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The 70 Best Albums of 2021

- in no particular order -

one hand on the steering wheel the other sewing a garden
/ Ada Lea

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カナダ出身のSSW、Ada Lea(エイダ・リア)ことAlexandra Leviが<Saddle Creek>からリリースしたアルバム。Phoebe Bridgersのドラマーとして知られるMarshall Voreがプロデュースを担当。

「自身が住むモントリオールの移りゆく四季を通して、都市生活者として、そして夢想家として、過ぎゆく日々をどう生きるかを優美に描き出している。そう、“一方の手はハンドルに、そしてもう一方の手は庭を縫う”というこの不思議なアルバム・タイトルが醸し出すイメージの通りだ」TURNの記事より抜粋

Wilds / Andy Shauf

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カナダのマルチ奏者/SSW、Andy Shaufの新作。彼はトロントのスタジオで小さなテープ・マシンを使い、古き良きインディー・ロックに回帰したかのような、不完全な雰囲気を醸し出す、純粋でローファイな素晴らしいサウンドと、独特の視点によって描き出される歌詞が生み出すストーリーが多くのファンに支持されている。

2020年の傑作『The Neon Skyline』のアナザー・ストーリーとも言える最新作『Wilds』。『The Neon Skyline』の制作中に録音した約50曲にわたる楽曲の中から9曲を厳選し、ほぼ無濾過の状態で収録したAndy Shaufの新たな芸術的物語だ。

マルチ奏者/SSWである彼が、どのようにして自身の曲をより装飾的なアレンジに仕上げながら「身近な街」「友人」「恋人」など、様々な風景を風刺的に捉え、かつメランコリックに紡いだ全10曲。タワレコオンラインより

Hush Harbor Mixtape Vol. 1 Doxology / Angel Bat Dawid

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クラリネット奏者/コンポーザーであるAngel Bat Dawidの新ミックステープ。

クラリネット奏者で作曲家のAngel Bat Dawidは、フリージャズ界において、より力強く、創造的な活力に満ちた聲(こえ)の一つとなっている。2019年のデビュー作『Oracle』は、Yusef LateefやRahsaan Roland Kirkなどを想起させる作曲のソロ・コレクションであり、2020年のライブ・レコードでは、彼女のツアー・バンドを紹介している。

ダウィドの最新作『Hush Harbor Mixtape Vol.1 Doxology』は、『Oracle』の共鳴を引き継いでいる。南北戦争以前の南部で奴隷が礼拝する秘密の場所にちなんで名付けられたこの作品は、美しさへの罰として金属製のマスクを被った姿で描かれているブラジルの民間聖人、Escrava Anastaciaに捧げられている。この作品は深く入り組んだ、非常に参照性の高いものである。

しなやかな音を奏でる彼女のクラリネットは、12曲を導く力となっており、彼女の歌の歴史的主題への熱い思いと言葉なき賛辞が含まれている。冒頭の「Corn=Rowzz」では、不吉なシンセサイザーの音の上に木管の叙情的なメロディーが奏でられ、続く「Negro Hamlet」では、ボコーダーを介して歌うDawidの聲が、原初のニグロ・スピリチュアルへの呪文のようなレファレンスを断片化している。

音響機器(ボコーダー、シンセサイザー、ドラム・プログラミング)を通した緻密な"破壊活動"が、Dawidの即興的な歴史物語に魅力的なフレーミングを与えている。

『Hush Harbor Mixtape Vol.1 Doxology』は、非常に深みのあるレコードであり、即興演奏という現在の瞬間を通して、想像力と意味付けを試みた情熱的な作品だ。
Downbeatより

ジャケットに描かれている女性の名は、殉教聖Escrava Anastacia。

アナスタシアが死ぬ(鉄の首輪によって引き起こされた破傷風)まで、彼女の奴隷の地位は彼女の所有者によって放棄されました。それ以来、彼女は許しと同情の象徴と見なすブラジル人から聖人として崇拝されてきました。アナスタシアの物語と彼女の闘争が広まり始めると、多くの奴隷は彼女を彼らの多くの闘争と苦難の代表として見始めました。時が経つにつれて、彼女は徐々に抵抗の象徴になりました。公式の聖人ではありませんが、彼女を非公式の守護聖人と見なす信者が多く、癒しの力があると信じているため、多くの人々が彼女に祈っています。彼女はまた、リオデジャネイロの文化遺産内の黒人の歴史に言及する際に影響力のある人物として尊敬されています。Ichi.Proより

Change / Anika

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ベルリンを拠点とするAnikaの、ソロとしては11年ぶりとなる新作。Exploded ViewのMartin Thulinが共同プロデューサーとして参加している。

ベルリンを拠点に活動する、元政治ジャーナリストでミュージシャンのANIKAによる新作アルバム。レイチェル・カーソン『沈黙の春』や、ハンナ・アーレントが提唱した「悪の陳腐さ」からインスピレーションを得たという今作のタイトルは“Change”。世界中で多くの人が現在いる地点を見つめなおしたり、生活を再構築することを余儀なくされたこの1年半。気づかないうちに忍び寄る環境の変化や、政治の変化、個人的な変化について、ときには警告として、ときにはポジティブなメッセージとして、音楽とともに提示しています。Nicoを彷彿とさせるベルベット・ヴォイスに、不穏なベースと電子音、ミニマルなポストパンクのリズムから成る彼女のアートポップは、深い夜、自分と対峙したいときにぴったり。ラストトラックで一転、アコースティック・ギターの爪弾きに切り替わり、ゆっくりとヴェルヴェッツを思わせるアンセムに展開していく様はとても感動的です。ソロ名義の作品としては実に11年ぶりのリリースになります。Marking Recordsより

Overstand / Apifera

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この無国籍感すごい。

ULTRAPOP / The Armed

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何かと謎が多いThe Armed。メンバー編成や歴史などは一旦置いといて、とりあえず『ULTRAPOP』にくらってくれ。

im hole / aya

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<Hyperdub>からリリースされたaya sinclairのデビューアルバム。

アルバムはダブステップ、テクノ、UKベースミュージックなどが解体され再構築されたようなトラックにaya自身が描くストーリーがのせられた全11曲から成る作品となっており、ArcaやLee Gamble好き必聴の刺激的なエレクトロニックミュージックが完成している。ディスクユニオンより

「Emley lights us moor」のMVもカッコよかった。

Subaqueous Silence /
Ayumi Tanaka Trio

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静寂と一音の持つ力。北欧ジャズ・シーンで注目されているピアニスト/コンポーザー、田中鮎美のECM初リーダー作『スパイクエアス・サイレンス−水響く−』。本作は、2019年にオスロのジャズ・クラブ「Nasjonal Jazzscene Victoria」で録音された。全7曲中4曲は、2017年に田中が書き下ろしたオリジナル楽曲。残りの3曲はインプロビゼーションが収録されている。

Talk Memory /
BADBADNOTGOOD

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ラッセル・エレヴァード(Russell Elevado)の力量。

柳樂光隆さんの記事面白かったな

FAV TRACKS: M1「Signal from the Noise」、M2「Unfolding (Momentum 73)」、M4「Beside April」、M6「Timid, Intimidating」

For the first time / 
Black Country, New Road

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UKはサウスロンドンを拠点に活動する男女7人組ロックバンドBCNR。伝統音楽のクレズマーやポスト・ロック、そしてインディー・ロックの融合。来年の2月4日にはニューアルバムがリリース予定。早っ。

Fast Idol / Black Marble

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ニュー・ウェーブ/シンセポップ。(<Ghostly International>から)<Sacred Bone Records>移籍第2弾。Black MarbleことChris Stewartの予言者アプローチ。前作『Bigger Than Life』制作時、彼はアメリカの文化的変化に直面した。その経験から、内省的で憂鬱なものを作るのはよくないと感じ、マクロの視点からの予言者的アプローチを取り、私たちとの間をつなげる鎖を見つけようとした。

FAV TRACKS: M1「Somewhere」、M5「The Garden」、M7「Streetlight」

Cavalcade / black midi

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時代の申し子/そこのけそこのけ/黒楽譜が通る

Cape Cod Cottage /
Brendan Eder Ensemble

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営業職をしながら副業でアリ・アスターなどと活動していたブレンダン・イーダーの新作。エドワード・ブランクマンという引退した歯科医が、1970年頃に無名ながらも作曲していたというコンセプトのもと作られた。Erik Satie+Miles Davis&Gil Evans+ラウンジ・ミュージック。

本人のツイートから4Kロードした水彩画

An Overview on Phenomenal Nature / Cassandra Jenkins

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NYのSSW、カサンドラ・ジェンキンスが〈BA DA BING!〉よりリリースした2ndアルバム。未発表曲やデモを集めたも素晴らしかった。

