『稲盛和夫一日一言』2/28(火)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2/28(火)は、「額に汗して得た利益」です。
ポイント:「額に汗して自分で稼いだお金だけが、本当の利益なのだ」というきわめて単純な信念は、人間として正しいことを貫くという原理原則に基づいたもの。
2022年発刊の『経営のこころ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)の「浮利を追わない経営」の項で、公明正大に利益を追求することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は若いころから、人生にも経営にもフィロソフィ、つまり哲学が必要だと思っていました。つまり、自分の持つ哲学によって人生も会社の将来も決まると思っていましたから、中国の古典や立派な哲学者から聖賢の教えを学んで自分の哲学にし、同時にそれを実行しようとしてきました。
ですから、1980年代後半のバブルの際にも、西郷南洲がいうところの人間としての正しい道、つまり正道、天道を実行する人生を歩いていこうとしていましたから、うまい話に乗ることはありませんでした。
当時、経営に余裕のある日本の経営者の中で、不動産や株式に手を出さなかった経営者は本当に少なかったのではないでしょうか。手を出してしまったがために、バブルが崩壊した後、皆さん非常に困られたわけですが、私の会社はまったくその被害を受けずに済んだのです。
私には、額に汗して得た利益だけが本当の利益であって、決して浮利は追わないという哲学がありましたから、容易に利益が得られるからといった投資などの甘い誘いを受けた際も、「欲張ってはならない」と自戒することはあっても、心を動かされるということはありませんでした。(要約)
また名誉会長は、バブル崩壊以前のオイルショックの際の取り組みにも言及されています。その際も、「私は人間として正しい道を歩いてきたつもりです。みんながこうするからと右へならえするのではなく、どんなに環境が激変しようとも、浮利を追わず、公明正大に利益を追求することを徹底してきたつもりです。ですから、私はあえて人と反対のことをする、単なる天邪鬼(あまのじゃく)ではないと思っています」と述べられています。
京セラは、かねてから利益率10%以上を維持するために社員全員で一生懸命頑張ってきました。そして、得られた利益から税金を払った残りを内部留保として蓄積し、それを自己資本として貯えてきました。
ですから、1974年のオイルショックで売上が何分の一にも減ったときですら、社員を一人も解雇せず、給料も従来通り支給することができたのです。
そこには、景気のよいときに頑張って利益を上げ、もし不況が来て、それが一年、二年続いてたとえ売上がゼロになったとしても、給料を支給し続けることができるほどの超健全な会社にしていこう、相当な不況が来てもビクともしない、社員が安心して働ける会社をつくっていこう、という名誉会長の経営者としての信念が反映されています。
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