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路線バスで東京→大阪10 天下の嶮

路線バス乗り継ぎ旅、現在地は東京から約80km地点の小田原駅です。

2日目朝(横浜市戸塚~藤沢)の記事は こちら
ひとつ前(二宮~小田原)の記事は こちら

※ 実際に旅したのは2020年2月で、時刻表や運賃の情報も当時のものです。

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小田原駅東口の様子。

小田原駅はJR東海道線、東海道新幹線、小田急線、伊豆箱根鉄道線(南足柄市方面)、箱根登山鉄道線(箱根湯本方面)が乗り入れている交通の要所で、箱根観光の拠点にもなっています。市の人口は20万人弱ほどですが、駅前は非常に活気があります。


以前から気になっていた町なので、少し散策してみます。

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こちらは小田原にいくつかある商店街のひとつ、「お堀端(おほりばた)通り」。1番の繁華街というわけではないものの、通行人も多く活気があります。


その名の通り、しばらく歩くと小田原城のお堀の横に抜けられます。

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写真に写っている真っ赤な橋は「学び橋」。平成4年まであった城内小学校(現・二の丸広場)への通学橋だったことから、この名前がついたそうです。


「正規登城ルート」ではありませんが、時間の都合があるのでこちら側から入ります。

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二の丸跡付近に建つのは 小田原城歴史見聞館 。2019年にNINJA館としてリニューアルされたばかりの体験型施設で、子連れや海外からのお客様に人気なのだそう。

城内には他にも「常盤木門SAMURAI館」や「小田原市郷土資料館」「小田原城動物園」が、近くには二宮金次郎を紹介する「報徳博物館」などの文化施設があります。時間があればぜひ訪れたいところです。


そして、小田原城の本丸へ。

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小田原城は戦国時代に武田信玄や上杉謙信の猛攻に耐えた「難攻不落の城」として知られています。江戸時代は小田原藩の拠点として存続しましたが、明治になると同時に廃城。現在の天守は1960年に復興されたものです。


日本を代表するお城を訪問できたところで、バスの出発時間が迫ってきたため駅に戻ります。


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▶【13台目】

13:40 小田原駅東口

↓ 伊豆箱根バス[Z] 箱根関所跡ゆき / 1200円

14:35 箱根関所跡

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小田原駅から箱根町までを1時間ほどかけて走る登山バスです。今回乗った[Z]系統はひたすら国道1号線を進むため、箱根駅伝の走路とほぼ全線で重複しています。

他のバス路線としては、2011年に完全無料開放された箱根新道(国道1号線バイパス)を経由するものや、旧東海道を通って湯本と元箱根を結ぶものも設定されています。


さて、乗客15人ほどを乗せて小田原駅を出発です。

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車内は背もたれが豪華ハイバックシート。

乗客たちは箱根八湯の風情ある町並みや、予想以上に山深い景色を見て、ため息をこぼしています。写真に赤い電車が映っていますが、小田原から小涌谷までは箱根登山電車と並走します。


車窓からちらっと見えて気になったのは 神奈川県立生命の星・地球博物館 。「地球」「生命」「神奈川」「共生」の4つの視点から、46億年の地球の歴史を紹介しているそうです。すごい並びです(笑)


そうしているうちに……。

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小田原駅から25分ほどで、箱根観光の玄関口 箱根湯本駅 を通過。

ホームには小田急30000系EXEが停車中。ロマンスカーは新宿と箱根湯本を70分ほどで結びます。


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実は訪問当時(2020年2月)には、箱根湯本から先の区間の鉄道は2019年秋の台風19号の影響で運休していました。台風の際に箱根町では日降水量922.5ミリを記録し、これは2020年8月現在で全国歴代1位の記録だそうです。

長期間の運休が予定されていた箱根登山鉄道ですが、2020年7月に全線で無事運転再開されました。


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被災状況は車窓からも少しだけ確認することができ、写真のような比較的平坦な場所でも工事が行われており驚きました。ちなみに鉄道運休の影響でバスが混雑するのではないかと心配しましたが、そのようなことはなく一安心でした。


またこの台風により北陸新幹線の長野車両基地センターが冠水被害を受けたほか、JR水郡線、上田鉄道、阿武隈急行などの鉄道、福島交通郡山支社などの路線バス事業者が被害を受けました。着実な復旧を祈ります。


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箱根湯本から、バスは30分以上ひたすら急坂を登っていきます。

小田原市街地が標高10mほどであるのに対し、芦ノ湖の湖面標高は723m。また芦の湯の近くには標高874mの「国道1号線最高地点」があり、今回の東京から大阪までのバス旅においても最も標高が高い地点になります。(箱根峠は標高846mです。)


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そしてこの路線の注意点としては、西武グループの伊豆箱根バスと小田急グループの箱根登山バスが似たような路線を運行していることがあげられます。

どちらか片方でしか利用できないフリーパス類があるほか、箱根側のターミナルも「元箱根」と「元箱根港」、「箱根関所跡、箱根町」と「箱根町港」と名前が微妙に異なり、場所も微妙に離れています。小田原駅東口のバス乗り場も別々です。

私も初めて訪問した際は、現地に着くまで2社あることに気付かなかったので、難易度は高いかもしれません。実際、バスに乗り込もうとしてきた方が乗務員さんに「その券は小田急さんのだから使えないよ」と指摘される場面も見かけました。今後利用される機会があればお気を付けください。


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そして小田原駅出発から1時間、約10分遅れで終点の「箱根関所跡」に到着。観光気分を味わえる素敵な路線でした。



せっかくなので、箱根関所を見学します。

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実は平成になってから復元、整備された新しい観光地です。NHKのブラタモリ 「#72 箱根関所」で見てから、ずっと気になっていた場所でした。


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関所に掲げられていた定め書き。

東京から丸一日かけて旅してきた身として、この関所にはとても感慨深いものがあります。江戸時代の旅人たちはどんな想いでここを通ったのだろうと、想像が膨らみます。


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見張り台から関所と芦ノ湖を見下ろして一枚。天気が良いと箱根からもよく富士山が見えるのだとか。


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そしてこちらは 神奈川県立恩賜箱根公園。明治時代に建造された「箱根離宮」の跡地で、整備された庭園が特徴的です。



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石畳の小径を抜けると……。


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有名な唱歌「箱根八里」の石碑がありました。

現在では周辺の文化財群が「旅人たちの足跡残る悠久の石畳道― 箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路」として、日本遺産に認定されています。

題名の 箱根八里 とは、東海道の難所として知られた小田原宿~箱根宿~三島宿までの区間を指すそうです。私も日が高いうちに三島方面に抜けていきます。


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▶【14台目】

15:27 箱根関所跡

↓ 東海バス[N65] 三島駅ゆき / 1040円

16:18 三島駅


箱根町から静岡県側に抜ける数少ないバスルートのひとつです。箱根発の便は9時から17時台までのため、最終が早いことには注意が必要です。元箱根港~箱根関所跡・箱根町港の区間は小田原からのバスと重複しているため、どこでも乗り換えられます。


十数人の客を乗せたバスは、箱根関所からわずか5分ほどで……。

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箱根峠を越え、静岡県に突入しました!


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青春18きっぱー泣かせの静岡県ですが、バス旅人にはどんな一面を見せてくれるのでしょうか?横浜市東戸塚を出発した2日目、まだまだ先に進みます!

↓つづきはこちら




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