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『稲盛和夫一日一言』 7月24日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月24日(水)は、「明るく希望を持って次の行動へ」です。

ポイント:十分に反省した後は、新しい目標に向かって、明るく希望を持って、行動を起こしていけばいい。

 2010年発刊の『六つの精進』(稲盛和夫著 サンマーク出版)「六、感性的な悩みをしない」の中で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「済んだことに対して深い反省はしても、感情や感性のレベルで心労を重ねてはなりません。理性で物事を考え、新たな思いと新たな行動に、ただちに移るべきです」

 私自身、若いころにいろいろな悩みを持っていたために、こういう考え方が大切だと感じました。
 人生では、心配事や失敗など、心を煩わせるようなことがしょっちゅう起こります。しかし、起こしてしまった失敗をいつまでも悔やみ、思い悩んでも意味はありません。

 すでに起こってしまったことはいたずらに悩まず、改めて新しい思いを胸に抱き、新しい行動に移っていくことが大切です。
 済んだことに対して深い反省はしても、感情や感性のレベルで心労を重ねてはなりません。理性で物事を考え、新たな思いと新たな行動に、ただちに移るべきです。そうすることが人生を素晴らしいものにしていく、と私は信じています。

 「感性的な悩みをしない」とは、意味のない心労を重ねることをやめるということです。キッパリとあきらめ、新しい目標に向かって打ち込んでいくことが肝要です。

 例えば、不祥事を起こしたり巻き込まれたりしたとしましょう。そのような事態を招いたのは、過去の自分自身が犯した罪、つまり業(ごう)があったからで、その業が、今結果となって出てきたと考えることです。

 反省すべき点については、十分な反省を行い、また二度とそうした不祥事は起こさないという決意はしなければなりませんが、いつまでもクヨクヨと思い悩む必要はありません。身も心もズタズタになるぐらいにうち萎れている自分を逆に励まし、立ち直っていけるようにしていくことが大切です。

 どんな不名誉なことであっても、勇気を持って真正面から受け止め、立ち直っていかなければなりません。
 自分の家族、親戚、友人、さらには会社や世間に対して顔向けできないような事態が起ころうとも、いつまでもクヨクヨと悩まず、反省したら、勇気を奮い起こして新しいことに打ち込むことが大切です。

 いろいろと苦労をするのも、生きているからで、死んでしまえばそんな苦労はしません。生きていればこそ苦労するのだから、苦労することはよいことなのだと考える。
 過去につくった罪、穢(けが)れ、つまり業は、結果として出てくれば消え去っていくものだと捉えれば、それを甘んじて受けることで、自身の身は清められる。これは必要な懺悔(ざんげ)なのだと受け止めることができれば、身も心も晴れ晴れとしてくるはずです。

 生きていれば、まだまだたくさんの災難が起こるかもしれません。クヨクヨと悩むことなく、そういうものを乗り越えて、前向きに力強く生きていくことが大事なのです。(要約)

 今日の一言には、「たとえ生きてはいられないと思うような重大なことが起ころうとも、決していつまでも心を煩わせてはなりません。
 感性的な心の悩みを払拭し、明るく前向きに新しい方向へ新しい行動を起こしていくのです。そのような人は、たとえどんな窮地に陥ろうとも、後に必ず成功を遂げていくことができるのです」とあります。

 昨今、「メンタルヘルスケア」の重要性がますます高まっているように思います。
 「メンタルヘルスケア」とは、社会や職場、家庭などにおいて生じるさまざまなストレスに迅速に対処しつつ、活き活きと健やかに過ごせるための「心の健康」を確保したり管理したりする活動のことです。

 その内容には、自分自身でおこなう「セルフケア」、職場の上司などが行なう「ラインケア」、企業の産業医や労務担当者などが行なう「スタッフケア」、会社以外の機関や専門家などを活用する「事業場外ケア」の4種類があるようです。

 京セラ在籍40年の間、さまざまな要因から会社や職場を去っていった人たちをたくさん見てきました。自身も途中からエンジニアとしての専門職を離れたという点ではその一人かもしれません。
 そうした人たちの中には、この「六つの精進ー6 感性的な悩みをしない」という一文に救われた人も少なからずいるのではないかと思っています。

 決定的なダメージを受けて身も心もズタズタになってしまう前に、当人から発信されている弱々しいヘルプシグナルを、周囲にいる誰かが敏感に気づき、そっと寄り添って急がず慌てず、一緒になって立ち直りのきっかけを探してあげる。

 「本人の心の持ち様次第だから」と変に割り切ってしまうのではなく、誰にでも起こり得ることなのだとの認識を持って、丁寧に対処していくことが大事なのではないかと思っています。


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