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『稲盛和夫一日一言』5/3(水)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/3(水)は、「人間として正しいこと」です。

ポイント:「人間として何が正しいか」を自らに問い、誰からみても正しいこと、人間として普遍的に正しいことを追求し、理想を追い続けることが大切。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)の中で、正しいことを正しいままに貫くことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、企業経営において最も大切なものは、経営者が持つ哲学だと思っています。社員から信頼と尊敬を得られるような立派な哲学を持っているかどうかが、企業の盛衰を決めるといっても過言ではありません。

 日々判断が必要になったとき、いったい何を基準に判断を下すのか。自身が持っている責任が重ければ重いほど、その影響は甚大なものになっていきます。
 それは、飛行機の機体に生じたクラック(亀裂、ひび)に例えることができるでしょう。地上を滑走しているときであれば、多少のクラックがあったとしても、機体に致命的なダメージを与えることにはなりませんが、仮にその状態のまま高度一万メートルの上空を飛行すれば、資材にクラックが拡がって限界を超え、大惨事を招くことになりかねません。

 組織もまた同様です。責任が小さいミドル・マネジメント層であれば、たとえ判断に少しの過ちがあったとしても、まだその上に是正する上司が存在しますから、会社全体にダメージが拡がらないよう歯止めをかけることもできます。
 しかし、トップ・マネジメント層の場合、決して過ちは許されません。なぜなら、トップの小さな判断ミスを契機に、その影響が極限まで拡大して、それまで下してきた正しい判断をも帳消しにして、企業を衰退に陥れてしまうからです。

 当然のことながら、経営者になったからといって、急に正しい判断ができるようになるわけではありません。その人がそれまでにどういう生き様をしてきたのか、毎日どのくらい真剣に生きていたのか、といったことが問われます。

 だからこそ、決して間違った判断をしてはならないと考えた私は、すべての邪心を振り払い、「人間として何が正しいのか」という一点に基準を置き、あらゆる経営判断を行なってきました。よしんば、自分自身にとって不利益なことであろうとも、また会社にとって不利益になろうとも、常に「人間として正しいこと」を正しいままに貫いてきたのです。(要約)

 今まで生きてきた中で、「人間として正しくないこと」をしたときの自分の心情を思い返してみると、「ついつい欲望に負けて・・」「誰も見ていないなら・・」「これくらいなら大丈夫かな・・」「損はしたくない・・」「勢いに任せて・・」「みんなでやれば怖くない・・」「見なかったことにしよう・・」「ここはゴリ押しするか・・」「自分が引き下がれば丸く収まりそう・・」「面倒くさい・・」「長いものには巻かれるか・・」といったフレーズが浮かんできました。

 世の中にはいろいろな人がいて、自分も振れ幅を持っていますから、日常的に、誰から見ても正しいこと、人間として普遍的に正しいことを貫き通すというのは容易なことではないと思います。

 そうであったとしても、我欲を抑え、必ずお天道様は見ていると信じ、自分にひいき目に判断することなく、損得よりも善悪を優先し、自制心を持ち、孤立を恐れず、現実を直視し、謙虚な姿勢で、真っ当な議論を避けることなく、勤勉に、克己心を持って人のために尽くそうと努力する。

 「人間として普遍的に正しいこと」を大切にしながら、真っすぐ前を向いて歩いていければと願っています。


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