『マズルカ 即興曲 Mazurkas No 42 ~No 57 Mazurkas Imprompyus No1~No4』 フレデリック・ショパン

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フレデリック・ショパンのマズルカはポーランド各地方の民俗舞踊に基づいて作曲された50曲以上の作品群。

概要
ショパンは楽曲の中で、主にマズル・オベレク・クヤヴィヤクの3つの踊りの型を組み合わせて作曲している[1][注釈 1]。付点リズム・強調拍・三連符という元来の特徴をもちながら、転調や和声進行、マジャール音階・教会旋法の使用などに、作曲者の斬新な取り組みが随所に確認でき、彼の作曲語法を知る上で不可欠の素材となっている。また、元々マズルカはバグパイプの伴奏のうえで踊られたという歴史があり、このバグパイプは主音と属音の5度を保続させることができるが、それはショパンのマズルカの伴奏音型にも表れている[1]。

ショパンは作品を出版する際に必ず3つから4つのセットで出版しており、これらのセットをまとめて演奏することを意図していたのではないかと思われている

Op.67
1 マズルカ 第42番 ト長調[注釈 6]
2 マズルカ 第43番 ト短調[注釈 7]
3 マズルカ 第44番 ハ長調[注釈 8]
4 マズルカ 第45番 イ短調[注釈 9]

フレデリック・ショパンのマズルカ作品67は4曲からなるマズルカ作品群。作者が生前に書きためたものを友人ユリアン・フォンタナが一組のものとして1855年に出版している。

4曲の作曲年代は25歳の青年期と、37歳の晩年期のものとを含む。作風は一定していない。

Op.68
1 マズルカ 第46番 ハ長調[注釈 10]
2 マズルカ 第47番 イ短調[注釈 11]
3 マズルカ 第48番 ヘ長調[注釈 12]

4 マズルカ 第49番 ヘ短調[注釈 13]

マズルカ ヘ短調 作品68-4(第49番(パデレフスキ版では第51番)、遺作)は、フレデリック・ショパンが死の年である1849年にパリで作曲したピアノ独奏曲。現在も残っているショパン自筆のスケッチを親交の深かったチェリストのオーギュスト・フランショームが筆写し、友人のユリアン・フォンタナの校訂により1855年に出版された。なお、ショパン自筆のスケッチ、フランショームの写筆譜ともにワルシャワのショパン協会に保管されている。
概要
このマズルカのショパンの自筆譜は、清書譜や決定稿ではなく、スケッチの段階であるため、特にトリオの部分がほとんど判別困難な状態にある。フランショームによる筆写譜では、16小節のヘ長調のトリオが前述の理由から省略されているが、ヤン・エキエルによって校訂及び復元され1965年に単行出版された楽譜や2007年に刊行された『ショパン・ナショナル・エディション』のBシリーズ・第 I 巻「マズルカ集(B)」では、トリオ部分が復元されている。なお、自筆のスケッチには、仰臥しながら書いているときに手が滑ったのかペンが紙の上を走った跡が多く見られる[1]。

作曲者の絶筆という事情もあり、演奏会で取り上げられることも多い。

構成

冒頭部分
Andantino(エキエル版ではLento)、4分の3拍子、ヘ短調。

冒頭のタイのついた主題が転調されて繰り返される。半音階的下降と全音ずつの下降とが組み合わせられ、調性が不安定。途中イ長調に変わるが、全体の無調性のために違和感はない。トリオもつけられているが主部同様に転調が著しい。



作品番号なし

作品タイトル
マズルカ 第50番 イ短調「ノートル・タン」[注釈 14]
マズルカ 第51番 イ短調「エミール・ガイヤール」[注釈 15]
マズルカ 変ロ長調[注釈 16]
マズルカ ト長調[注釈 17]
マズルカ ニ長調[注釈 18]
マズルカ ニ長調[注釈 19]
マズルカ 変ロ長調[注釈 20]
マズルカ ハ長調[注釈 21]
マズルカ 変イ長調[注釈 22]
マズルカ 変ロ長調[注釈 23]

脚注

注釈
1^ それぞれの舞曲の型の詳細についてはマズルカを参照。
2^ ヘンレ版ではOp.41-4 第29番。
3^ ヘンレ版ではOp.41-1 第26番。
4^ ヘンレ版ではOp.41-2 第27番。
5^ ヘンレ版ではOp.41-3 第28番。
6^ パデレフスキ版では第44番。
7^ パデレフスキ版では第45番。
8^ パデレフスキ版では第46番。
9^ パデレフスキ版では第47番。
10^ パデレフスキ版では第48番。
11^ パデレフスキ版では第49番。
12^ パデレフスキ版では第50番。
13^ パデレフスキ版では第51番。
14^ パデレフスキ版では第43番。ヘンレ版では第52番。
15^ パデレフスキ版では第42番。ヘンレ版では第53番。
16^ パデレフスキ版では第52番。ヘンレ版では第51番。
17^ パデレフスキ版では第53番。ヘンレ版では第50番。
18^ パデレフスキ版では第54番。
19^ パデレフスキ版では第55番。ヘンレ版では第54番。
20^ パデレフスキ版では第56番。ヘンレ版では第55番。
21^ パデレフスキ版では第57番。ヘンレ版では第56番。
22^ パデレフスキ版では第58番。ヘンレ版では第57番。
23^ KK番号はVe/4。ドンブロフスキのマズルカ(ポーランドの国歌)の後半リフレイン部分をピアノ用に編曲したもの。
出典
24^ a b 湯浅 2020, pp. 48.

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