ヴィーカ・コガイさんの「スーツの男」
ヴィーカ・コガイさん(Vika Kogay)はウズベキスタンのタシュケント生まれ、モスクワ在住のアーティストでイラストレーターです。全ロシア映画大学卒業後プラスタヤ・シコーラというモスクワの画塾に4年通っていました。現在はアニメーションや、イラストをやっていて、展示にも参加しています。最近制作した「スーツの男」は、自分の中にあるジャングルを彷徨っている主人公についての絵本です。私はヴィーカさんにその絵本の創作過程とあらすじを教えて
スーツの男のモデルとなった実在の人物はいますか?
それは私ですよ(笑)。
「スーツの男」は私のビジュアル日記です。一年間で構成されていて、それぞれの画はその年の私の発見、躊躇、悩み、つまり一年のうちの特別な段階です。
そのシリーズを作るきっかけは何でしたか?
きっかけというと、画塾の課題としてジャングルを描きなさいと言われて、自分には描けないと分かったことでしたね。あの時から時々このテーマに戻って、結果になかなか満足できないまま、どんどんジャングルというテーマに夢中になってしまいました。
ある時病気になってしまって、一週間ヴェルナー・ヘルツォークのカオスのことをよく話した映画ばかりを見ていて、ジャングルは私の人生にあるカオスのいい隠喩だということが分かりました。そのあとジャングルで生き残った人についての記録映画を見て、「自分の中にあるジャングルをさまよった男はカエルのおかげで生き残った」という文章が頭に浮かびました。そのあとカエルをスーツに代えてとても速くスケッチなしで一枚めのイラストを描きあげました。そういう風にスーツの男が生まれました。
どうして日本語…?
絵本の文章は従姉妹に書いてもらった文章です。彼女は私の大親友で心の友ですよ!日本語の翻訳をすることは彼女のアイディアでした。私たちは作品中に日本語、中国語、タイ語、韓国語の文字をよく使います。私たちの意見では、それを絵の一部として使ったら、何か箱の中の箱のような秘密が現れて、また一段深い意味になりますね。日本語の漢字が一番好きです。詩のような感じがあって、とてもスタイリッシュだと思います。
その主人公のストリーは続きがありますか?
主人公の大きい絵を描いたことで、このシリーズは終わりになりました。この絵は私の生涯で一番大きな絵になりました。この絵は絵本に入っていませんが、私の親友の家で壁に掛けてあるんです:
そのストーリは完結したと思います。スーツの男を解放して、自由でからりとした世界を味わわせました。しかし、彼はいつか戻れると思います。
読者として、私はどの出来事が内容のインスピレーションになったのか分からないですが、ストーリの柔らかさを感じていて、とてもしんみりした話だと思います。そういう個人的なことを絵で語るのは難しかったですか?
はい!確かに描きづらかったですよ!気持ちを伝えることはいつも難しいですが、この絵本を作ったときは非難されることが特に怖かったですね。私の思想は単純すぎて、プリミティブだと思い込んでいました。でも、あの時私にとってその気持ちを伝えることも、周りの人にばかばかしく見えることも、大丈夫なんだということが分かったのは、とても大事でした。
ヴィカ・コガイさんのインスタ:https://www.instagram.com/vikapica/
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