FAV TRACKS: ALL

Sun Goes Out / Communicant

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Communicantは、Dylan Gardnerが作曲、録音、プロデュース、そしてほとんどの楽器を担当した作品で、重厚なサイケデリック・ポップ・ロックで構成されたデビューフルアルバム。少し読もうとしたら面白かったので、「It's Psychedelic Baby Magazine」によるインタビュー記事を翻訳しました。コチラから。

 『Sun Goes Out』は、The Beatlesに似ているというだけでなく、むしろ『Revolver』に似ている。しかし、このアルバムに影響を与えているのはThe Beatlesだけではない。The Zombies、The Beach Boys、ELOなどの影響も見られる。60年代サイケデリア愛好家にとって、このアルバムはSUGARである。
 このアルバムはほとんどがアップビートで、様々な60年代のサイケポップのトリックが随所に盛り込まれている。
 冒頭の「She Moves the Sky」では、ビートルズのような重厚なバッキング・ボーカル、軽快なヴァース、そしてハリスンらしいリード・パートが聴ける。
 「Sun Goes Out」は、シタールのようなギター・リフ、リンゴのようなドラム、そして最後のボーカル・パートにはちょっとしたエコーがかかっていて、とてもメロディックな曲。
 「Come Down」はアシッドなナンバーで、シタールのようなギターの音が多くなっている。強力なサイケデリアがポップなビートに乗せられている。
 「Housefly」は、他のアルバムよりもモダン・ネオ・サイケのように聞こえる。例えば、Ariel Pinkがキーボードを弾いている姿を想像するのは難しくないだろう。
 最後のトラック「Feel Like I'm Dying」では、ドリーミーでスペーシーなキーボードがフィーチャーされており、これもまた現代的な雰囲気を醸し出している。少しTame Impalaにも似ている。Psychedelic Scene Magazineより

No Moon / D.A.N.

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筆者自身、コンサート「Antiphase of the Moon」に足を運び、生きる喜びを再確認。

月が消滅したことで、自然環境や生態系が崩れたり、僕らの身体や精神にも異変が起きたりするかもしれない。何か大切にしていたものが失われることの象徴として、ここでは月を挙げていますけど、それぞれが大切に思っているものに置き換えてもらえれば、僕らがここで言わんとしているも理解してもらえると思います。櫻木大悟(vo)

SF大作。表と裏、光と闇、バーチャルとリアル...そんな錯綜した"今"と重なる混沌とした世界へ迷い込んだサウンドスケープ。『テネット』、『インタステラー』、UKラジオ「BBC Radio 1Xtra」

櫻木「SkeptaやPa Salieuみたいなチャラくてアガる要素を今までのアンサンブルにいいバランスで配合したいと思った」
市川仁也(b)「Oliver Coates聴いてました」

「Rolling Stone Japan」の記事も面白かった。

Larderello / Dos Monos

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一体どこまで行ってしまわれるのだろうか。

New Long Leg / Dry Cleaning

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サウス・ロンドンで異彩を放つアート・パンク最新形。
DEVOからSonic Youthまでを彷彿とさせる
大型新人バンド、Dry Cleaningが遂にデビュー!!

キャパわずか100人強のミュージック・パブ「Windmill」から次々と全英チャートを席巻するアクトを輩出し、まさに群雄割拠なサウス・ロンドンのシーンにおいて80〜90sのUSニュー・ウェーヴ/オルタナの芳香を纏ったアートな佇まいで異彩を放つ4人組新人バンド、ドライ・クリーニングが名門〈4AD〉から待望のデビュー・アルバムをリリース!!わずか2枚のEPをリリースしただけにも関わらず、ブラック・ミディやフォンテインズD.C.とともにStereogum誌の「The 40 Best New Bands Of 2019」に選出され、イギー・ポップが賛辞を送るなどすでに高い注目を集める中、満を時して完成した本作はPJハーヴェイやオルダス・ハーディングなどで知られる名匠ジョン・パリッシュをプロデューサーに迎え、2020年夏に英ウェールズでレコーディングを敢行。サウス・ロンドンのトレンドでもあるスポークンワーズで現代社会の闇を炙りながら、印象的なベースラインと徐々に熱を帯びるギター・サウンドがスリリングな「Scrachcard Lanyard」、ダビーなリズムボックスを呼び水にミニマルなサイケデリアが病みつきになる「Strong Feelings」を筆頭に、シンプルながらも80年代ニュー・ウェーヴやポスト・パンク、60年代サイケ、ファンク、メタル、ダブといったレンジの広い音楽背景が滲み出る全10曲を収録。サウス・ロンドンの追い風を背に、UKからソニック・ユース不在地を射抜く不敵な傑作がここに誕生した。Beatinkより

Yellow / Emma-Jean Thackray

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Emma-Jean Thackray(エマ・ジーン・サックレイ)の新作。昨年は『Blue Note Re:imagined』に参加し、今年はSquidの新作に参加した。

・「Rolling Stone Japan」によるインタビュー記事
・「Mikiki」による記事

SONGWRIGHTS APOTHECARY LAB / Esperanza Spalding

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2020年のグラミー賞「最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム」を受賞した前作『12 Little Spells』から2年、さまざまな分野の専門家と協議して作られた究極のヒーリング・アルバム。音楽療法、神経科学、黒人音楽、イスラム神秘主義、南インドのカーナティック音楽。

I Know I’m Funny haha /
Faye Webster

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アトランタをベースに活動する23歳のSSW、Faye Webster(フェイ・ウェブスター)の新作。

 彼女は通常、曲ごとのアプローチでアルバム制作に取り組んでいたが、2020年の状況下では、より集中的なレコーディングのプロセスが必要となった。そこで、自らが希望するアセンズを拠点とするプレイヤー達を集め、プロデューサー/ミキサーのDrew Vandenberg(Deerhunter、Of Montreal、Kishi Bashi)と共にスタジオに入った。こうして、ドラムのHarold Brown、ベースのBryan Howard、キーボードのNic Rosen、ペダル・スチール(Websterのレコードで最も信頼性が高く不可欠な音楽要素)のMatt "Pistol" Stoesselによるバンドは結成された。
 小学校時代に独学でギターを学び、家族は伝統的なブルーグラスとカントリーのプレイヤーであったWebsterはミュージシャンになるべくして生まれた。僅か16歳でデビュー・アルバム『Run & Tell』をリリース。10代の現象であったJackson BrowneやLaura Marlingのように、作品は叙情的で芸術的な明快さを示していた。彼女は故郷、アトランタのカルチャーに深く根付いていた。L’il Yachtyはクラスメートで、高校時代にラッパー/プロデューサーのEtherealと友達になった。続けてAwful Recordsと契約。Father、Playboi Carti、Ethereal等とレーベル・メイトとなった。
 部外者にとっては少し奇妙だが、Websterは彼らと同じアート・キッズの精神を共有していたのだ。2017年に〈Awful〉からリリースされたセルフ・タイトルのアルバムは、彼女を〈Secretly Canadian〉(ANOHNI、Porridge Radio、Whitney、Yoko Ono)との契約に導くのに十分な内容であった。2年後、彼女は『Atlanta Millionaires Club』をリリース、批評家達から高い評価を得た。「ペダル・スチールを備えたR&Bのアルバムはほとんど存在しない。ラップの機能を備えたオルタナティヴなアルバムもほとんど存在しない。
 マルチな才能を持つWebsterは、Killer Mike、Offset、D.R.A.M、Nikeといったブランドのキャンペーンの撮影を手掛けた写真家でもある。ディスクユニオンより

Palais d'argile / Feu! Chatterton

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日本語や英語での記事がほぼなく、フランス語の記事しか見当たらなかった。大意は掴めたが、翻訳して公開するには力不足でした笑。

Feu! Chattertonの記念碑的な3rdアルバム『Palais d'argile』は、ロックとエレクトロニックの境界線を吹き飛ばし、人間と機械の関係、スクリーンへの現代的な依存、社会的な距離感を解剖している。狂乱した世界に抵抗する、繊細な詩的・実存的アルバム。この作品は、パリの「Théâtre des Bouffes du Nord」で行われるはずだったショー(ロックダウンのため中止)のライブ・パフォーマンス用に作られたもの。また、Feu! Chattertonは、同時期に演出家のNoémie Lvovskyによるミュージカルのための曲も作っていた。

とりあえずFantanoのレビュー動画貼っときます。

関連作品:Serge Gainsbourg『Histoire de Melody Nelson』、LCD Soundsystem『This Is Happening』、Radiohead『In Rainbows』、Alain Bashung『Fantaisie Militaire』

