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『稲盛和夫一日一言』5/29(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/29(月)は、「万病に効く薬」です。

ポイント:一生懸命に働くことが、人生を素晴らしいものに導いてくれる。働くことは、まさに人生の試練や逆境さえも克服することのできる「万病に効く薬」のようなもの。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の「プロローグ 幸福になる働き方」の中で、一生懸命に働くことの意義について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 この国は今、「道しるべのない時代」を迎えています。
 確かな指針を見い出せない中にあって、少子高齢化や人口減少、地球環境問題など、過去に経験したことがない問題に直面し、人々の価値観そのものが、大きく揺らいでいるように見受けられるのです。

 人生の中でもっとも多くの時間を費やす、「働く」ということに関する考え方、仕事に対する心構えも、そのひとつなのかもしれません。
 「なぜ働くのか」「何のために働くのか」 多くの人が今、働くことの意義やその目的を見失っているようです。

 日々の仕事を進めるための技術やマニュアルは、あふれるほど用意されているのに、「働く」ということに込められた、根本的な価値を明らかにすることは、ないがしろにされてきました。
 そのため、今、若い人たちの間で、労働を嫌い、厭(いと)い、できるだけ回避しようとする傾向が顕著になっています。
 株の取引などで「楽して儲ける」スタイルに憧れを抱く人や、ベンチャーを起業するにしても、上場で一攫千金(いっかくせんきん)を果たし、若くしてリタイアすることがゴールだという人も増えているようです。

 一方、働くことを怖がる傾向も多く見られます。
 社会へ出て働くことは、自分の人間性を剥奪(はくだつ)されてしまう苦役(くえき)でしかない。だから、就職もせず、親の庇護(ひご)のもと、ぶらぶらと過ごす。さもなくば目的もなく、アルバイトで食いつなぎながらイヤイヤ働く。ニートやフリーターなどの増加は、労働に関する考え方、心構えの変化がもたらした、必然的な結果だと言えるかもしれません。

 このように、今多くの人が「働くこと」の根源的な意味を見失い、「働くこと」そのものに、真正面から向き合っていないように思うのです。
 働くことの意義を理解し、一生懸命に働くことで、「幸福な人生」を送ることができる。私は、労働が人生にもたらす、素晴らしい可能性について述べていきたいと考えています。
(要約)

 『働き方』は14年前に発刊された書籍ですが、このプロローグに書かれている社会情勢は今でもさほど変わっていないように思います。
 
 世界に類を見ないスピードで進行する日本の少子高齢化に対して、政府はさまざまな施策をひねり出そうとはしていますが、有効打となるものがどれほどあるのか、まったく予測もかないません。
 将来的に同様の課題を抱えるであろう諸外国から見て、これからの日本の行く末が、果たして絶好のモデルケースだったと称賛されるのか、はたまた、日本のようになったらおしまい、といった反面教師にしかなれないのか、置かれた状況は非常に悩ましく、またぎりぎりの局面であるように感じています。

 一生懸命に働くことだけが、自分の人生を素晴らしいものへと導いてくれるかどうか、正直私には分かりません。しかし、働かなければ生きていくことのできない人が大多数の現代社会において、可能であれば、実社会に出て働き始める前の学生や生徒のうちか、あるいは働き始めて厳しい現実に直面し、それをどう乗り越えていけばいいのか悶々としている比較的若い世代の方々には、「働く」ということの持っている意義について、じっくりと考えてみる機会を持っていただきたいと願っています。

 「人生・仕事=修行」 生きる、そして働くということを通して、一生涯、心を高め魂を磨き続けていきたい。それが今の私の思いです。


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