オレが本気を出せば、あいつ以上の点など簡単にとれる」と考えてしまう。

 潜在的な能力だけをみれば、そのとおりかもしれませんが、二人の間には、物事に取り組む姿勢、熱意に雲泥の差がありますから、その差がその後の二人の人生を逆転させるという結果を招いていきます。

 例えば、ガリ勉ができる人は、見たい映画やテレビも見ず、ともすると安易な方向へ流れようとする自分に打ち勝ち、目の前の困難に真正面から取り組もうとする人ですから、社会に出てからも遊びたい気持ちを抑えて、懸命に仕事に取り組むでしょう。
 一方、そのような人たちを小バカにする人間は、結局、自分の「逃げ」や「怠惰」を棚に上げ、真正面から取り組んで頑張っている人たちを、斜めから眺めているにすぎません。

 人間の真の能力とは、そうした物事に愚直に取り組む克己心までをも含めたものではないでしょうか。いくら潜在的には能力が高かったとしても、自分に負けて安逸に流れ、真正面から努力することを惜しんでいるようでは、自分の持って生まれた才能を活かし切ることはできません。

 人生という長い舞台で素晴らしいドラマを演じ、大きな成果を上げていくために必要なのは、どんなときも愚直に真剣に物事に取り組み、真正面から困難にぶち当たっていくことのできる力なのです。(要約)

 名誉会長は、仕事に「まじめに、愚直に、ど真剣に、一生懸命に」取り組むことで、仕事を通して己の人生を豊かなものにしていくことができる、と説かれています。さらに「仕事を好きになる」「自分の仕事に惚れる」という感情が生まれれば、素晴らしい成果も見えてくるはずです。

 別の一日一言でも紹介しましたが、お釈迦様は、悟りの境地に達する修行法の一つとして、「精進」することの大切さを説かれています。
 「精進」とは、一生懸命に働くこと、目の前の仕事に脇目もふらず打ち込むことです。それが、私たちの心を高め、人格を錬磨するためにもっとも大事なことであり、かつ最も有効な方法なのではないでしょうか。


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