Promises /
Floating Points, Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra

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まさかフローティング・ポインツがファラオ・サンダースとLSOとコラボするとは思わなかった。46分間、そこに流れる音楽に耳を傾けてください。レコードは、「Bernie Grundman Mastering」にて、Chris Bellmanがラッカーカットを担当しているため、音凄そう。筆者の友人が買っていた。

Ethernity / For Tracy Hyde

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M1「Dream Baby Dream」が流れた瞬間、『ツイン・ピークス』のOPが思い浮かんだ。大学で英語を教えてもらっていたネイティブの先生がレビューを書いていて知った。

Projector / Geese

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ブルックリンのインディー・ロック・バンド、Geese(ギース)のデビューアルバム。ミックスは、Dan Carey(Squid、black midi、Fontaines D.C.)が担当。

本作は、生活のあらゆる部分に音楽が入り込んでいる5人のティーンエイジャーによるプロジェクトで、不思議なほど異質でありながら、不思議なほど親しみやすいものになっている。彼らの未来への不安や現在への不満は、不確実性の高い今日の世界では、非常に身近なものとなっている。Bandcampより

Smiling with No Teeth /
Genesis Owusu

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これも友人からの勧めで聴き始めた。「とにかく楽しい」と。「ARIA Music Awards」などで多くの賞を受賞していた。Backxwashの新作といい、どアップジャケ最高。

Shade / Grouper

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GrouperことLiz Harrisの新作。彼女が15年の間に抱いた心情を夜空に投影した抒情詩。15年という歳月をかけてさまざまな土地で録音された楽曲を収録。

Far In / Helado Negro

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黄昏シンセ・フォークの桃源郷。<4AD>移籍第1弾。80年代の南フロリダのクラブ・トラックと90年代のヒップホップが無人のボサノヴァ銀河で黄昏る先行シングル「Gemini and Leo」をはじめ、2020年夏に訪れたテキサス州の辺境地マーフィに大きなインスピレーションを得て制作された作品。Kacy Hillは、M1「Wake Up Tomorrow」にハミングで参加している。

ヒップホップ、トロピカリズモ、エレクトロニカを甘いサイケデリアで醸造した異常な世界からの内なる逃避行は、細野晴臣リスナーからMndsgn、Toro y Moi好きにも推薦できるアルバム。Beatinkより

Seek Shelter / Iceage

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デンマークのポスト・パンク・バンド、Iceageの3年振り、5枚目のアルバム。前作まで所属した〈Matador〉を離れ〈Mexican Summer〉からのリリース。バンド初となる外部プロデューサーとしてSonic BoomことSpacemen 3のPeter Kemberを起用している。ミックスはShawn Everett(HAIM、The War on Drugs、Kasey Musgraves)が手掛け、追加ギタリストとしてCasper Morilla Fernandezが参加している。

IRA / Iosonouncane

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イタリアのシンガー、イオソノウンカネ(読み方あってるのかな?)の新作。

サルデーニャ出身のシンガーソングライターは、かつてBurialがレイヴに貢献したように、イタリアのカンツォーネにも貢献しているとDavid McKennaは語る。

サルデーニャ出身で、IosonouncaneことJacopo Incaniを初めて知ったのは、昨年、イタリアの伝説的人物Lucio Battistiについての記事を調べているときだった。彼は、Battistiの代表作『Anima Latina』に影響を受けたと主張するアーティストとして推薦されていた。それは、彼の前作である2015年の『Die』でも、「Buio」などで聴くことができる。

60年代/70年代のイタリアのカンツォーネの精神は、インカーニ自身だけでなく、Andrea Laszlo De Simoneのようなアーティストのおかげで、最近、歓迎すべき復活を遂げている。彼の芸名は、悲劇のカンタウトーレ(シンガーソングライター)であるLuigi Tencoの曲「Io Sono Uno」に由来しており、最近では単独のシングル「Novembre」でTencoの「Vedrai, Vedrei」をカバーしている。クラシックを重厚な合成の霧の層で覆い隠すというアプローチは、『IRA』での戦略を先取りしている。タイトルはイタリア語で「怒り」('ire')を意味するが、それだけでは、このアルバムの息を呑むような広がりを十分に感じることはできない。

このアルバムは、パンデミックの影響と、発売後すぐにツアーに出たいというIncaniの希望により、発売が大幅に遅れており、それが期待感につながっている。このアルバムは、イタリアの歌の再生に向けた一歩という見方もあるが、いくつかの意味で大胆なリリースとなっている。メジャーレーベル〈Sony Music Italia〉からリリースされたトリプルアルバムで、Incaniはイタリア語、フランス語、英語、アラビア語などさまざまな言語で歌い、独自のエスペラント語を生み出している。彼自身の言葉を借りれば、この作品は「移動する大勢の人々」、つまり大規模な移民を扱っている。ランペドゥーサなどのイタリアの海岸にたどり着いた移民や難民のことが気になる。「Foule」(フランス語で「群衆」の意)、「Prison」、「Horizon」、「Soldiers」などのタイトルが、それぞれのストーリーを物語っている。

しかし、それは「IRA」の音についてもだ。イタリアの歌の痕跡が残っている。フィナーレの「Cri」は、特にリッチでクリーミーなバラードだ。しかし、このレコードの他の部分と同様に、Incaniは自分の声を処理することで、露がついているような、あるいは埃が厚く積もったレコードから抜け出しているような感じを与え、鮮明なシンバルが濁りの上を滑るように響いている。『IRA』に収録されているイタリアのカンツォーネは、Burialにとってのレイヴのように、「レヴェナント」である。

『IRA』は、『Die』ですでに見られたインダストリアルな影響のいくつかを垣間見る前に、霊的なMOR(middle of the roadの略で、イージーリスニングともいう)の「Hiver」で始まる。しかし、『IRA』は良い意味でより均質である。テクノ、ジャズ、Goblin風プログレ、北アフリカの民族音楽などさまざまなインスピレーションが、「Soldiers」のような小さなバラードのような曲でも、11分に及ぶ「Hajar」(マグレブ的パーカッション、苦悩に満ちた遠吠え、霧笛のようなシンセサイザーの爆発)でも、単一の言語に完全に統合されている。また、Armando Trovajoli、シャンソン、初期のポストロックの独特のサラダボウルのような「Fleuve」は、イタリアにはあまりないのではないかと感じる。IRA e magnifico. The Quietusより

Open The Gates /
Irreversible Entanglements

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詩人、歌手、弁士、活動家であるCamae Ayewa(Moor Motherとして知られている)は、ここ数年、驚くほど多作である。彼女の作品には幅があり、Moor Jewelry(Mental Jewelryとのコラボレーション)のような荒々しいノイズロックから、Billy WoodsやPink Siifuなどとの最近のコラボレーションでのアンダーグラウンド・ヒップホップに近いものまで、さまざまなものがある。Ayewaの自信に満ちた声とビジョンは、単なる道楽者の作品ではなく、より大きなMoor Motherプロジェクトの一部であるかのように感じられる。

彼女の政治信条から、コラボレーションに対するアプローチは平等主義的であると想像されるが、彼女の個性の強さは、この作品の多くを「Moor Mother + [Insert Collaborator Here]」として描き出している。彼女が2015年にベーシストのLuke Stewart、サックス奏者のKeir Neuringerと共同で設立し、現在はトランペット奏者のAquiles Navarro、ドラマーのTcheser Holmesも参加しているIrreversible Entanglementsは、それとは異なる。全体的な感覚が明らかに共同体的で、互いに栄養を与え合っていると感じられる。

このグループの最初の2枚のLPは、冒険的ではあったが、Last Poets、New York Art Quartet、Archie Sheppなど、彼らの先人たちの枠組みをしっかりと受け継いでいた。Irreversible Entanglementsのアプローチには、初期のラディカルなブラック・ミュージックに影響を与えたのと同じ祖先の井戸の水を飲むことが不可欠である。結局のところ、彼らが情熱的で怒りを抱えているのは、前述の人々と同じ理由であり、あまりにも多くの状況が変わらないからである。戦いは終わっていないのだ。

『Open The Gates』は、同じ精神的な軌道に留まっているが、彼らの音の世界を拡張するエキサイティングな作品でもある。時には、Art Ensemble of Chicagoのような遊び心と〈街角でのダンサブルな雰囲気〉があるが、他の所では、シンセとダブのディレイがステージを侵食し、Dennis BovellやAdrian Sherwoodの閉所恐怖症的な作品を思い起こさせる。

