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『稲盛和夫一日一言』4/18(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/18(火)は、「無私」です。

ポイント:人を動かす原動力はただ一つ、公平無私ということ。

 2019年発刊の機関誌「盛和塾」特別版『体系的に学ぶ稲盛哲学』(盛和塾事務局編/非売品)の中で、成功を持続させる働き方について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 成功を持続させる働き方として最も大切なことは、「無私の心で働く」ということだと思います。

 権力の座を昇れば昇るほど、命令で何でもできるようになります。特に経営トップは、誰からも制約されません。いい加減な働き方をしていても、任免権といった絶対権限を持つわけですから、できないことはないと言っていいほどです。

 中には、公私の区別がつかなくなり、プライベートなことまで、社員を使ってやらせるという経営者もいます。本来であれば、そのような人間として未熟な人物が経営トップなど務まるはずがありません。おそらく、その人も、かつては立派な人間であったのです。ところが、権力の座が人間の感覚を麻痺させるのです。

 かつて私は、塾生からの質問に応えて、社長業の要諦について述べたことがありますが、ここでは冒頭の三カ条を示します。

 第一に、社長は公私の区別を峻厳として設けることです。つまり、公私混同をしてはならない。特に人事については、いかなる不公平もあってはなりません。
 第二に、社長は企業に対する無限大の責任を持つということです。なぜなら、企業は無生物ですが、その企業に命を吹き込むのは社長であるあなたしかいないからです。
 第三に、社長は自分が持っているすべての人格と意志を企業に注入することが必要です。無生物である会社は何も言いませんから、会社になり代わって、社長が「この会社はこうありたい」と言わなければならないわけです。

 経営者にはひとかけらも「私」があってはなりません。そのような経営者の「無私」の姿勢こそが、従業員をして、「この人についていこう」「この人のためなら、一生懸命働こう」と思わせるのであり、経営者自身も何のやましい気持ちも持たずに、従業員に厳しいことも要求できるのです。
 言われたほうの従業員も、経営者の私利私欲のためではない、全く私心から離れた「公」のためであれば、その目的に向けて自らを鼓舞し、持てる力を最大限に発揮してくれるはずです。(要約)

 今日の一言には、「人を動かす原動力は、ただ一つ、公平無私ということ」とあります。

 現在、このような「無私」の考え方を貫くリーダーが見当たらないのは実に寂しい限りです。日本では、「しっかりと説明責任を果たさなければならない」と言いながら、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、紋切り型の答弁に終始してひたすら時間の経過を待つ政治家の面々。世界では、己の欲望のままに勢力の拡大を図ろうとする多くの輩が、傍若無人に振る舞っています。

 世のため人のために尽くせるような「無私」のリーダーが求められるのは、時代や組織の規模を超えて普遍の真理ではないでしょうか。

 大したことはできないだろうという自覚はあるものの、どんなに小さな組織、集団にあっても、今後とも「無私」という考え方を持って臨んでいきたいと思っています。


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