『ピアノソナタ第24番 『テレーゼ』 ヘ長調 作品』 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

(P)フリードリヒ・グルダ 1953年11月13日録音
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ピアノソナタ第24番 嬰ヘ長調 作品78は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1809年に作曲したピアノソナタ。

概要
ルドルフ大公の目録によれば、この作品の写譜が大公の元に届けられたのは1809年10月であったらしい[1]。当時は旺盛な創作活動を続けていたベートーヴェンであったが、ピアノソナタの分野では前作『熱情ソナタ』以来既に4年が経過していた[1]。1809年のナポレオン軍の侵攻はルドルフ大公がウィーンを離れるという事態を招き、この出来事に絡んで作曲された『告別ソナタ』によってベートーヴェンはこのジャンルに舞い戻る。そうした中、同時期に書かれたより規模の小さい本作が先に完成されて世に出されることとなった[2]。

楽譜は1810年9月にブライトコプフ・ウント・ヘルテルから出版され、伯爵令嬢テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックに捧げられた[1]。そのため本作は『テレーゼ』と通称されることもある[1][2]。ベートーヴェンはブルンスヴィック家と親密な関係であり、ピアノの教え子でもあったテレーゼから贈られた彼女の肖像画を生涯大切にしていた[3]。なお、彼女は『エリーゼのために』の「エリーゼ」の正体として有力視されているテレーゼ・マルファッティとは別人である。アントン・シンドラーによれば、作曲者自身はこの作品に強い愛着を抱いていたということである[1][2][4]。

演奏時間
約10分[2]。

楽曲構成
第1楽章
Adagio cantabile 2/4拍子 - Allegro, ma non troppo 4/4拍子 嬰ヘ長調

ソナタ形式[5]。ハイドンの作品などに前例があるとはいえ、古典派音楽としては非常に珍しい調性が選択されている[4]。曲は4小節の優美な導入に始まる。この序奏は楽章中に現れる要素を予言するものであるが、曲中に再度現れることはない[4]。

第2楽章
Allegro vivace 2/4拍子 嬰ヘ長調
ソナタ形式とロンド形式を融合した形式とみなすことができる[4]。ユーモラスな性格を持ちながらも、繊細な感覚で貫かれている[5]。強弱が交代する第1主題に始まる。

出典
1^ a b c d e 大木 1980, p. 380.
2^ a b c d ピアノソナタ第24番 - オールミュージック. 2015年4月26日閲覧。
3^ 大木 1980, p. 377.
4^ a b c d e f “Andras Schiff lecture recital: Beethoven's Piano Sonata Op 78”. The Guardian. 2015年4月25日閲覧。
5^ a b c d e f 大木 1980, p. 381.
6^ a b “Beethoven: Piano Sonata No.24”. Breitkopf & Härtel. 2015年4月26日閲覧。
7^ 大木 1980, p. 382.

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