本作は、短いタイトル曲のようにキャッチーな部分もあるが、初期のアルバムよりもさらに激しい作品となっている。「Keys to Creation」の短い中盤は、Muhal Richard Abramsの『Spihumonesty』とHair Police時代の『Mercurial Rites』の間のどこかで崩壊し、その後、Moor Motherが“blues and memory”や“Ella flying home at the Savoy”を力強く宣言しながら、ダブルタイムのロープに突入する。

「Water Meditation」では、さらにノイズの多い領域に入り、シンセのリズミカルな音があふれ出し、ホームズはドラマキットに向かって作品を支えている。ホーンが戻ってくると、完全に戦闘モードになり、レスリングのリングの外周のようにビートの端を回っている。

Moor Motherの声は『Open The Gates』に欠かせないものだが、このアルバムは、単なる長い共同作業の次の作品というだけでなく、グループ作品としてよりエキサイティングなものになっている。これまでの歴史が示唆するように、Ayewaはすぐには言いたいことや刺激的な表現方法が尽きることはないだろう。しかし、どのような理由であれ、『Open the Gates』は、その言葉通りに行動することに一歩近づいたように感じられる。これは正義の音楽であり、願わくば正義の行動の前奏曲である。The Quietusより

Jubilee / Japanese Breakfast

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FAV TRACKS:M1「Paprika」、M3「Kokomo, IN」、M5「Posing In Bondage」、M8「In Hell」(『Soft Sounds From Another Planet』ではボーナストラックとして収録されていた)、M9「Tactics」、M10「Posing For Cars」

LP! / JPEGMAFIA

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流石です。「HAZARD DUTY PAY!」などが収録されているOFFLINE Ver.もよかった。

Agor / Koreless

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FKA twigsからMura Masaまで魅了する天才プロデューサー、Koreless帰還。超待望の1stアルバム発売決定!

James Blake『CMYK』、Mount Kimbie『Maybes』、Jamie xx『Far Nearer』と並ぶクラシック『4D/MTI』で2011年に〈Pictures Music〉よりデビューを果たし、寡作ながらもFKA twigsスからMura Masaまでトップ・アーティストたちから絶大なる支持を集める天才コアレスが〈Young(旧:Young Turks)〉より遂に1stアルバムをリリース!!復活シングルにして美しきデジタル・スケープが広がる「Black Rainbow」、CaribouやJamie xx、TNGHTが「BBC Radio 1 Essential Mixes」でプレイするなど、公式にリリースされる前からアーティストたちやファンの間で話題となっていた「Joy Squad」を含む本作はダンス、アンビエント、コンテンポラリー・クラシックといった様々な世界を跨ぎながら、病的なまでの執着によって細部までこだわり抜かれたエレクトロニック・ミュージックの結晶10曲を収録。「Ago=開く」と名付けられた今作は水面下にある美しさ、陶酔感、そしてスローでどこまでも深淵な世界へと飛び込むあなたを待っているかの如く、感覚的な境目に存在し、今いる領域から未開の領域へとリスナーを導く傑作となっている。Beatinkより

Paradigmes / La Femme

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 ここ10年間、La Femme(ラ・ファム)ほどにフレンチ・ポップスを盛上げたバンドはほとんどいなかったのではないか。(CHANELランウェイでの楽曲使用や、エディ・スリマンによるCELINEのデビューショーの音楽を手掛けたことでも話題。そして、レッチリのオープニングアクトを務めるなど母国フランスや欧州では大人気!)待望の3rdアルバム『Paradigmes』は世界の見方を変えてくれます!
 2013年に『Psycho Tropical Berlin』、2016年に『Mystère』を発表した後、フランスでゴールドステータスを獲得!世界各地で何百回にも及ぶライブ公演を行い、現在パリを拠点とし、リスナーを魅了し続けています。(2017年日本来日公演も大成功)
 本作『Paradigmes』は、美しくキュレーションされたエレクトロポップの仕上がりで、コールド・ウェイヴ(70年代後半にフランスとベルギーで起きた音楽ムーヴメント)からyéyé(音楽ジャンル)、KraftwerkからVelvet Undergroundまで、音楽の渦に巻かれ昇天間違えなしの仕上がり!
 本作『Paradigmes』は、今課題に直面していても、今挑戦の時であったとしても、今(瞬間)を生きるアルバムとしてパワーを伝えるべく、間違いなく沈み、膨らむ心の過程にて、これまで以上に私たちを生き生きとさせてくれるでしょう!ディスクユニオンより

Chemtrails Over The Country Club / Lana Del Rey

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ラナ姉さん流石って感じ。『Blue Banisters』もよかった。

Sometimes I Might Be Introvert / Little Simz

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各紙で絶賛された今年を象徴する一枚。Inflo凄すぎる。彼女の公式YouTubeチャンネルにあげられている短編もよかった。Kodakのフィルムで撮影されている。ちなみに、劇中では以下の音楽が流れる。
◯Nala Sinephro「Space 4, 5, 6」
◯SAULT「Red Lights」
◯Little Simz「I See You(adittional vocals by Cleo Sol)」
◯Miraa May「Piece Of Mind」

Water / Lotic

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ベルリンを拠点に活動するエレクトロニック・ミュージシャン、LoticことJ’Kerian Morganの新作。Björkのリミックス等も手掛ける彼女の2ndアルバム。

愛の喪失と生命力、タイムライン、血統、回復力についての優しい瞑想。電子音パルスとハープの交錯。エレクトロニック・オペラサウンド。

「Loticは今まで聞いた中で最も激しいパフォーマーDJの一人だ」Björk

HEY WHAT / Low

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ある意味〈歌もの〉とも言えるLowの13作目。最高傑作と謳われた前作『Double Negative』と同様にBJ Burtonをプロデューサーに迎え、ノイジーともアンビエントとも言える音像を追求しながら、力強い歌を打ち出している。男女ハーモニーは大きな魅力。アメリカーナの香りも漂う「Days Like These」が連想させるのはゴスペルだ。Burtonが手掛けたBon Iverのファンにも薦めてみたい。
Mikikiより

Fatigue / L'Rain

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Pitchforkのベストアルバムでは、Jazmine Sullivanの『Heaux Tales』に次いで2位にランクインしていた。

ブルックリン出身のエクスペリメンタリスト/マルチ・インストゥルメンタリストTaja CheekによるプロジェクトL'Rainの2ndアルバムが〈Mexican Summer〉よりリリース。現代的なエクスペリメンタルな要素を軸にゴスペル、ジャズ、ネオソウルなどの要素を彼女独自のセンスで融合させたブラック・エクスペリメンタル・ミュージック。Moses Summey、Dirty Projectors、Mica Levi、Klein好きは必聴。

Sound Ancestors / Madlib

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Four TetことKieran Hebdenの技量とMadlibの才能。2005年にFour TetがMadvillanの『Madvillainy』をリミックスしたことを思い出すと、なんか今回のプロジェクト感動する。いかに信頼し合っているか。

CLAMOR /
Maria Arnal i Marcel Bagés

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カタルーニャ発女男デュオ、Maria Arnal i Marcel Bagés(マリア・アルナル&マルセル・バヘス)の2ndアルバム。M2「Ventura」とM3「Fiera de mí」のMVもよかった。TVでやった「Ventura」もよかった。ラジオ・ナシオナル・デ・エスパーニャ(RNE)が放映していたコンサート動画はぜひ見てほしい。彼らの演奏姿はなかなかカッコいい。

Máscaras / Mas Aya

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民族音楽の骨組みにトラップ、フットワークに、初期WARPのジェスチャー、第四世界、ダンスホール・レゲエなどの要素を組み込んだ、アンビエント感覚溢れるエレクトロニック・ミュージックを展開。完成度の高いMVに一気に引き込まれる「Momento Presente」など、幅広いリスナーにアピールする充実盤!
ディスクユニオンより

Brandon Valdiviaが初めてMas Aya名義でリリースしたアルバム。タイトルにある「máscaras」とは、スペイン語で「仮面」という意味の「máscara」の複数形である。Brandonは、ニカラグア系カナダ人であり、アートワークの左右に置いてある仮面はその2つのホームを表しているのだろう。ちなみに、ニカラグアには「Masaya」という都市があるという。おそらくそこが彼の故郷なのだろう。あと、タガログ語で「masaya」は「幸せ、楽しい」という意味らしい。

Life, And Another / Mega Bog

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Mega BogことErin Birgyが、Big ThiefのドラマーであるJames KrivcheniaとHand Habitsとタッグを組んで制作された作品。

Dilettante / Mo Troper

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米ポートランドを拠点に活動するSSW、Mo Troper。

