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『稲盛和夫一日一言』 12月26日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月26日(火)は、「美しい魂をつくる」です。

ポイント:人生の目的とは、美しい魂をつくることにあり、人生とは魂を磨くために与えられた、一定の時間と場所に他ならない。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)プロローグで、人間が生きている意味、人生の目的について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私たち人間が生きている意味、人生の目的はどこにあるのでしょうか。もっとも根源的ともいえるその問いかけに、私はやはり真正面から、それは心を高めること、魂を磨くことにあると答えたいのです。

 生きている間は欲に迷い、惑うのが、人間という生き物の性(さが)です。放っておけば、私たちは際限なく財産や地位や名誉を欲しがり、快楽におぼれかねない存在です。
 なるほど、生きているかぎり衣食が足りていなくてはなりませんし、不自由なく暮らしていけるだけのお金も必要です。立身出世を望むことも生きるエネルギーとなりますから、いちがいに否定すべきものでもないでしょう。

 しかし、そうしたものは現世限りで、いくらたくさんため込んでも、どれ一つとしてあの世へ持っていくことはできません。この世のことはこの世限りでいったん清算しなくてはなりません。
 そのなかでたった一つ滅びないものがあるとすれば、それは「魂」というものではないでしょうか。死を迎えるときは、現世でつくり上げた財産も地位も名誉もすべて脱ぎ捨て、魂だけを携えて新しい旅立ちをしなくてはならないのです。

 ですから、「この世へ何をしにきたのか」と問われたら、私は迷いもてらいもなく、生まれたときよりも少しでもましな人間になる、すなわちわずかなりとも美しく崇高な魂をもって死んでいくためだと答えます。

 俗世間に生き、さまざまな苦楽を味わい、幸不幸の波に洗われながらも、やがて息絶えるその日まで、倦まず弛まず一生懸命生きていく。そのプロセスそのものを磨き砂として、おのれの人間性を高め、精神を修養し、この世にやってきたときよりも高い次元の魂をもってこの世を去っていく。このことより他に、人間が生きる目的はないと思うのです。

 昨日よりましな今日であろう、今日よりはよき明日であろうと、日々誠実に努める。その弛まぬ作業、地道な営為、つつましき求道に、私たちが生きる目的や価値がたしかに存在しているのではないでしょうか。(要約)

 今日の一言には、「どんなに財産をため込んでも、名声を獲得しても、多くの人を従える権勢を誇っても、人生を終え、死を迎えるときには、肉体をはじめ形あるものは何一つとして持っていくことはできない。しかし、すべてが無に帰してしまうわけでもない。人間が心の奥底に持っている『魂』だけは、人生の結果として残り、来世まで持ちこすことができる」とあります。

 宇宙のはじまりは138億年前。超高温・超高密度の火の玉「ビッグバン」の急膨張により誕生したとされています。
 1981年、東京大学の佐藤勝彦名誉教授(現・自然科学研究機構長)が発表した「インフレーション理論」は、宇宙が超短時間に急膨張し、その際に放出された熱エネルギーがビッグバンの火の玉になったとする理論で、インフレーション瞬間は、シャンパンの泡1粒が、光速より速い一瞬のうちに太陽系以上の大きさになるほどの爆発的な膨張速度だったと試算されています。

 私たちは、「人生100年時代」と言われるほど長生きできるようになってきましたが、それでも宇宙が辿ってきた悠久の歴史からすれば、誤差ともいえないほどわずかな時間しか生きることはできません。

 しかし誰もが、現世の間に苦難にも遭遇しますし、幸運にも恵まれます。そして、そうした荒波にもまれながら波瀾万丈の一生を過ごし、やがて寿命が尽きて死を迎えます。

 はたして「魂」は存在するのか、死んだら「魂」は新しい旅立ちをしていくのか、そうしたことは誰にも分からないことですが、「ほんとうにいい人生だった」と思って死んでいけるならば、少なくとも自分の一生は、自分に関わりのあった人々の役に立った、と言えるのではないでしょうか。

「心を高める、魂を磨く」
 自分の身のまわりに起こるすべてのことは磨き砂。そう信じて、日々誠実に生きていきたいと思っています。


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