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『稲盛和夫一日一言』 12月2日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月2日(土)は、「経営12ヵ条 ②」です。

ポイント:「経営12カ条」は、人間として何が正しいかという最もベーシックで普遍的な判断基準に基づいたもの。

 昨日に引き続き、2022年発刊の『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著 日経BP/日本経済新聞出版)の第4~6条について、その要点を示します。

第4条 誰にも負けない努力をする
     地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける

 努力こそが、成功への王道です。京セラがわずか半世紀ほどで今日に至るまでの成長発展を遂げることができたのは、努力以外に理由はありません。
 ただ、その京セラの努力は、「誰にも負けない努力」でした。この「誰にも負けない」ということが肝心です。「誰にも負けない努力」でなければ、企業を成長発展に導くことはできません。京セラがそうであったように、全力疾走でフルマラソンを駆け抜けようとする努力こそが、「誰にも負けない努力」なのです。

 そして、もうひとつ大切なことは、そうした「誰にも負けない努力」を、日々絶え間なく続けるということです。言い換えれば、どんな偉大な仕事も、地道な一歩一歩の弛まぬ努力の積み重ねからできている、ということを決して忘れてはなりません。(要約)

第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
     入るを量って、出ずるを制する。
     利益を追うのではない。利益は後からついてくる

 今日まで、私は「売上最大、経費最小」を経営の大原則としてきました。非常にシンプルな原則ですが、この原則をただひたすら貫くことで、京セラは素晴らしい高収益体質企業となることができたのです。
 売上を増やせば経費もそれに従って増えていくものだと考えがちですが、そうした誤った「常識」にとらわれることなく、売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑えていくための創意工夫を徹底的に続けていくことが大切です。そうした姿勢こそが高収益を生み出すのです。
 そして、「売上最大、経費最小」を実践するためには、業績が組織ごとに、かつリアルタイムにわかる管理会計システムが不可欠です。組織の業績向上に貢献する会計システムや仕組みを構築することも、経営者の大切な役割のひとつなのです。
(要約)

第6条 値決めは経営
     値決めはトップの仕事。
     お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である

 製品の値決めにあたっては、さまざまな考え方があります。価格を下げ、利幅を少なくして大量に売るのか。それとも、価格を上げ、少量販売であっても利幅を多くとるのか。その価格設定は無限にあり、それはまさに経営者の思想の反映であると言ってもよいものです。

 値決めにあたっては、製品の価値を正確に判断したうえで、製品1個当りの利幅と販売数量との積が極大値になる、ある一点を求めて値決めをしなくてはなりません。また、その一点は、お客様が喜んで買ってくださる「最高の値段」でなければならないと私は考えています。
 しかし、そうした熟慮を重ねて決めた価格で最大の利益を生み出すには、「経営努力」が必要です。大切なのは、「値決めと仕入れ、あるいはコストダウンが連動していなければならない」ということです。つまり、値決めをするということは、仕入れやコストダウンにも責任を持つということなのです。それが「値決めはトップが行うべき仕事」である、という理由のひとつです。
 また、値決めというのは、経営者の人格がそのまま表れるものだと私は思っています。そうしたことをよく理解して、素晴らしい経営を目指していってほしいと思っています。(要約)

 「誰にも負けない努力」とはどのようなレベルの努力なのか、実際はそれをやったことのある人でなければ分からないでしょう。ふっと気がついて辺りを見回すと、今までとは一段違う高みの景色が広がっている、そんな感覚ではないかと私は思っています。
 しかし、いったん気を緩めてしまえば、はるか眼下に見えていた景色がみるみる近づいてきて、あっという間に後続集団に飲み込まれてしまう。
 第4条では、踏ん張り続けられるかどうか、気概を持ち続けられるかどうかが問われているのではないでしょうか。

 第5条「売上最大、経費最小」は、京セラ社員であれば誰もが真っ先に意識することになるフィロソフィのひとつです。間接部門であっても、備品一つひとつの購入価格にまでこだわって経費削減を図ることが求められます。

 また、京セラでは「一人一人が経営者」という意識が徹底されています。名誉会長が再建された日本航空にも、「一人ひとりがJAL」というJALフィロソフィがあります。第6条「値決めは経営」においても、社員一人一人がそれぞれ経営者だという意識を持つことで、その判断はより精度アップしていくのは自明です。
 「経営12カ条」は、どれもが非常に重みのある言葉なのですが、決してそれぞれが独立して存在しているのではなく、密接にリンクしていることが分かります。

 「知識を見識にまで高め、見識を胆識にまで高める」
 名誉会長は、「胆識とは、経営に必要な強い意志、胆力、燃える闘魂」と説かれています。経営者である以上、知識を見識に、見識を胆識にまで高めていかなければ何の意味もない、ということを肝に銘じて、日々「経営12カ条」を強く意識しながら仕事をしていきたいと思っています。


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