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『稲盛和夫一日一言』3/14(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3/14(火)は、「雄弁家」です。

ポイント:雄弁な人は、往々にして言葉をもてあそぶ。相手に自分のことを理解してもらいたいのであれば、変に技巧に走らず、全身全霊を傾けて、誠実に話すことが大切。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、魂を込めて語りかけることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「口先だけで」という表現がありますが、ただ言葉を並べるだけでは、自分の思いは相手の心の中に入っていきません。自分の魂からほとばしり出るものが言葉として出てくるかのように真剣に語りかけなければ、自分の思いを伝えきることはできないのです。

 言葉で相手に自分の思いを伝えていこうと思えば、まさに魂を込めて語りかけていく。自分の思いが「言霊(ことだま)」として伝わっていくような話し方をしなければなりません。「言霊」とは、言葉に宿る霊のことで、古来日本人は、言葉に霊が宿っており、その霊の持つ力が働いて、言葉に表すことが現実になる、と考えていました。

 つまり、言葉が魂からほとばしり出ることによって、それが相手の心、魂をも揺さぶり、相手も同じような気持ちになっていく。ですから、精魂込めて、必死になって相手を説得しようと思って話をすると、クタクタになるほど疲れます。

 講演会などで、話術のうまい方はところどころにジョークを交えて聴衆の関心を引くように工夫されたりします。しかし、私はそれがかえって集中を途切れさせるものだと思っていますから、最初から最後まで冗談やジョークを入れずに真剣に話をしていきます。
 聴衆にとっては非常に窮屈でしんどいかもしれませんが、私はそうでなければ、せっかく話を聴きにきてくださっている方々に申し訳ない、失礼にあたると思って、魂を込めて話し続けています。

 仕事においても、部下の人たちに本当に分かってもらい、その気になってもらうためには、魂を込めて、それが言霊として伝わるように話をしなければなりません。自分のエネルギーを相手に注入するかのように、ど真剣に話をしなければ、部下は決して一生懸命にはなってくれません。(要約)

 今日の一言には、「変に技巧に走らず全身全霊を傾けて、誠実に話す。その誠実さこそが、聞き手と話し手を結びつける」とあります。

 「雄弁家」には「弁舌のたくみな人、転じてよくしゃべる人」というややマイナスのイメージを含んだ意味がある一方、「力強く話す人」といった褒め言葉として使われる場合もあるようです。

 今日の一言の真意は、巧みな話術を駆使して耳に心地よい話をしたとしても、それが心のこもっていないうわべだけのものであれば、話し手の思いが相手に伝わることはない、ということです。

 たとえ表現は稚拙であっても、そこに「何としても自分の思いを分かってもらいたい」という自らの強烈な思いがこもった誠実な言葉であれば、その思いは必ず「聞く耳を持たない」聞き手の心にも届くはずです。


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