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The La’s

1986年に結成された4人組バンドThe La’s。彼らはブリットポップ史に名を刻んだ。

1stアルバムにしてラストアルバムでもあるセルフタイトル・アルバムを残して。  

特に、5曲目の「There She Goes」は名曲だ。

一度はジャケ写を目にした人もいるだろう。

このアルバムの制作活動は1989年に入ってから始まったが、ギター/ボーカルのリー・メイヴァースが作られた曲に難色を示したり、プロデューサーと衝突したりで、アルバムがなかなか完成されなかった。  

デビューから2年経ったのにも拘らず、一向にアルバムが完成しない状況をみて、レーベル側はスティーヴ・リリーホワイトをプロデューサーに起用した。リリーホワイトは U2、Talking Heads、Morrissey、The Rolling Stonesといった名だたるアーティストの作品を手掛けてきた名匠だ。

リリーホワイトとThe La’sはレコーディングを再開するが、セルフ・プロデュースを望むバンド側は、曲の出来に満足いかず、プロジェクトを途中で放棄する。それは、やはりメイヴァースらが「ナチュラルな音」にこだわり過ぎたということも原因の一つだっただろう。そのこだわりようは下の動画で分かる。  

レーベル側は既にアルバムを完成させるために多大な資金を投じていたので、結局最後はリリーホワイト一人でミキシングなどを行い、完成にこぎつけた。

しかし、The La’sはこのレーベル側の行動に不満を抱き、アルバムを酷評し、不買運動を展開した。ところが、彼らの意思とは反し、リスナーの反応は好評だった。

その後、彼らはツアーを開催したり、テレビに出演したりしたが、1991年末、ベースのジョン・パワーが脱退した。これにより、バンドは事実上解散となった。

翌年にジョンはCastという新しいバンドを結成した。彼らも素晴らしいアルバムを作った。

一方、メイヴァースはOasisなどのサポートアクトを務めたりするが、その後ドラッグを使用したり、アルコールに溺れたり、精神を病んでいた。メイヴァースは曲作りに苦労したというよりかは、納得できない出来だった「There She Goes」が予期せぬ成功を収めたことに縛られている気がする。それは、カート・コバーンが『Nevermind』の成功で、舞台がアングラからメジャー・シーンになってしまい、その「移行」によって精神を病んでしまったことに似ていると思った。ちなみにメイヴァースは作詞には困っていなかったらしい。それは下の映像で分かる。

「How do you guys write songs?」という質問に対して、「Easily」と答えている。

約10年のブランク後、2005年にThe La’sはいきなり再結成された。ライブ活動も行い、サマソニ出演のため来日もした。それからはというものの、音沙汰はないまま今に至る。  

こうしたように、生涯で1枚のスタジオ・アルバムしかリリースしていないアーティストは多く存在する。Sex Pistols、Jeff Buckley、Germs、Lauryn Hillなどもそれにあたる。彼らが出した数少ない作品にスポットを当てて、来歴を調べたうえで、改めて聴いてみるとまた違ったものが感じとれることだろう。

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