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路線バスで東京→大阪の旅11 箱根峠~沼津

東京から大阪まで路線バスだけを乗り継いで旅をしています。現在は東京駅を出て2日目、神奈川・静岡県境の箱根峠まで進んできました。

2日目朝(横浜市戸塚~藤沢)の記事は こちら
ひとつ前(小田原~箱根)の記事は こちら

※ 旅をしたのは2020年2月で、時刻表や運賃の情報も当時のものです。

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「箱根関所跡」からバスに乗り込んでから5分ほどで、県境をまたいで静岡県函南町(かんなみまち)に入りました。箱根山を昔に「函根山」や「函嶺」と呼んでいたことに由来する地名です。

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▶【14台目】

15:27 箱根関所跡

↓ 東海バス[N65] 三島駅ゆき / 1040円

16:18 三島駅

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標高846mの箱根峠から国道1号線をひたすら下っていきます。写真のように、旧道側に集落があればそちらに入ります。


この場所を通ったのは2月19日だったのですが、その3日後にバイパスが全線開通したようです。記事に書かれているように観光振興につながるかは疑問ですが、集落の安全向上や騒音の軽減につながるのは良いですね。



バスは日本百名城のひとつである山中城跡や2015年にできた新しい観光地である三島スカイウォークで客を拾いつつ、さらに急坂を下ります。


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先ほど「山道」と書きましたが、かなり高いところまで田畑が拓かれており眺望は抜群です。

夕陽が反射して眩しい駿河湾と、山がちな印象を受ける伊豆半島。


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山の稜線付近まで農地が広がっていることがわかります。



バスはぐんぐん標高を下げて、箱根駅から45分ほどで三島駅に到着しました。

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運賃は1040円と少しお高め。1100円分使える回数券が車内で1000円で販売されていたので、購入してその場で使いました(笑)

ちなみにICカードは未対応でした。


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駅前の様子。三島は東海道新幹線の駅もある大きな街です。

三嶋大社の門前町として発展した歴史を持ち、かつては伊豆国国府も置かれていました。


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韮山、修善寺方面に向かう伊豆箱根鉄道。帰宅途中の学生さんたちで賑わっています。


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銀行はスルガ銀行、ICカードはTOICAというように、景色のあちこちから文化圏が変わった印象を受けます。

三島の街もゆっくり見たいところですが、まだまだ先に進みます。


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次のバスの行先は5kmほど進んだ沼津駅。複数のバス会社が別々の経路で運行していますが、今回時間が合ったのは伊豆箱根バス便でした。東海バス便なら先ほど購入した回数券が使えたので少し残念。


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▶【15台目】

16:30 三島駅(6のりば)

↓ 伊豆箱根バス[沼52] 沼津駅ゆき / 400円

17:03 沼津駅


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 この便は御殿場線の大岡駅を経由するルートを取ります。何度も線路と交差するのが印象的で、加藤学園付近の狭隘路では反対方向のバスと無線で連絡を取りながら離合する姿も見られました。


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バス車内の様子。運転士席のうしろに 加藤学園高校 の甲子園初出場を祝うポスターが貼られています。

3月のセンバツ高校野球は中止になってしましたが、夏の代替試合では見事勝利を挙げられました。ローカルな路線バスでしか見ることのできない掲示がいいですね。


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そしてバスに揺られること30分、沼津駅に到着です。

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旧国名で言うと駿河国に入っています。


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駅前の様子。沼津市の人口は20万人ほどですが、商圏人口では100万近い規模を誇ります。

沼津ラクーン(旧西武百貨店沼津店/2013年閉店)や250mのアーケードがある仲見世商店街など、商業都市としての名残りが見られます。


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そして沼津と言えば、港町のイメージを持つ方が多いでしょう。生シラスやアジの干物といった水産物が有名なほか、沼津港深海水族館や伊豆三津シーパラダイスへの観光拠点となっています。


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路線バスも様々な方面に出ているようです。

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そして次のバスの乗り場を確認。西の富士市方面へは富士急シティバスという会社が運行しています。


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シャッターが下りたビルの前からバスが出ていますが、これは「富士急百貨店」の建物なのだそうです。現在は1階の一部店舗以外は営業していません。

バス乗り場が確認できたので、出発時間まで待ちます。


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夕食をとっているうちに外は真っ暗になりました。


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バス乗り場は先ほどより不気味な雰囲気です。帰宅途中の方々に交じって列に並びます。


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▶【16台目】

18:10 沼津駅(富士急2のりば)

↓ 富士急シティバス[根方線] 東平沼ゆき / 550円

18:49 東平沼


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沼津駅から愛鷹山麓の根方街道を通って、富士市との中間付近の東平沼バス停まで向かう路線です。明治資料館前付近から道幅の狭い旧街道を進みます。

かつては沼津駅~東平沼~吉原中央駅~富士駅の直通便がありましたが、2019年10月ダイヤ改正以降、東平沼で分断されました。


また沼津から海沿いを経由して富士市へ向かう路線も、現在は東田子の浦駅での乗換が必要です。

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バス停の時刻表。東平沼までは毎時1本程度の本数が確保されています。


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帰宅ラッシュの時間帯ということでバスは20人ほどの乗客を乗せて発車。

しかし途中の ららぽーと沼津 までにほとんどの乗客が下車してしまい、終点まで乗っていたのは私ともう一人の方だけでした。


暗くて外の景色はほとんど見えませんでしたが、沿線の根古屋付近には 北条早雲旗揚げの城として名高い 興国寺城跡 があるそうです。


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終点の東平沼バス停。

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東平沼は農地と住宅が交じりあう静かな集落です。周囲にはコンビニの一軒もなく真っ暗で、次のバスを待つ以外にすることもありません。

待合所の椅子に座ると、隣に置かれた自動販売機の音と、少し遠くに東名高速道路を走る車の音だけが聞こえます。


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写真左奥に写っている光の線は、東海道新幹線の窓の明かりです。

あの乗り物に30分ほど前まで東京や横浜にいた人たちが乗っていると思うと笑ってしまいます。東京駅を出てから丸一日、そして朝に横浜を発ってから12時間以上、ここまでの旅が思い起こされます。


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小さなバス転回場から最終バスが出発するまであと5分です。

つづく。



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