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『稲盛和夫一日一言』 1月31日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月31日(水)は、「幸福の鍵」です。

ポイント:幸福になれるかどうかは心のレベルで決まる。どれだけ利己的な欲望を抑え、他の人に善かれかしと願う「利他」の心を持てるかどうかが幸福の鍵となる。

 2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)の中で、「幸福は心のレベルで決まる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は十三歳で終戦を迎えた世代ですので、生きる上で最初に意識したのは、「勤勉」ということでした。廃墟と化した国土に立ち、真面目に一生懸命働くことしか、生きる術がなかったのです。誰もが、誠実に、日々懸命に生きることで精いっぱいでした。

 その後、二十七歳のときに京セラをつくっていただいてからは、「感謝」という思いを強く抱くようになりました。経営の経験も何もない私のために、会社設立に尽力いただいた方々からの期待に応えなくてはならないとの一心から、必死になって働いているうちに、心の底から「感謝」する気持ちが湧き起こってきたのです。

 幸いにして、まもなく会社の経営は軌道にのりましたが、それでも私は一日中走り回り、まさに昼夜兼行で仕事に励んでいました。
 しかしそうした状況下でも、周囲の人々への「感謝」の思いは片時も忘れたことはなく、同時に漠然とではありますが、「自分は幸せ者だ」ということも感じていました。

 その後、社会が豊かになっていくにつれて京セラも成長発展を重ね、私も経営者として世間から高い評価をいただくようになっていきました。
 そのころから私は、「反省」ということを強く意識するようになりました。そして至らない自分ではありましたが、「反省ある人生」を心がけてきたことで、大きな過ちを犯すこともなく、十分に幸せを実感できる、現在の日々を迎えることができているものと考えています。

 どのような環境にあろうとも、自分なりの幸せを感じつつ、現在に至っていることを思い返すとき、私は幸せとはまさに主観的なものであると強く感じています。
 幸せと感じられるかどうかは、あくまでも当人の心の状態にあるのであって、普遍的な基準など一切ないと思うのです。

 物質的にいかに恵まれていようとも、際限のない欲望を追い続けていれば、決して幸せを感じることはできません。一方、物質的に恵まれず、「赤貧洗うが如し」といった状態であっても、心が満ち足りていれば幸せになれます。

 仏の教えに、「足るを知る」という言葉があるように、膨れ上がる利己的な欲望を満たそうとしている限り、心からの幸福感を得ることはできません。
 反省ある日々を送ることで、際限のない欲望を抑制し、今あることに「感謝」し、「誠実」に努力を重ねていく。そのような生き方の中でこそ、幸せを感じられるのだと思うのです。

 幸福になれるかどうか、それは心のレベルで決まります。つまり、私たちがどれだけ「利己」的な欲望を抑え、他の人に善かれかしと願う「利他」の心を持てるかどうか、そのことこそが幸福の鍵となるということを、私は自らの人生から学び、確信しています。(要約)

 「幸せは心のレベルで決まる」の項は、次のようにまとめられています。

 努力して、煩悩(ぼんのう)を抑えることが必要です。そうすれば、人間の奥底にある、美しく優しい心が必ず出てくるはずです。
 そうした美しい心を持って生きることができれば、たとえ物質的に恵まれていなくても、幸せを感じることができるのです。

 同著「善き思いをベースとして生きる」の項では、心に抱く思いの大切さについて、次のように説かれています。

 素晴らしい人生を送るためには、「心に抱く思いによって人生が決まる」という「真理」に気づくことが大切です。

 アメリカの啓蒙思想家、ラルフ・W・トラインは、「あなたが抱く、どの考えも力となって出ていき、どの考えも同じ考えを引き連れて戻ってくる」と説いています。

 心に善き思いを持ったとき、それは善き力となって出ていき、善き結果を連れて戻ってくる。一方、邪悪な思いを抱けば、それは邪悪な力となって発現し、悪しき結果を引き連れて返ってくるというのです。

 そうだとすれば、私たちが心に抱く「思い」が、どのようなものであるかが問われてきます。幸福で満ち足りた人生を望むならば、善き思いをベースとして生きていかなかればならないはずです。(要約)

 まずは、反省ある毎日を送ることで、心の中にある悪しき思いが膨らんでくるのを抑え続けることが大切です。それが習い性になれば、次第に善き思いが心の中で占める割合が大きくなり、やがては善き思いが言動となって発現してくる頻度が増えていくはずです。

 心の中を、できるだけ純粋な善き思いで満たすように努める。そこに幸福の鍵があると信じて生きていきましょう!


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