Mo Troperは過去5年間、不完全なものを完璧にしようとしてきた。Flamin' Groovies、Big Star、Fountains of Wayneといった、事実上完璧な音楽をリリースしていたバンドが時代を超えて受け継いできたほつれた糸を拾いながら、パワー・ポップの曲を次々と書いてきたのである。今年の初めには、The Beatlesの『Revolver』をトラックごとにリメイクしたパワー・ポップの作品を発表した。一見すると、このようなことは、全てが疲弊した無駄な作業のように思える。しかし、Troperには、鋭いユーモアのセンスと飽くなき創造のエネルギー、そして何よりもメロディーに対する卓越した才能がある。彼は、自分の音に慣れ親しみながら、見慣れたものからオリジナルなものを作り出しているのだ。
 そのため、Troperはニューアルバムを「Dilettante」と名付けて、ふざけているのではないかと思われるかもしれないが、彼はこの名前を恥ずかしがってはいない。「タイトルが示すように、『Dilettante』は、『Welcome Interstate Managers』やTodd Rundgrenの『Something/Anything?』のようなスタイルの、便器から溢れるようなパスティーシュです」と彼はThe Faderに明かしている。しかし、私はこの作品には模倣以上のものがあると考えている。『Dilettante』は28曲あるが、その勢いは衰えておらず、次から次へとフックが出てきて疲れ知らずだ。
 このアルバムには、“I'm not the best you've ever had / But at least it's not all bad,”、“She makes me feel six feet tall / My whimper's become a caterwaul”と歌ってるように、シュガー・ポップな側面がある。しかし、ほのかな苦味もある("If I could roll my eyes I would / Right out of my head,”と「My Master's Voice」で言葉数少なく歌っている)。しかし、彼はどちらか一方だけに集中して、もう一方を犠牲にすることはほとんどない。完璧なタイトルの「All My Friends Are Venmo」のように、彼は自虐的で、怒りっぽく、気まぐれなところがあるのだ。また、「Cum On My Khakis」というスカスカのインスト曲から、「Sugar and Cream」という心配になるほどキュートなアコースティック曲へと変化させることができるのは、現在活躍しているアーティストの中では彼だけかもしれない。
 これは、彼が『Dilettante』で採用したプロセス、あるいはプロセスの欠如によるものでもある。「すべての曲を演奏して、約1週間でレコーディングしました」とTroperは言う。「アーティストは、頭に銃を突きつけられているときに、最高で正直な作品を作るものだと思うんだ」
 そして、それはたぶん、あまり気にしないということでもあります。このアルバムのBandcampのプロフィールには、「死ぬまでにできるだけ多くの作品をリリースしたい」と書かれていました。また、The Faderへのインタビューでは、「28曲もリリースしない方がいいと言われたけど、それは間違いだった。もうツアーをする気はない。というのも、私は常に身体的な苦痛を感じてるし、お金をかけてウィチタのSleepy Toes Tavernなどに演奏しに行く理由が分からない。このアルバムを別のタイプのステージに持っていきたいと思う。ブロードウェイです」The Faderより

Black Encyclopedia of the Air /
Moor Mother

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気鋭のプロデューサーOlof Melandeを迎えた、フィラデルフィアのアクティビスト/詩人Moor Mother待望の新作!

パンデミックが始まった2020年3月に自宅でスウェーデンのプロデューサーのOlof Melandeとレコーディングした作品。家庭内の暴力、コミュニティーにおける暴力と、誰しもが経験する暴力をテーマにしており、lojii、BFLY、Elucid、Antonia Gabriela、Yattaらに加え、文学芸術集団「Black Quantum Futurism」がクレジットされている。ラッパーのPinkSiifuをフィーチャーした「Obsidian」のミュージックビデオでは、AliceとJohn Coltraneの家の前で撮影されたとのこと。ノイズ/インダストリアル、エクスペリメンタル、フリージャズなテイストを端々に感じさせる、これまでの活動の集大成的アルバムとなっています!ディスクユニオンより

Dissent /
Moritz von Oswald Trio

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アブストラクトなエレクトロニック・ミュージックの中で、ジャズやダンス・ミュージックのエクレティシズム(折衷主義)を探求している。

・EYESCREANによるインタビュー記事
・ele-kingのレビュー記事

90 年代のベルリンにおけるエレクトロ・ミュージックのパイオニアであり、シーンの最重要プロデューサー/アーティストとしてミニマル・テクノからエレクトロニック・ダブまで様々なスタイルの作品を発表し続けているジャーマン・テクノのレジェンド、Moritz von Oswald。その彼が新たな編成のトリオで挑む実験的で即興的な最新作『Dissent』完成。
 90 年代のベルリンにおけるエレクトロ・ミュージックのパイオニアが集結していたMvOTだが、今作はアメリカのエレクトロ・アーティスト、Laurel Haloとドイツのジャズ・ドラマー、Heinrich Kobberlingとの新編成によるアルバムとなる。これまでの作品同様レコーディングはベルリンで行われ、昨年の11月から12月にかけてスタジオで長時間のジャムを繰り返しながら本作は制作された。序章と終章に挟まれた10章の楽曲によって構成されてい『DISSENT』で、モーリッツ・フォン・オズワルドはトリオによるグルーヴやエフェクトを使った即興演奏で、実験的な音の世界を表現している。ミュージシャン同士の信頼と理解が深まり、互いに押したり引いたりしながら、彼らは聴くものを圧倒するような楽曲を作り出していった。タワレコオンラインより

When Smoke Rises / Mustafa

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Mustafa(ムスタファ)が亡き友に捧げる24分の"インナーシティ・フォーク・ミュージック"。M1「Stay Alive」にはプロデューサーとしてJames Blake、M2「Air Forces」にはJamie xx、M5「Capo」にはSampha、M7「Ali」には共同プロデューサーとして元BBNGのキーボーディストであるMatthew Tavaresがそれぞれ参加している。Sufjan Stevensの『Carrie & Lowell』にも影響を受けたという。

FAV TRACKS: ALL

Lee "Scratch" Perry’s Guide to the Universe / New Age Doom, Lee "Scratch" Perry

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辺境ドローン・メタル・バンドNew Age DoomとダブのレジェンドLee Perryが合体したとんでもないアルバム。スピリチュアルなドローン・メタルとLee Perryのポエトリーが交差する実験作。

Lee Perryは今年の8月29日に亡くなった。85歳だった。

M4「Holy Dub」のMVは、Perryへのトリビュートとなっており、ペリーの親友であるLady Nigel Butterflyが、「Blackboard Jungle Dub 45周年記念ツアー」中に撮影したライブとスタジオの映像が含まれている。また、M5「Step in Space」のMVも公開されている。どちらもShane Morganが監督している。

CARNAGE /
Nick Cave & Warren Ellis

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「Nick Cave & Warren Ellis」名義では初となるアルバム。今までは『ジェシー・ジェームズの暗殺』『ウインド・リバー』など、映画のサントラを手掛けてきたコンビ。今年でいうと、ABBA、Elton John、Robert Plant & Alison Krauss、Neil Youngなど、大物リリースが続いて嬉しかった。

Small Things / 
Nick Hakim, Roy Nathanson

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ソウルシンガーのニック・ハキムと、サックス奏者のロイ・ネイサンソンによる共作アルバム。

Nick HakimとRoy Nathansonがコラボレーションアルバム『Small Things』を発表した。Onyx CollectiveのIsaiah Barrがエグゼクティブ・プロデューサーを務めるこのアルバムでは、Onyx Collectiveの世界で活躍する2人のアーティストが共演している。このアルバムの制作過程は、有機的なものだった。HakimがNathansonの詩を読み、それに触発されていくつかのコードが生まれ、それが『Small Things』の基礎となった。Nathansomはこう言う。「我々は幸運だったようだ。昔ながらの方法で月に降り立ったようだ」。このアルバムは4月16日に発売され、Onyxの新レーベル〈NYXO〉からのデビュー作となる。

このコラボレーションが実現した経緯について、Nathansonは次のように語っている。
“ここ数年、私の素晴らしい元生徒と、彼が素晴らしいドラマーのAustin Williamsonと共同で設立した若くて素晴らしいバンド、Onyx Collectiveのプロジェクトにゲストとして参加していました。ニックとの出会いは、このようなコンサートのひとつでした。ニックはそのコンサートで私の詩を歌ってくれたのですが、その後、私の家に寄って他の詩を歌いたいと言ってくれました。

