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『稲盛和夫一日一言』1/18(水)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1/18(水)は、「素直な目」です。

ポイント:一切のものにとらわれることなく、素直な目で現象を見ることが大事。先入観を持っていれば、物事はその真実を語ってはくれない。

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、あるがままに見ることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 美しい、澄んだ心には、真実が見えます。しかし、エゴに満ちた心には、複雑な事象しか見えません。
 たとえば、「自分が得をしたい」という私欲に基づいた仕事の進め方が、簡単な問題を紛糾させてしまうことがあります。また「自分を良く見せたい」という言い訳が、問題の焦点をぼやかせ、解決を遅らせてしまうこともあります。
 「あるがまま」の心でなければなりません。妙な自分の心を作用させるから、単純な問題が複雑になってしまうのです。
 自分が損をしようが、「あるがまま」にものごとを見る。そして自分に非があれば、「自分が悪い」と認める。そのような澄んだ目で見ると、問題を単純に見ることができ、悩むようなこともありません。
 「自分が楽をしたい、いい目をみたい」というエゴの心を離れなければ、ものごとはその真実の姿を現わさないのです。(要約)

 創業以来、京セラでは「現場主義に徹する」ということが大切にされています。
 工程で問題が発生した場合など、「現場を見ずして会議をしてはならない」ということで、まず最初にみんなで現場を見て回り、実際の状況がどうなっているのか共通認識を持った上で議論を始めるといったことが行われてきました。なぜなら、打合せをして対策を立てようにも、現場の状況がよく分かっていなければ、的確な対策を打つことなどできないからです。
 
 会社が成長し、生産規模が大きくなると、製造現場と事務所の距離感が生じてきて、技術者や管理監督者であっても、現場に行く機会が少ないといった人が増えてきます。そうなると、現場不在の議論がますます多くなっていきます。

 「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」という映画の台詞を覚えておられる方も多いでしょう。
 これは、劇場版『踊る大走査線』(THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間)のクライマックスで、ついにブチ切れた主人公 青島俊作が会議室のお偉いさんたちに対して発した怒りの一言です。

 それは製造現場においても同様です。まさに問題は現場で起きているのです。そこでも「一切のものにとらわれない、素直な目で現象を見る」ことが大事です。
 特に、製造仕様書の作成を担当する技術部門や、工程管理を行う生産管理部門の担当者たちは、目の前で起こっている現象に対して、製造部門のメンバー以上にその製品に関する知識や経験知があるだけに、ついつい先入観を持って現象を見てしまいがちです。
 また一方、「自分たちの力で何とかしなければ」という思いが先行して、目の前の現象を素直な目でつぶさに見るために不可欠な冷静でニュートラルな心を持ちにくいものです。

 とにかく心を落ち着け、素直な目で現場現物をしっかりと見る。そうすれば、何かしらおかしなところとか、最初は見逃していたものが見えてくるようになります。

 とらわれない「素直な目」で見ること。物事がその真実を語ってくれる糸口を提供してくれるようになるための大事な心がけのひとつです。


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