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『稲盛和夫一日一言』 6/4(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/4(日)は、「繊細に取り組む」です。

ポイント:製品には、つくった人の心が表れる。粗雑な人がつくったものは粗雑なものに、繊細な人がつくったものは繊細なものになる。

 2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、製品には作り手の生き様が反映される、ということについて、伊藤謙介元京セラ会長は次のように述べられています。

 ものづくりで大切なのは、技術力だけではありません。そこに携わる人の人格こそが、製品の出来を大きく左右する重要な要素です。だからこそ、十分な技術力のある人が、素晴らしい人格を持つことが必要なのです。

 製品には作り手の生き様が反映されます。素晴らしい生き方をすることで、人格に磨きをかけていくことが、必ずいいものづくりに結びついていきます。
 稲盛名誉会長は、「心が曲がれば品物も曲がる」とよく言われていました。ものをつくる人の心が曲がっていれば、いいものづくりなどできないという意味ですが、この言葉はまさにものづくりの本質をついていると思います。

 また、ものづくりには緻密さや几帳面さも要求されます。名誉会長からは、「ノート一つ置くにも、机の端に合わせて揃えて置きなさい」と指導されました。帰宅するときには、机の上に何もない状態になるよう、すべて引き出しの中に片づける。また、机の並びもきれいに揃っていて、朝礼時の整列も、全員が真っすぐに並ぶようにする。
 そういったことがきちんとできていなければ、心が落ち着かないと感じるようになるまで、日ごろからしっかりと習慣付けられるよう、繰り返し注意していかなければなりません。

 実際には、多少机の上が乱雑であっても机の並びが曲がっていても、また朝礼の列がきれいに揃っていなくても、ものをつくることはできます。しかし、そのような精神状態では、決して手の切れるような製品をつくることはできません。なぜなら、その現場で働いている人たちの心の状態が、すべて製品に反映されてしまうからです。

 緻密さや几帳面さが必要だと指導されてきたのは、まさにそこにものづくりの基本があるからなのです。(要約)

 今日の一言には、「製品には、つくった人の心が表れる」とあります。
 「素晴らしい心根を持った人がつくれば、素晴らしいものができるし、雑な人がつくれば、雑なものしかできない」
 京セラ在籍40年の間、事あるごとに指導されてきた言葉ですが、まさにその通りだったかな、というのが今の実感です。

 職場にはいろんな感性を持った人がいますが、素晴らしい製品をつくるためには、職場の全員が繊細な感覚を持っていることが必要です。繊細な感覚とは、ごくわずかな製品の色調の違いや、設備からのちょっとした異音などにも気づくことができるほど研ぎ澄まされた感覚のことです。
 繊細な人がつくったものは繊細なものに、感覚の鋭い人がつくったものは鋭いものに仕上がります。ですから、全員が同じように繊細で鋭い感覚をもって作業にあたる、ということが大事になるのです。

 伊藤元会長は、「細部に至るまで完璧な製品があるとすれば、それは作り手が一分(いちぶ)のすきもないような生き方をしているからです。真摯に仕事に向かい、技を磨き、心を磨いてきた生き様が、一切の妥協も許さず、完璧な作業工程のもと、手の切れるような製品をつくり上げ、人々に感動さえ与えるのです」とも言われています。

 ものづくりに限らず、「これくらいでいいか」と妥協を繰り返した先にあるのは、後ろめたさや後悔であって、満足感、達成感ではないはずです。

 「謙虚にして驕らず、さらに努力を!」
 少しでも人格を高めていけるよう、日々精進していきたいものです。


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