そして、長い話になりますが、Nickはフラットブッシュにある私の家にやってきて、古びた地下室に行き、私の新しい本からいくつかの詩を渡しました。そして、彼は私の古いフェンダー・ローズの後ろに立って「Moonman」と「New Guy to Look At」のコードを弾き、私はそれに合わせて演奏した、というわけです。もちろん、それからの約1年間は、アレンジを練ったり、録音し直したりしましたが、本当にそれだけでした”Bandcampより

FAV TRACKS: ALL

No Sun / Nite Jewel

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LAのDIY歌姫Ramona Gonzalezによるソロ・プロジェクトNite Jewelが2017年以来となる約4年ぶりとなる5thスタジオ・アルバムをリリース!これまでの美しく妖艶なエレクトロ・ポップはそのままに、Arthur Russellの実験精神と、Tirzahにも通ずるポエティックなR&Bテイスト、そしてKraftwerkの硬質なエレクトロニクスを彷彿させるトラック群は、Nite Jewelの進化を感じさせるに十分な内容!前作『Real High』にみられた80sファンク/ソウルな要素をミニマルに削ぎ落とし、エクスペリメンタル/レフトフィールド色を融合させたエレクトロニック・ポップ・アルバムになっています!-ディスクユニオンより

M8では、Sun Raの「When There Is No Sun」をカバーしている。

FAV TRACKS: ALL

Frame of a Fauna / Ouri

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モントリオールを拠点に活動するマルチ奏者/プロデューサー、Ouriのデビューアルバム『Frame of a Fauna』。14曲からなるこの作品は、幽玄なサウンドスケープとエクスペリメンタル・ポップ・エレクトロニクスの間を行き来する。M14「Grip」のMVもよかった。一応「Killbeat Music」の紹介文を抄訳しました。読みづらいです。

『Frame of a Fauna』は、カナダ人アーティストが持つ大規模なオーケストラ・サウンドの知識を活かし、インダストリアルや電子的ニュアンスを以ってクラシックに風穴をあけることで、独自の融合を生み出している。このプロジェクトは、身体のフレームワークについて考察している。感情的な苦難がどのように刻印され、それによって骨がどう変形するのかを調べている。骨が、「何が入っているかを試すための容器」だとしたら、出来事の残骸は何なのか?そしてそれはどこへ行くのか?彼女は、時間が胸郭を破裂させたり、鎖骨を引き抜いたり、指無しで拳を作ったりする方法を知っている。

生と死、そして絶え間ない再生のサイクルにより、Ouriはこのアルバムの制作を通して超越し、大きな法輪の内側にあるもの、すなわちトラウマ、コントロール、脆弱性を探究している。このアルバムは、ロンドンのベッドルームから始まり、妹の出産に立ち会ったベルリンを経て、1年後に母親に最後の別れを告げたブラジルへの旅を経て完成した。

次のアルバムについて、Ouriは次のように語っている。
「断片化された記憶と音の探求の間で、『Frame of a Fauna』は、多様なサウンドの中で、変化しやすいアイデンティティ、人を引きつける力、帰属意識の中を渡り歩いていく。クラシック、フィールド・レコーディング、エレクトロニック、フューチャー・トリップ・ホップをミックスしたこのアルバムは、あなた自身の形や空間を反映したサウンドトラックとなるでしょう」

これらの新作は、シングル曲「Felicity」や、最近発売されたHelena Delandとの共同プロジェクト『Hildegard』に続くもので、「Pitchfork」はこのコラボレーションを「純粋な創造的共生」と称賛し、「The Fader」は「暗闇の中を行ったり来たりする催眠的な構成で、シンクロニシティの中に強さを見出している」と評し、広く批評家の称賛を受けた。

フランスで育ったOuriことOurielle Auvéは、作曲家になることを夢見て、16歳でモントリオールに移り住んだ。Ouriは、作曲能力だけでなく、プロダクションやボーカルの能力も高めながら、モントリオールのアンダーグラウンド・レイブ・シーンで深夜のDJセットに参加し、最終的に「Red Bull Music Academy」のMontreal Bass Campに参加することになった。その後、Boiler Roomのモントリオール・ショーケースでヘッドライナーを務め、Yves TumorやJacques Greeneらとツアーを行い、初のEP『Superficial』と『We Share Our Blood』をリリースし、モントリオール出身のアーティストHelena Delandと共同で異次元の作品『Hildegard』を制作するなど、彼女の知名度は高まっていった。

To See the Next Part of the Dream / Parannoul

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ソウル出身のアーティスト、Parannoul。

キーワード:シューゲイザー、エモ、ポスト・ハードコア、『リリイ・シュシュのすべて』、『星屑ニーナ』、Car Seat Headrest、Weatherday、Heccra、ヒーリング、Virtual Studio Technology、Galaxy 5...

Hidemi / Patrick Shiroishi

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LA在住の作曲家・サックス奏者、パトリック白石さんの新譜。「日系人が経験しなければならなかった強制収容所は、ここ2、3年の私の作品の主要な部分を占めています」と彼は語る。前作『Descension』は、彼の家族の歴史を巡る日系人強制収容所での体験をテーマにしたものだったが、本作は木管楽器のソロによる多重構造の旅で、出所後の彼の祖父の個人的な体験をテーマにしたものになっている。

No Medium / Rosali

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フィラデルフィア出身のSSW、Rosaliの3rdアルバム

The War on DrugsのRobbie Bennett(key)や、The WalkmenのMatt Barrick(d)らが参加している。

Romeo / Sega Bodega

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Sega Bodegaが『Salvador』(2020)に続きリリースした2ndアルバム。まず、「Effeminacy」から完全に心を掴まれた。シングルカットされた3曲もアルバム形式にばっちりはまっていた。Charlotte Gainsbourgが参加している「Naturopathe」とArcaが参加している「Cicada」も素晴らしかった。T3「All of Your Friends Think I'm Too Young for You」のプロデュースには、JockstrapのメンバーであるTaylor Skyeが関わっている。

The Turning Wheel / Spellling

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ベイエリアを拠点とするアーティスト、SpelllingことChrystia Cabralが〈Sacred Bones〉からリリースした3rd。総勢31名のミュージシャンの協力を得てオーケストレーションを行ったセルフ・プロデュース作。

赤いベルベットのカーテンを引くと、深い黒の星がちりばめられた無限の宇宙劇場に浮かぶ、宇宙の運命の輪が現れる。さまざまな音色、個性、物語が渦を巻いている。ベイエリアのアーティスト、SPELLLING(Chrystia Cabral)の3枚目のフルレングスである The Turning Wheel は、人間の一体感、未来、神聖な愛、そして人生というカーニバルの中の謎めいた浮き沈みというテーマで展開されている。

SPELLLINGは、主にシンセサイザーを使った作品の限界を超えようと、31人のミュージシャンの協力を得て、アルバムのオーケストレーションとセルフプロデュースを行うという野心的なタスクに挑んだ。豊かなアコースティック・サウンドをふんだんに盛り込み、SPELLLINGの作品を新たな次元へと導いている。この2枚組LPは、「Above」(6曲)と「Below」(6曲)の2つに分かれている。ストリングス・カルテットの豊かなきらめきが、バンジョーやファゴットの音と相まって、アルバムは「Above」の陽気で温かくドリーミーなムードから、「Below」の冷たくゴシックなトーンへと進行していく。また、Spelllingお馴染みの妖艶な声が、彼女の曲作りにおける演劇的で、民俗的な心を強調している。

『The Turning Wheel』は、元々2020年9月の発売を予定していたが、1年近く遅れての発売となった。しかし、それが逆に幸いした。残った楽器奏者のレコーディングとプロデュースのために、リモートやソーシャル・ディスタンスをとったスタジオ・セッションを行うなど、混沌とした状況を乗り越えることは困難ではあったが、一方でSpelllingは歌詞により多くの注意を払う機会を得ることができたのだ。『The Turning Wheel』では、前作の呪文のような簡略化されたアプローチから、より広がりのある物語性のある作品へと、歌詞のスタイルが明確に進化している。Bandcampより抜粋

Bright Green Field / Squid

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イギリス・ブライトンの5人組ポスト・パンク・バンド、Squidが〈Warp Records〉からリリースしたデビューアルバム。

「このアルバムでは、架空の都市の風景を作り上げた。それぞれの楽曲は、その世界に存在する場所や出来事や建造物を描写しているんだ。この都市は実在の場所ではなく、虚構と電脳世界に存在するものだけど、僕たちが暮らす現実世界の明確な特徴を模倣している。言わばディストピアそのものであるイギリスの都市の風景だ。小説家ダグラス・クープランドによる、我々は『極限の現在』を生きているという見解、それから評論家マーク・フィッシャーによる、過去を亡霊に見立てる憑在論的音楽や未来が静かに抹消されているということに関する記述を読んだおかげで、自分たちは長年、未来を偏重するディストピアそのものの環境で生きてきたのだと実感したんだ」オリー・ジャッジ(ドラム&リードボーカル)

