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『稲盛和夫一日一言』 5月20日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月20日(月)は、「信じる道を行く」です。

ポイント:これが正しい道だと固く信じているのであれば、その道がどんなに険しかろうと、その道をまっすぐに頂上まで登るべきだ。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「安易な道を避ける」の項で、信じる道を進むことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 大学を卒業してすぐ、私は京都にある小さなセラミック会社に就職しました。そこで私は経営陣と衝突し、労働組合からも攻撃され、孤立無援に陥っていました。
 そのとき、私は高くて険しい山を、チームを率いて登っている姿を思い浮かべたのです。そこでは途中でくじけたり、ひるんだり、また足を踏み外して転落してしまったりする人もいるかもしれません。

 上司は、妥協するようしきりに勧めました。それは、もっとゆるやかな登山道を選んで、集団とともに頂上を目指すべきだというアドバイスのように聞こえました。
 私は上司の忠告をよく考えてみましたが、結果として垂直登攀(とうはん)に挑む方を選んだのです。もし安易な道を選んでゆっくりと登ったら、頂上に辿り着く前に恐らくあきらめてしまうだろうということが、私にはわかっていたからです。


 私は自分が弱い人間だということを知っていました。しかし仲間は私を心から信頼してくれていたのです。私が安易な道を選べば、それは彼らにとっても楽なものだったのでしょうが、しかしそれでは本当の幸福には辿り着けなかっただろうと思うのです。

 これが正しい道だと固く信じているのであれば、その道がどんなに険しかろうと、どんな悪天候に遭遇しようと、その道をまっすぐに頂上まで登るべきだと、私は心に決めたのです。それ以来、私は全員が一緒に頂上に到達できるよう、他人へと同様、自分にも常に厳しい姿勢で臨み続けました。

 大抵の場合、安易な道はゴールへとは導いてくれないのです。(要約)

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「信念を貫く」の項で、信念は人に最大の勇気を与えてくれるとして、名誉会長は次のように説かれています。

 仕事をしていく過程には、さまざまな障害がありますが、これをどう乗り越えていくかによって結果は大きく違ってきます。

 何か新しいことをしようとすると、反対意見やいろいろな障害が出てくるものです。そのようなことがあると、すぐに諦めてしまう人がいますが、素晴らしい仕事をした人は、あらゆる壁を高い理想に裏打ちされた信念でもって突き崩していった人たちです。
 そうした人たちは、これらの障害を試練として真正面から受け止め、自らの信念を高く掲げて進んでいったのです。

 信念を貫くには大変な勇気が必要ですが、これがなければ革新的で創造的な仕事はできません。京セラのように、理念、信念に基づいて企業経営を行っている場合には、易きに流れるということはないはずです。

 人間とは面白いもので、どんな困難に遭遇しようとも、信念さえあれば、自分を励まし、くじけずにやっていくことができるのです。大事なことは、「その信念があるかどうか」なのです。

 例えば、「自分は身体が頑健というわけではないから」などと言って尻込みしているようでは、リーダーというものは務まりません。
 仮に、か弱く非力な肉体しか持っていなくても、また喧嘩の経験もなく、年中泣かされてばかりいたとしても、とにかく信念を持って腹を決めてしまうことです。

 たとえどのような状況に陥ろうとも、「自分の部下や家族を守るためなら、私は命を捨てても構わない」という気概で立ち向かっていく。そうした信念で裏打ちされた度胸を身につけることです。
 そのためにも、立派な理念を持ち、それを信念にまで高めていくことが何より大切です。
(要約)

 「信念」には、「固く信じて疑わない心、行動の基礎となる態度」といった意味があります。

 本当に強い人が持つ特徴について書かれたある記事には、次のような項目があげられていました。
 ・どんな意見にも耳を傾けることができる
 ・誰に対してもフラットな態度で接することができる
 ・コンプレックスをさらけ出すことができる
 ・明確な夢や目標を設けている
 ・自己肯定感が高い

 これらの言葉からは、「積極的傾聴を心がけ、誰にも公平無私な態度で接し、己の弱さを認めつつも、大きな夢を描いて高い目標を掲げ、それを自らの道と信じて、信念を持って進んでいこうとする」、そうした人が見えてきますが、それを実行していくのは、並大抵のことではないように思います。

 「安易な道は、ゴールへとは導いてくれない」
 せめてこの言葉くらいは心の中にしっかり留めて、日々の判断の基軸にしていかなければと思っています。


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