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『稲盛和夫一日一言』 10月2日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月2日(月)は、「不屈不撓の精神」です。

ポイント:経営者には、どんな困難に遭遇しようともめげない不屈不撓(ふくつふとう)の一心が必要。一生懸命に、真剣に、ひたむきに、邪心なく、気高く強く一筋に、ただ思うこと。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、目標を達成するために必要な心構えについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 これは、哲学者 中村天風さんの言葉で、目標を達成するために必要な心構えについて述べられたものです。

 新しき計画の成就(じょうじゅ)は只不屈不撓の一心にあり
    さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に

 よしや、かりに人生行路の中 滔々(とうとう)たる運命の濁流に抛(な)げ込まるるとも、又不幸病魔の擒(とりこ)となることありとも、夢にも悶(もだ)ゆること勿(なか)れ、恐るること勿れ
                    中村天風著 『研心抄』より

 稲盛ライブラリー/Facebookアーカイブでは、この言葉について次のように解説されています。
 
 稲盛の思想に多大なる影響を与えた人物の一人として、積極思想を説いたヨガの哲人・中村天風がいます。京セラ創業期、経営における心のあり方の重要性を痛感していた稲盛は、ある時、非売品だった中村天風の著書『研心抄』を知人から紹介してもらい、「目から鱗(うろこ)が落ちるような思いで貪り読んだ」と述懐しています。

 そして、1982年1月、京都セラミック株式会社が新生「京セラ株式会社」として新たな船出をするとき(社名変更は同年10月1日)、稲盛は『研心抄』の次の一節を経営スローガンとして掲げました。

「新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に」

 「新しい計画、目標が成就するかどうかは不屈不撓の一心、つまり、どんなことがあろうとも決して挫けない心にある。ならば、それを常に自分に言い聞かせ、心に気高い理想と高邁なビジョンを強烈に描き続けなければならない」という意味です。

 このスローガンを掲げた翌年度、京セラグループの売上は前年度の1,734億円から2,511億円に、さらに翌年の1984年度には3,257億円と急速に増加し、「1兆円企業」を目指すことを標榜するようになります。まさにその原動力ともいうべきものが、「思い」の力を説いた『研心抄』のこの言葉でした。

 時を隔てて2010年2月、稲盛が日本航空会長として、再生計画を遂行する決意を述べるにあたっても、全社員に紹介したのは上記の言葉でした。そして、このスローガンを共有した日本航空の全社員の強い「思い」によって、「新しき計画」は見事に成就することになります。

 私は、京都セラミツクに1981年定期入社していたのですが、翌1982年の経営方針発表会の際に発表された経営スローガンで、初めて「不屈不撓」という言葉を知り、その意味するところを聞いて身震いするような感覚に囚われたのを今でもよく覚えています。

 名誉会長は、「経営とは経営者の『意志』が表れたものである」とも述べられています。
 経営には、こうありたいと思ったら、何が何でもその目標を達成しようとする強烈な意志が必要であり、目標を達成できない場合に、すぐに言い訳を用意したり、目標を修正したり、なかには目標を撤回してしまったりしているようでは、単に経営目標を達成できないだけでなく、従業員にも多大な影響を与えてしまいます。

 このことは、人生設計においても同様ではないでしょうか。何としても、何が何でも、というがむしゃらともいえる思いが物事を成就させていく。
 「私心なく思い続けること」それが目標達成への駆動力となるはずです。


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