発表と合わせて1stシングル「Narrator」がミュージック・ビデオと共に解禁。2018年の中国・フランス合作映画『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』にインスパイアされたという本楽曲は、記憶と夢と現実の区別を失いつつある男のストーリーを描いており、バンドのパフォーマンス と仮想現実世界が見事に融合した本映像は、VFXや3Dアニメを得意とする映像作家Felix Geenが手掛けている。

猛暑の中、キャリーが運営するロンドンの地下スタジオにて、ノイズを避けるためにエアコンまで切られた状態で、ある種狂乱状態でレコーディングされたという本作には、若きバンドが熱く燃え上がりながら激しい勢いと感情のままに音楽を奏でている姿が映し出されている。

渋谷のタワレコにサイン入りLPが置いてあった。

KUUGA / Tohji

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学校で友達に教えてもらった。
TohjiとLootaが、フランス出身でアトランタを拠点とするプロデューサーBrodinskiとコラボレーションしたアルバム。BrodinskiはKanye Westの『Yeezus』でDaft PunkとGesaffelstein(ゲサフェルスタイン)ともに共同プロデュースを行ったことでも有名。

・「Real Sound」の記事(文=imdkm)
・「PRKS9」のレビュー記事

FAV TRACKS: T1「Aegu」、T2「Yodaka」、T4「Naked」

sketchy. / Tune-Yards

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カリフォルニア州オークランドを拠点にするMeril GarbusとNate Brennerによるデュオ、Tune-Yardsが〈4AD〉からリリースした新作。M1「nowhere, man」はThe Beatlesの同名曲を参照したとか。

 「hold yourself.」はレイヤーを重ねたTune-Yardsならではのサウンドと、歌詞はバンド史上最も露骨だというメッセージ性が込められたものとなっている。メリルは、「この曲は、私が両親の世代に裏切られたと感じていると同時に、私達も未来を裏切っているという事を歌っている」と語る。
 Tune-Yardsは2018年に前作『I Can Feel You Creep Into My Private Life』をリリース、全世界の批評家から大絶賛された。同年にはブーツ・ライリー監督のコメディー映画『ホワイト・ボイス(原題:Sorry to Bother You)』の音楽を手掛けた。
 音楽キャリアが絶頂期にある一方、自らが知らない間に自分が賛同しないシステムに加担しているという苦難を抱えていたという。その迷いの中で彼らは、Beastie Boysについて書かれた『Beastie Boys Book』やThe Rootsのドラマー、Questloveによる『Creative Quest』などの本に触発されて自宅のリハーサル・スタジオでアスリートのように何時間もジャムを重ねて今作『sketchy.』を制作していった。本作は、現代社会の問題を鋭く切り取った歌詞、怒りや悲しみなど様々な感情が入り混じった歌声、彼ら特有のトリッキーなポップサウンドがバランス良くブレンドされている。Beatinkより

8/26には、L'Rainらがリミックスした「hold yourself.」もリリースされた。

Call Me If You Get Lost / 
Tyler, The Creator

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楽曲はもちろんのこと、MVなどのウェス・アンダーソンぽさが個人的に刺さった。ジャケットにもなっているIDカードを自分用に作れるサイトが公式から出ているので是非!

Ookii Gekkou / Vanishing Twin

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FanfarloのCathy Lucasを中心に結成されたロンドンのサイケデリック・ポップ・バンド、Vanishing Twinが2年ぶりにリリースした3rdアルバム。

Vanishing Twinは『Ookii Gekkou』でアフロファンク、アウタージャズ、アバンギャルドの要素を取り入れた新境地を開拓しているが、その一方で、Sun RaからAlice Coltrane、Martin DennyからMorricone、CANのHolger Czukayから瞑想的なガムラン、The Free Designから60年代後半から70年代前半のライブラリーミュージックなどを参考にしている。妙に接しやすいグルーヴの中には、まさに「他」の音の歴史が閉じ込められており、全く新しいものを呼び起こす、うまく作り込まれた憑在論的音楽となっている。

ハリケーン、オルガン、バイブ、ベル、パーカッシブなラリーが「Ookii Gekkou」全体を満たしており、それぞれにPiero Umiliani、Art Ensemble of Chicago、ELOなど、多様な影響が反映されている。ソングライター/シンガー/マルチ奏者のCathy Lucas、ドラマーのValentina Magaletti、ベーシストのSusumu Mukai、シンセサイザー/ギター奏者のPhil MFUの4人が新たに編成されたことで、結果、アイデアの数が減ることなく、さらに大きなステップにもなっている。Bandcampより抜粋

Rakka II / Vladislav Delay

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フィンランド音響派鬼才、Vladislav DelayことSasu Ripattiによる'20年の傑作エクスペリメンタル『Rakka』の続編となる新作が、Shapenoise主宰のノイズ/音響レーベル〈COSMO RHYTHMATIC〉から登場。

 「希望と楽観主義に満ちたロマンティックな夏のビジョン」と称せられる今作は、前作と同様に北極圏・ツンドラ地帯の森林限界における圧倒的な自然からインスパイアされながら、さらに洗練を重ねた魅惑のエレメンタル・エレクトロニクス!
 テクノやクラブ・ミュージックを超えて、パワーアンビエント、ブラックメタル、アヴァンダブ、フリージャズ、エクストリーム・ダンスミュージックの恍惚のハイブリッド。7つのパートで構成されたこの作品は、無調の暗黒と痙攣的な構造から浮かび上がる感情的で楽観的なジェスチャーの中で、熱狂の感覚と超規律的な論理のバランスを保っている。荒々しく豊潤にして半意識的なサウンド。残忍なディストーションとパルスの激流が描き出す、圧倒的な空間美!ディスクユニオンより

・ele-kingのレビュー記事

WRITHING! / Voka Gentle

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アヴァンギャルドにインディー、エレクトロニカ、スペイシーなサイケを横断するオルタナティヴ/エクスペリメンタル・フォーク・トリオWovoka GentleがVoka Gentleと改名し、リリースするニューアルバム!

The Flaming LipsのWayne Coyneをフィーチャーした「Necrofauna/The Garden of the Eden」をはじめ、アヴァンギャルド、ポップを縦横無尽に行き交う「See Damage (зона)」など、全トラック強烈な個性が爆発!RadioheadやArthur Russell、Animal Collectiveからの影響を何層にも重ねた、実験的で複雑でありながらもキャッチーさを失わない離れワザを見せつけています!
ディスクユニオンより

I Don’t Live Here Anymore / 
The War on Drugs

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4年ぶりのスタジオアルバム。困難なプロセスの一つである、絶望に直面したときの回復力、または変化をテーマにした作品。あとやっぱ〈Atlantic Records〉のロゴかっこいい。ずっとロックを聴かせてくれ。

Ignorance /
The Weather Station

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女優でもあるTamara Lindemanを中心にカナダで結成されたフォークロックバンド、The Weather Stationの4thアルバム。同郷Arcade FireのMarcus Paquinがプロデュース/ミックスを手掛けた事で完全覚醒、Joni Mitchell直系の深みあるソングライティングにフィジカルなグルーヴが重ね合わせられ、キャリア史上最もハイファイなアルバムに。鏡で覆われたスーツを着て深い森に横たわるTamara Lindemanの意味深なスリーヴデザインはまるで映画の1シーンのごとき名ジャケ。Alffo Recordsより

Great Spans of Muddy Time /
William Doyle

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William Doyleは、まだ20代とは思えないほど若々しい。彼がライブでCD-RのデモをThe Quietus誌の共同設立者であるJohn Doranに手渡し、そのデモを気に入ったDoranがレーベルを立ち上げて、DoyleのデビューEP(East India Youth名義)をリリースしてから、もうすぐ10年になる。2014年には、デビューアルバム『Total Strife Forever』をリリースし、マーキュリー賞にもノミネートされた。その1年後、Doyleは〈XL Recordings〉と契約し、世界中をツアーし、2ndアルバムをリリースしようとしていたが、いずれも25歳の若さでの出来事だった。

Doyleが3枚目のフルアルバムをリリースするまでには、さらに4年の歳月を要し、自身の名義では初の作品となった(その間、アンビエントやインストゥルメンタルのプロジェクトを4つ自主リリースしている)。2019年に発表された『Your Wilderness Revisited』は、膨大な範囲、野心、ディテールを備えた作品で、The Line of Best Fit誌は「目がくらむほど美しい作品」と評し、Metro誌は「今年のアルバム」というだけでなく「今世紀のアルバム」と宣言するなど、絶賛された。

