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『稲盛和夫一日一言』 6月1日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6月1日(土)は、「夢に酔う」です。

ポイント:ビジネスを成功させるためには、夢を抱いてその夢に酔うことが必要。夢に酔っていればこそ、それを実現させる情熱が湧いてくる。

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす ー素晴らしい人生をおくるためにー』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、夢を抱いてその夢に酔うことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 ビジネスを成功させるには、まずは夢を抱いてその夢に酔うということが必要だと、私は考えています。

 一般に事業を行なう場合、「自分のアイデアに酔ってはいけない」といわれています。本来事業とは、緻密な収支計算、採算見込みのもとに進めなければならないものであって、酔ったような状態で事を起こすから失敗するのだという人が多いのです。

 しかし、まずは踏み切るだけの動機をつけていく情熱が絶対に必要です。
 例えば、第二電電の場合、その事業に酔えていなかったら絶対にできなかったはずです。なぜなら、そこには膨大な投資が必要でしたが、それを誰も保証してくれないわけですから、理性で判断しようとしても、絶対に「するな」という結論しか出てこなかったからです。

 それを踏み切らせたのは、「酔う」という状態があったからで、その状態が情熱をもたらしてくれました。どうしてもこの仕事がしたいという強い思いが、せきを切ったように行動へと駆り立てたのです。

 ただ、酔った状態でいいのは、行動に踏み切る直前までです。踏み切った瞬間に、正反対の理性でもって、具体的な方策について考え尽くさなければならないということは言うまでもありません。(要約)

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「積極思考」の大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。

 リーダーというのは、いかなるときも、明るく前向きな姿勢を持ち続けなければなりません。景気が低迷して社内の雰囲気が暗くなりがちなときこそ、リーダーの明るい前向きな態度が大切なのです。

 そのためには、自分の夢が実現することを信じ、その確信を部下たちと分かち合うことが必要です。困難な状況に置かれようとも、現実を直視し、現状に最も即した対策を考え出すことが大切です。
 景気というものは常に循環していますから、景気の回復を期待する前向きな態度のリーダーは、物事がどんどん悪くなるのではないかと思っている悲観的なリーダーよりも、集団をより良い方向へ導いていくことができるのです。

 ロバート・シューラ―という作家は、その著書『成功には終わりがない、失敗は最終結果ではない』の中で、「人生に対して楽観的で前向きな物の見方をすることは、人間として素晴らしい人生をおくるうえで、最も大事な前提条件だ」と言っています。

 私もまったく同感です。人生というのは、自分が期待する方向に向いていくものだと信じることが大切なのです。すべてのことに対し、前向きな結果を期待して、人生を歩みたいものです。

 特に創造をする場合には、まさに空想で結構なので、最初に自由な発想をすべきであって、それを制約するネガティブな考え方はやめて、ポジティブな考え方をすべきです。
 超楽観的な立場に立って物事を考える、つまり、悲観的な考え方にとらわれないということが、まずは大事であろうと思っています。
(要約)

 「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という京セラフィロソフィがありますが、今日のタイトル「夢に酔う」という状態は、構想段階には不可欠なものなのではないでしょうか。

 「夢に酔っていればこそ、それを実現させる情熱が湧いてくる」

 夢を現実のものにしていくには、しっかりと計画し実行に移していくしかないのですが、そうした段階に突入した瞬間、「酔った」状態から「しらふ」の状態に戻って、今度は理性をフル稼働させて実際的な方策を考え尽くし、無用なリスクは極力避けつつ、夢の実現を目指して突き進まなければなりません。
 そうしたときに必要になるのが、明るく前向きな姿勢を持ち続けようとする姿勢です。

 2004年発刊の『君の思いはかならず実現する』(稲盛和夫著 財界研究所)の「はじめに」の中で、名誉会長は次のように述べられています。

 才能に乏しくても、熱意があれば人に負けないはずだ。しかし、それ以上に大切なものがあるはずだ。それは心のあり方だ。
 人間として正しい考え方を持ち、目標に向かって一生懸命に努力すれば、必ず夢は実現する。つまり、人生は心に描いたとおりになる。そう考えて、私は今日まで生きてきました。
(要約)

 人生に「必ず」「絶対」ということはないのかもしれませんが、いくつになっても、「夢を抱いてその夢に酔い、その実現を信じて」生きていきたいものです。


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