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『稲盛和夫一日一言』11/28(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11/28(月)は、「損な役を引き受ける勇気」です。

ポイント:自分が最も損な役を引き受けるという勇気がなければ、上に立ってはならない。自己犠牲を払う勇気のない人が上に立てば、その下に位置する人たちが不幸になる。

  2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)第4章 「利他の心で生きる」の中で、利己と利他が裏腹の関係にあるということについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 利を求める心は事業や人間関係の原動力となるものです。しかし、儲けたいという「欲」を利己の範囲にのみとどまらせず、人にもよかれという「大欲」をもって公益を図れば、その利他の精神はめぐりめぐって自分にも利をもたらし、またその利を大きく広げたりもします。

 経営者であれば、社員を雇用しているということだけで、すでに「人のため」になっていますし、結婚して家庭を築き、家族を養い守っていこうとする行為にも利他行が含まれています。
 そこで気をつけなくてはならないのは、「利己と利他はいつも裏腹の関係にある」ということです。つまり、小さな単位における利他も、より大きな単位から見ると利己に転じてしまう。会社のため、家族のための行為には、たしかに利他の心が含まれてはいるのですが、それが「自分の会社さえ儲かればいい」「自分の家族さえよければいい」ということになった途端、それらは利己、エゴへとすり替わり、そのレベルにとどまってしまいます。

 そうした低いレベルの利他にとどまらないためには、より広い視点から物事を見る目を養い、大きな単位で自分の行いを相対化して見るということが大切になってきます。
 例えば、自分の会社だけではなく、取引先にも利益を上げてもらえるように、さらには消費者や株主、地域の利益にも貢献すべく経営を行う。また、個人よりも家族、家族よりも地域、地域よりも社会、さらには国や世界、地球や宇宙へと、利他の心を可能な限り広げ、高めていこうとする。
 そうすることで、おのずとより広い視野を持つことができ、周囲への目配りもできるようになって、目先の損得勘定からだけではない、より客観的な正しい判断ができるようになっていくはずです。
(要約)

 今日の一言では、上に立つ人の心構えとして「損な役を引き受ける、つまり自己犠牲を払う勇気のない人が上に立ってはならない」と言われています。「世のため人のため」という利他の精神を体現していけば、その行為はめぐりめぐって自分にも利をもたらしてくれます。
 より利他的な「欲」が推奨され、より利己的な「欲」は排斥される、そんな社会が広がっていくことを願ってやみません。


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