TELEVISION
TELEVISIONというバンドをご存知だろうか?1970年代のアメリカのバンドでよくN.Y.パンクの文脈で語られるバンドである。オリジナルアルバムの『Marquee Moon』(1977)、『ADVENTURE』(1978)の2作を残して解散し後に再結成。1992年に『TELEVISION』を発表。再度活動を停止するが2001年に再々結成され現在に至る。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズといったバンドが引き合いに出されるが、文学的な歌詞と陰鬱とした世界観を特徴とする。特にトム・ヴァーライン(vo.gu)とリチャード・ロイド(gu)の2本のギターが織りなす冷たく且つ官能的なプレイは我々を魅力する。研ぎ澄まされた、今にも壊れてしまいそうな危うげさを含んだ繊細な美がそこにある。
❙『Marquee Moon』(1977)
ファーストアルバムから彼らの代表曲である♯4「Marquee Moon」を聴いていただきたい。10分38秒という長尺の曲だが、張った糸が切れてしまいそうな緊張感溢れるプレイに没頭してしまう。
乾いたギターのイントロが印象的で、どこか神経質なヴォーカル、シンプルだが飽きの無いリズムが曲を進行させる。
特に中盤から後半にかけて、4:28から始まる艶かしさすら覚えるギターソロは圧巻。痙攣しているような音色のギターは唯一無二。緊張感がピークに達した8:50あたりの〆のプレイは堪らない。
❙ADVENTURE(1978)
セカンドアルバムは当時、評論家から酷評されたらしいが、聴く限り少し明るさとゆったりとした曲が増えた印象がある程度でTELEVISIONらしさは十分に味わえる。
このアルバムからは♯6「The Fire」をオススメしたい。幻想的かつ慕情感、どこか寂しさも覚える1曲。日本で言えば青森の雪降る中、ひとり佇むような。この曲も後半のギターソロが好きで、独特の痙攣しているような音色が響き渡っている。
❙『Television』(1992)
再結成後のサードアルバムからは#1「1880 Or So」をオススメしたい。前出の曲と比べるとテンポも速くどこか明るさも感じる。上質なギターロックを聴かせてくれる。
❙Live at the Old Waldorf(2003)
78年のライブを収録した作品も紹介しておきたい。ライノから限定枚数で発売されたものだが今では音楽配信サービスによって容易に聴けるようになった。
ここでは#6「Little Johny Jewel」を薦めたい。1975年のシングルでアルバム未収録曲(後年の『Marquee Moon』のリマスターCDにボーナス・トラックとして収録)なのでSpotify上ではライブ盤でしか聴けないというのもある。
11分と長尺の曲で淡々とした曲ではあるが、ミニマルさも相まって静かなる情熱を魅せ、ギターソロでそれが堰を切ったように溢れ出す。
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