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【悲報】ワイ、「激務耐性」の獲得に失敗する

現在、専らコワーキングスペースで仕事をしている。空いている席を確保しパソコンを広げ、ひたすら文章を書く日々だ。

私のような「社会のレール」からドロップアウトした人間のみならず、サラリーマンの利用者もたくさんいるのだが、最近「コワーキングスペースを使うサラリーマンは激務マンが多いのではないか」と思うようになった。

完全フルリモートで快適に働いてそうな人ももちろんいるが、会社で仕事を終わらせられず、仕方なく夜中にやってくる雰囲気の人も少なくないのである(おそらく残業規制などで遅くまで会社にはいられないのだろう)。

そんな激務系サラリーマンの中でも、ドン引きするレベルで遅くまで働いている人が我がコワーキングスペースにいる。
連日21時頃にやってきて、たいてい日付が変わるまで残っている(昨日は1時まで残っていた)。

あれ、お兄さん、今日まだ月曜日ですよ。そんな働いたら金曜日まで持たないんじゃないですか?思わず心の中でそんな心配をしてしまう。

※私も普段そんな時間までコワーキングスペースにいるのだが、午前中は寝ている超夜型なので問題ない(いや、別の意味で問題ありかもしれない)。

しかもそのリーマン、恐ろしいことに土日にも頻繁に来る。
本当にいつ休んでいるのだろうか?

定時を18時と仮定して、平日は毎日24時まで、土日もどちらか1日は毎週8時間働くとすると、月の時間外労働はこんな感じ↓になる(平日を22日、土日を8日とする)。

6×22+8×4=164時間

一般に過労死ラインとされる80時間の約2倍である。

霞が関や外資系投資銀行あたりには、時間外だけで月200時間、300時間働いている化け物もいるので、それと比べたら大したことないのかもしれない。だが、世間一般からすれば約160時間でも十分レジェンドクラスである。

残業80時間程度で潰れそうになったあの頃

翻って、公務員時代の私の働きっぷりを思い返してみる。

税金の仕事をやっていたある時期、実質的な時間外が70~80時間ほどになったことがあった(「実質的」と書いたのは、残業代の対象だったのは45時間分だけだったため)。

民間でも役所でも、そのくらいの残業なんて別に珍しくない。だが私にとっては本当にキツかった。
仕事が気になり夜はなかなか眠れない。寝不足になるので仕事のミスが増える。そのため余計残業をする羽目になる。そんな負のスパイラルに陥っていた。

幸い精神の不調で仕事を休むことはなかったが、今思うと結構危なかった。まる1年間、月80時間の残業が続くならまだわかる。だが私の場合、そのレベルの忙しさは繁忙期のときだけだった。

当時の私はまだ20代半ば。一番体力があるときだ。
それなのに、たかだか数か月そんな状態が続いただけで、なんでこんなに弱ってしまうのか、自分のヘタレっぷりに心底嫌気がさした。

そんな状態を上司が見かねたのか、結局その業務は1年しかやらず、翌年同じ部署内で残業のほとんどない業務の担当に配置転換された(プチ左遷かもしれない)。

ただ、そのおかげ(?)で、かねてから興味のあった大学院進学のための勉強ができるようになったので、結果オーライと言えばその通りではあるが。

激務で「キャパ」は広げられるか

「若いときの苦労は買ってでもしろ」という言葉がある。
「若いころに激務を経験するとキャパが広がり、その後の人生が楽になる」ともよく言われる。

確かにその通りだろう。
だが、それはもともと激務耐性が備わっているからこそ言える言葉ではないのか?

現実問題、世の中には(私のように)激務に耐える能力が低い人間がいる。

たとえば生まれつき体力面で困難を抱えている人(RPGでいえばHPが低く、レベルアップしてもなかなか上がらない魔法使いタイプ)だ。これはある意味わかりやすいし、配慮もしやすい。

だが私の場合、体力面での問題はほとんどなかったと思う。

小さいころから虚弱体質とは無縁だった。風邪もあまりひく方ではなく、26歳になるまでインフルエンザにかかったこともなかった。

健康診断の数値で引っかかったことも、今まで一度もない。職場の健康診断で、医師から「全く悪いところはありません、超健康体ですね」と褒められたこともあった。

ついでに言うと、高校時代は体育会系(弱小野球部だが)である程度は鍛えられていた。大きなケガもほとんどしたことがない。今までで一番痛かったケガは捻挫である。

こんな感じで、体自体はわりと丈夫で健康なほうだ。両親に感謝しなければならない。

元体育会系で若い男性という「属性」だけ見れば、激務に耐えて当然というイメージがある。
それにもかかわらず、なぜ私は激務耐性が低いのか。端的に言えばメンタルと頭脳の問題である。

