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『稲盛和夫一日一言』4/27(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/27(木)は、「見えるまで考える」です。

ポイント:夢が成就したときの姿や、そこへ至るプロセスを何度もシミュレーションし、眼前に「見える」まで濃密にイメージできるようになると、夢の実現に向けた道筋が次第にクリアに見えてくるようになる。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、見えてくるまで考え抜くことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、研究に携わっていた若いころの経験から、「カラーで見えてくるまで考える」ということを大切にしてきました。

 研究を開始するにあたっては、まず開発の過程を思い描きます。例えば、こういう原料を使い、こういう薬品を添加して、こういう装置を用いて、などとあらゆるプロセスを考えていきます。それを私は「シミュレーション」と言っているのですが、その際、頭の中で起こり得るすべての問題を考え尽くすのです。

 そうやって来る日も来る日も自分の頭の中でシミュレーションを繰り返していると、そのうちにあたかも実験が成功したかのように思えてきて、完成した製品の姿までもが頭の中に明確に浮かび上がってきます。これが「見える」という状態です。

 自分で手を動かさない場合も、自分で考え抜いて「見える」ところまで行っていないと、部下が行った研究開発の結果を正しく評価することはできません。なぜなら、自分が「見える」状態になっていないので、部下が開発した製品を見ても、「まあ、これでいいだろう」としか言えないわけです。

 自分で研究開発を手がけているわけでもないのに、頭の中で繰り返し繰り返しシミュレーションを行うことによって、完成品の姿が克明に見えてくる。それが「見えてくるまで考える」ということなのですが、その考え抜いた結果が「白黒」で見えている程度ではまだ不十分で、「カラー」でありありと見えてこなければ考え抜いたことにはなりません。
 そこまで徹底的に考え抜けば、研究開発にとどまらず、事業であっても必ず成功するはずです。
(要約)

 今日の一言には、「夢が成就したときの姿や、そこへ至るプロセスを幾度もシミュレーションし、眼前に見えるまで濃密にイメージしていると、実現への道筋が次第に明らかに見えてくるとともに、そこへ一歩でも近づくためのさまざまなヒントが、何気ない日常生活からも得られるようになってくる」とあります。

 名誉会長は、最初は単なる夢や願望であったものが、真剣にシミュレーションを繰り返していると、ついには夢と現実との境がなくなり、まだやってもいないことまでもが、あたかもやれたかのように感じられるようになる、とも言われています。

 日本語では「既視感」と訳されることが多いようですが、フランスの心理学者エミール・ブワラックによって提唱された「デジャブ」という概念があります。
 それは、「過去に経験・体験したことのない、初体験の事柄であるはずにも関わらず、かつて同じような事を体験したことがあるかのような感覚に包まれること」といった意味ですが、それ自体はそう珍しいことではなく、かなり多くの人が経験したことがあるといわれています。

 「見える」という状態は、この「デジャブ」の感覚に近いものではないでしょうか。あたかも一度通った道であるかの如く思えるまで考え抜き、繰り返しシミュレーションすることが夢の実現へとつながっていく。
 成功を勝ち取ってガッツポーズをしている自分が鮮明に見えてくるまで、何度も深く考え抜いていくことで、次第に「自分にもやれる」という自信が生まれ、夢の実現へと導かれるのではないでしょうか。


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