『Great Spans of Muddy Time』は、それからわずか1年後の2021年春、Doyleが30歳になったときに発売される。多くの意味で『Your Wilderness Revisited』へのアンチテーゼとなる作品である。本作は、ポップス、アート・ロック、アンビエント、独特の構成(優しく抑制された声から高らかに伸びる声との融合)を巡るDoyleの独自の探求は健在だが、生々しくはあるが、洗練されてはいない。「前作がどれだけ長い時間をかけ、どれだけ多くの血と汗と涙を費やしたかを考えると、それは自由であり、良い意味での強壮剤のように感じた」と彼は言う。

この新作は、偶然生まれたものだが、本能的に推し進められたものである。ハードディスクが故障した後、Doyleが制作していた作品の多くはテープでしか保存されていなかった。「より飽和したサウンドを作るために、コンピュータからTASCAM 414(テープマシン)にデータを取り込んで、ピッチコントロールをいじったりしていた」と彼は言う。「手触り感が欲しいし、プロセスにエラーが入ってもいいようにしたかったんだ」

そこから生まれたのは、手放しの感覚と、奇妙でギザギザしたものを受け入れることだった。「完璧な"芸術品"に仕上げることができなくなったという喪失感ではなく、絶え間ない破壊と創造から解放されたという強い開放感があった」。Doyleは、音楽を作ることへのアプローチや考え方に変化を感じていた。編集されていない、しばしば即興で作られたこの作品は、微調整を必要としないため、彼を未知の世界へと導いたのだ。

リードシングルの「And Everything Changed (But I Feel Alright)」は、このアプローチを端的に表している。「前作の過剰さに対する最大の反論になっていると思う」とDoyleは言う。「この曲は、全体的にグルーブ感があり、前作のスキット感に変化を与えているように感じる」。穏やかに脈打つエレクトロニクス、心地よいハーモニー、光り輝くメロディーに加えて、ピンボールのように曲の中を跳ね回る、切れ味の良いギターソロがある。

これはアルバム全体を象徴しています。多彩で予測不可能であると同時に、遊び心があって人を惹きつけるのだ。「私は、包括的なコンセプトにこだわるのではなく、個々の曲を書くという技術に戻りたかった」とDoyleは言う。「Nothing At All」のシンセポップ、「Semi-Bionic」の躍動するノイズ、「Who Cares」の白熱したシンセと包み込むようなサウンドスケープ、「New Uncertainties」のアンビエント・グリッチ・グルーブなど、さまざまな曲が収録されている。

このプロジェクトは、ハードディスクの故障に対するDoyleの直感的な反応を反映しているが、彼は外部からの影響も迎え入れている。「ベルリン時代のDavid Bowieは、私が作ったすべてのレコードに影響を与えていると思う」と彼は言う。このアルバムでは、それがより質感の面で現れている。「今回のアルバムは、私がずっと作りたいと思っていたもので、ある種のイギリス人の狂気のようなもので、この国の牧草地の青々とした部分をかき回して、何か意味があるものを探しているような感じだ」と彼は言う。「Robert Wyatt、初期のBrian Eno、Robyn Hitchcock、Syd Barrettとかの影響も受けている」と続けた。

音楽的、芸術的なものだけでなく、物理的、地理的なものからもインスピレーションを受けることがある。「I Need To Keep You In My Life」では、ペニン山脈を越えて延々とツアーヴァンで旅をした思い出が、「St. Giles' Hill」では、長い散歩、広大な景色、居心地の良いパブが背景となっている。また、昼に彼のお気に入りのレコードショップ「World of Echo」に行ったことも、芸術的なプロセスに影響を与えた。

また、アルバムのタイトルには、予想外の影響があった。「ロックダウン期間中、BBCのTV番組『Gardeners' World』を熱心に見てたんだ」とDoyleは言う。「Monty Donに夢中になった。彼の姿勢が好きだし、彼には共感できる部分がある。彼はかつて、人生の落ち込み期のことを“nothing but great spans of muddy time”と表現したことがある。この言葉を見たとき、アルバムのタイトルになると思った。このアルバムの暗い時間のドロドロとした泥、そして永遠に続く秋の夜のような雰囲気は、この言葉にとてもよく合っていると思った。あと、私のメンタルヘルスの経験とも一致しないと言えば嘘になる」

そのため、このアルバムでは内面の混乱を探っている。「Theme from Muddy Time」の歌詞は、絶望感と苦悩に満ちた空虚さを表現しており、包み込むようなエレクトロニクスの上で鳴り響いている。しかし、この曲は、アルバム同様、前向きな変化の時期を捉えている。「この作品には、何かの壁を打ち破るという要素が含まれている」と彼は言う。「力ずくでも、時間をかけてでも。物事は変わる。時は流れる。雲は太陽が見えるように道を作る」

Doyleの創作活動の進化には、セラピーの期間も影響している。「セラピーのおかげで、このアルバムを不完全な考えで表現してもいいんだ、と思えるようになった。このアルバムを作ることで、自分の普段の仕事のやり方や、それを今後どのように覆していきたいのかを知ることができた」

手放すこと(letting go)の芸術的な喜びと可能性に根ざした大胆な主張として、このアルバムを確固たるものにしているのが、アートワークだ。Doyleは、抽象的なアートワークを使いたいと考えていたが、ライセンスの問題があった。アムステルダムにある国立美術館のアーカイブを検索していると、あるものが目に留まった。17世紀に描かれたMelchior d'Hondecoeter(メルキオール・ドンドコエター)の水鳥の絵を見て、「私が探していたものとはまったく違う絵でした」と言う。「私はこの絵に直感的な何かを覚えた。何週間も探し続けたが、やっぱこの作品に戻ってきた」

Doyleはレーベル側にいくつかの選択肢を提示したが、彼らも同じように水鳥を気に入った。「アートワークを選ぶことは、すべてのプロセスを反映する。完璧なものを作ろうと必死になってたけど、実際には、私が感じたような直感を以って、ずっとそこに置いてたんだ。それがこのレコードにアイデンティティを与えて、確固たるものにしたんだ」

『Great Spans of Muddy Time』は、偶然、本能、直観の力を讃える美しい作品だ。不完全なアルバムを讃えるこの作品は、何年にもわたって磨き上げられた技術と献身的な集中力を必要としたものである。「私のキャリアの中で初めて、私が聴いたものとリスナーが聴いたものとの間の距離が紙一重になった」とDoyleは言う。「おそらくそこには、完璧主義者の脳がしばしば溶かしてしまう、より深い真実があるのでしょう」Bandcampより

Una Rosa / Xenia Rubinos

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これまでにBattles、Deerhoof、Man Man、Tune-Yardsら数々の異分子と共演を果たしてきた鬼才中の鬼才、Xenia Rubinos。その名を知らしめた2ndアルバム『Black Terry Cat』以来となる3rdアルバム。ジャズにエレクトロニクス、ファンク、辺境ミュージックを織り交ぜた、キューバとプエルトリコのハイブリッドである彼女だからこそ到達する事ができるプログレッシヴ・モンドメンタル・アルバム。正直な所「Working All The Time」の一撃でパンチドランクさせられました。1人Dirty Projectors状態で完全降参。Alffo Recordsより

TIME / Your Old Droog

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本作は、Your Old Droogがこの半年間にリリースした4つ目のプロジェクトであり、NYのミックステープ・マスターにとっても猛烈なペースとなっている。 彼は2020年を『Dump YOD: Krutoy Edition』で締めくくり、2021年には、Tha God Fahimとのコラボレーション『Tha Wolf on Wall St.』と『Tha YOD Fahim』を発表した。

『TIME』では、これまでリリースする機会がなかったDroogのお気に入りの曲を集めている。「実質俺のデビューアルバムだ」と彼は言っている。「この素材のいくつかは、2017年にレコーディングされたものだが、世界は未来の別のタイミングでリリースした方が意味があると感じた。だから『TIME』だ。

これらのトラックの中には、個人的な理由で見合わせたものもあるかもしれない。「Please Listen to My Jew Tape」では、Droogが2014年にDef JamとNo I.D.と出会ったことや、マネージメントからインディーのままでいてほしいと言われたこと、そして「自分の話題が減っていくのを見ていた」ときの心境を吐露している。また、今は亡き偉大なMF DOOMをフィーチャーした「Dropout Boogie」もあり、Blu、Mick Jenkins、Wiki、Aesop Rock、Elzhiが追加でヴァースを担当している。プロデュースは、Quelle Chris、88 Keys、Edan、Mono En Stereoが担当している。Consequenceより

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