対人関係で必要以上に神経をすり減らしてしまう。公務員時代、昼間に窓口や電話対応が多いと、脳みそが干からびるような疲労に襲われていた。
気を抜くとすぐに、自分でも何を言っているのかわからなくなる。かといって気を張りすぎると、これまた発言につっかえる(コミュ障あるある)。

頭脳面ではとにかく要領が悪い。物事の優先順位をつけられない。計画的に仕事を進められない。やらなければいけないことはわかっているのだが、ギリギリになるまで寝かせて発酵状態にしてしまう。

力の抜きどころもわからない。どうでもいいことに時間をかけすぎて、大事なことに注力できないことがよくある。

あるときは同じ課の普段穏やかな先輩に「仕事の優先順位がわからねえのか!!」とブチ切れられた(その後、仕事を手伝ってくれたので非常に恐縮だった)。

またあるときは、同じ業務を担当していた後輩の女の子に「○○さん(自分)って計画的に物事を進めるの昔から苦手でしたか?と半ば呆れた口調で言われた(その後、やはり仕事を手伝ってくれたので本当に申し訳なかった)。

こんな感じで、比較的「ホワイト」と言われる地方公務員の仕事さえ、少し忙しくなった程度で満足にこなせなくなかった。民間ならなおさらキツかっただろう。

※なお、健康診断では問題なかったものの、忙しかった年はメンタルヘルス診断で引っかかってしまった。「抑うつ傾向がみられるので医療機関での受診をおすすめします」という結果が返ってきたのである(結局受診しなかったが)。

では、こうしたメンタルや頭脳の問題は努力で克服できたのだろうか。
厳しい環境で揉まれることで、キャパを大きく広げることはできたのだろうか。

答えは半分イエスで半分ノーだ。

イエスというのは、そもそも公務員として働いていなかったら、こうした問題にぶち当たらず、改善に向けて努力することもなかったからだ

世間一般の水準から見れば大した壁ではなかったかもしれないが、それでも多少なりとも悪戦苦闘した経験は現在に生きている。

ただ、もとのスペックが低いので限界はある。せいぜいスライムしか倒せなかったレベルから、ドラキーを倒せるようになった程度だ。

もう半分のノーというのは、「持って生まれた激務耐性は人によって大きく異なる、そして越えられない壁がある」という現実を知ったからだ。

地方公務員の世界でも、激務耐性の高い人たちがいる。
彼らは体力はもちろん、強靭なメンタルも優れた頭脳も兼ね備えている。

財政課などの激務&出世コースに乗るのはこういう人たちだ。
私は税金の仕事で疲弊した経験から、逆立ちしても敵わないと悟った。

何かの間違いでこうしたコースに乗っていたら、確実に潰れていただろう。前述の激務系サラリーマンのような働き方をしていたら、1週間でベッドから出られなくなる自信がある。

おそらく人それぞれ、もともと内蔵している「激務耐性ハードディスク」の容量が異なり、後から頑張って外付けHDDを取り付けても、本体容量が大したことなければ拡張できるレベルに限界があるのだろう。

おわりに―でも、好きなことなら耐えられる?―

だが人間は不思議なもので、好きなことなら多少無茶な働き方でもなんとかなってしまう。

私の場合、それが「書く」ことだったようだ。

今日も、こんな誰も読まない文章を徹夜で書いている。スイッチが入るとどうしてもやめられない(え、もう朝の9時半⁉)。

夜通しここに文章を書いたところで、一銭にもならない。普通の人にとっては苦行に違いないだろうし、(強制されたら)メンタルをやられるかもしれない。

だが、私は誰に言われるでもなくこんなことをやってしまうのである。理由はもちろん、好きなことだからだ。

ただし、自分にとって苦ではない「書くこと」だけをやっていたとしても、1日平均で13,4時間以上稼働することはどうしてもできない(週休2日と仮定して月100時間以上の時間外に相当)。

仮にそのくらい頑張れていたら、今頃noteもブログの記事ももっと充実していただろう。

たまーに今日(昨日?)のように、もろもろの仕事を合わせてほぼ20時間くらいぶっ続けで書き続けることもあるが、そうすると翌日の反動が大きすぎる。たぶん1日無駄にするだろう。

徹夜翌日も平気で仕事をする猛者も世の中にはいるので、やはりそのレベルの激務耐性ハードディスクは持っていないようだ。

まあ、不毛な「激務マウント」合戦に巻き込まれる心配がないので良しとしよう。おやすみなさい。

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