笑顔デザイン

求む、笑顔

 しかめっ面ばかりとすれ違うと、こちらの表情まで渋くなってしまいます。

 クルマに乗って出かけていると、対向車線のクルマやバックミラーに写るクルマの「顔」が気になります。
 最近(とはいってもここ十数年ぐらいの)流行のクルマの顔(フロントグリルやヘッドライトやバンパー含む)はキツくて強気で冷たい感じの表情が多い気がします。
 それはクルマを構成する部品をつくる技術が進歩したからだと思うのですが、ツリ目気味に配置された細くて薄いヘッドライトだったり、ホオジロザメの口のようなギンギラギンの光りものパーツだらけの巨大なフロントグリルだったり。
 街中でSFのディストピア世界に迷い込んだようなデザインのクルマがやぶにらみで迫ってくると、こちらもついつい眉間に皺を寄せてやぶにらみ的表情になってしまいます。

 クルマの表情を9割方決定するのはヘッドライトの形と大きさだと思うのですが、電球からハロゲン、キセノンと移っていき、LEDに進化したときにクルマ自体も違う生き物に進化してしまったように感じました。
 その進化は機能面、安全面ではとても良いことだと思うのですが、精神面、感情面では良いことばかりではないような気がします。ただでさえイライラする渋滞で渋面ばかりに囲まれていたらイライラが増すばかりですし、オラオラ顔に後ろからせっつかれたら辟易してしまいますから。

 ではクルマのデザインを「カワイイ」側にもっていけばいいのかというと、それはちょっと違うんじゃないかと。クルマは「大人」に(実年齢ではなく精神面で「大人」に)運転してほしい、所有してほしい乗り物です。その大人の乗り物のデザインを可愛くする必要はないと思うんです。
 じゃぁレトロ風味がいいのかというとそうでもないような。ノスタルジックな雰囲気は好きですけど、アイデアの無い過去のコピーはちょっと恥ずかしい。

 そこで、「笑顔」にみえるような、「穏やかな表情」のデザインに寄せていってもらえないかなぁというのがわたしから自動車メーカーのデザイン担当者さんへのお願いです。感性やデザインの好みはひとそれぞれなのはわかっていますので全部をそうしろとはいいません。せめて「笑顔の選択肢」を残していただければ幸いなのであります。


 

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