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【キャリア開発】らせん階段理論

これまでnoteで、ビジネス開発のジャグリング理論、グループ・ジャグリング理論、情報のピラミッド理論、心体技のピラミッド理論、コミュニケーション手段の階段理論、そしてわらしべ長者理論、を記してきましたが、情報通信・IT業界という一つの業界で長く働いてきた中で実感した、最も新しい理論が、らせん階段理論です。

人生もそうですが、キャリア開発は、長い階段を一歩一歩前に進んでいくイメージを持っているかと思います。時にはその一段はとても大きく、時には一段上がる手前に大きな壁が立ちふさがっていたり、時には大きな落とし穴が開いていたり。また、その階段を駆け足で登る人もいれば、ゆっくり、一歩一歩、でも高く登る人もいたり。色んな例えができるかと思います。

そこで、この階段のイメージを、大きならせん状の階段だとイメージしてください。その階段をイメージしながら、以下の説明をお読みください。

らせん階段のイメージ

1.階段は真っすぐではない

仕事や人生そのものを前(上)に進む階段は、らせん状にグルグルと回っています。そうですね・・一回転が7~10年くらいのスパンの階段。広ーい一回転なので、歩いているときは、真っすぐに前に向かって歩いているつもり。でも、実は上から見たらゆっくりとグルグルと回っているイメージ。

2. 歩むにつれて上方に伸びていく

一歩一歩、一段一段歩むにつれて、一人一人の階段は上方に伸びていきます。それが、仕事能力や人としての成長であり、キャリアの積み重ね、と言えるものです。途中で不正や犯罪を犯すなどして、人としての道を外れた行為をすると、下に落ちてしまったり、せっかく伸びたらせん階段が縮んでしまったりします。

3. 元いた場所に戻ることがある

この人生のらせん階段を上から眺めた時、まっすぐ歩いていると思っている自分の位置が、何年も前にいた場所に戻っていることがあります。すなわち、元の会社や部署に戻ったり、一度は離れた職種にまた戻ったり、転勤していた地方から久しぶりに本社勤務に戻ったり。
でも、重要なことは、全く同じ場所ではなく、一周回って上の階段、すなわち、高いレベルにいるということです。同じ会社、同じ職種、同じ本社で勤務していても、そのレベルが違う。一周(7~10年)の経験を経て、成長した姿で、同じような業務にあたっているのです。誰でもそんな経験があると思います。

4. 過去の経験が活かされる

そして、だからこそ重要なポイントが、この時には、過去の成功体験が活かされる、過去の失敗からの学びが活かされる、ということです。一周り成長しているので、何かしらの壁(困難、難題)にぶち当たった時、過去に似たような経験を重ねているので、初めての経験ではありません。比較的容易に対処できるのです。そしてまた新しい困難に遭遇する。それを乗り越えると、いつかまた同じ場所に戻ったときに、デジャブのように思い出して、乗り越えられる。・・が繰り返されるのです。

5. らせん階段は交錯する

この一つのらせん階段を一人のビジネスパーソンの人生、キャリア、と想像した時、同時にこの階段が多数、人の数だけあると想像してみてください。ある二人の階段が、グルグル回りながら上方に伸びていく。それらを歩む二人は、遠くに離れることもあるけど、ある時、位置的にも高さ的にも同じ場所を歩む、すなわち、二人が交錯することがあります。
例えば、以前平社員の同僚だった人同士が、別の会社で、部長同士として同僚となる。以前小さな取引をする購買担当者とその発注先の担当者が、後に大きな取引をする営業と、逆に購買担当者として再会する。また、かつて一生懸命に育てていた(下方の段の)部下が、自ら立ち上げた会社の社長になっていた。などなど。現実的にあると思います。

6. その時には高い次元で会話ができる

このように、2人が(時には3人以上が)再会した時、お互いに話す内容は、何年も前の時よりも、高い次元、レベルの会話、仕事ぶり、取引内容、となっています。お互いに一周回って、高い階段に登っているので。残念ながら、全てのビジネスパーソンが同じ高さのらせん階段を登り詰めるれるわけではありません。稲盛さんや孫さんやジェフ・ベソスらの階段は、私には見えない雲の上の高さです。でも、自分なりの階段を、ゆっくりでも、上方に歩み続けると、1~6のような歩みができます。

7. 高い視座で世界を見れるようになっている

常に気にしてそわそわして歩むのではなく、地道にコツコツ、長く、でも、着実に歩いていくと、ふと気付くと、相当な高さになっているものです。その時に、周りを見渡すと、若いとき、レベル(階段の高さ)が低かった時とは異なる世界が見えます。より広く、より高い視野から、眺められます。見下ろす、という表現は適切ではなく。知見が広まっているとか、より未来が見えるとか、予測しやすくなっているとか、と考えてください。

実経験と照らして

実はこのらせん階段理論、オリジナルではありません。ヘーゲルの弁証法を応用解釈して論じた、「人類の未来を語る」(田坂広志著)を読んでいるときに、人生も正にその通り!と同感した時にイメージできました。
実際の自分自身の経験と照らすと、、

1. 通信会社を行ったり来たり

第二電電を辞めて、AOLジャパンに転職したら、正にその入社した日に社名がDoCoMoAOLとなってしまい、ライバル企業の系列に転職した形となった。しばらくして、AOLが買収されたが、その買収元企業は、元DDIの創業者やマネージャーらが起業した会社で、皆さん知り合いだった。そこを辞めて、またDoCoMo系列のNapsterに転職した。幸運にもGoogleに入社した後、KDDI、DoCoMoどちらとも戦略的なパートナーとなった。かつ、両社ともに役員レベルが交渉相手となっていた。

2. 職種をグルグル

大学は情報科学科を出て、キャリアスタートはエンジニア。でも、ひょんなことから営業に職種チェンジ。資格取得をきっかけに、技術系部門のマネージャーとして転職に成功。その後、経営情報システム部やコンテンツの部長を務めた後に、営業と技術の中間のような仕事、ビジネス開発という職種に出会い、深掘りする。10年後、全てを包括したような、経営企画という仕事をアサインされる。それまでの経験が活きることとなった。

3. 外資と日系行ったり来たり

純日本企業でスタートしたが、10年経った時に初めての外資系に挑戦。英語を克服してモノになってきたころに、日系企業に買収されてしまう。そこから外資系にまた逃げ出して、10年後、日本に恩返しがしたいと思い、また純日本企業に転職。そこで海外との橋渡し的な仕事を担うことになり、これまでの経験が活かされた。

・・・読者の方も、ご自身のキャリアを振り返ってみてください。

GenZeeの場合は、転職が人よりも多いし、職種も多々変わっており、らせん階段イメージに例えやすいです。でも、どの人も似たような経験があるかと思います。たとえ同じ会社で40年勤めていても、部署が変わったり、勤務地が変わったり(そして戻ったり)、役職が上がったりしていると思います。また、IT業界に限った話ではないと思います。飲食業界だって、自動車業界だって、似たような話はあるかと思います。ただ、IT業界はこのらせんの回転数は他業界よりは多い(=一周のスパンは短い)かと思います。
ただ、社会人2~5年目の人にはまだこのような話の実感は沸かないと思います。でも、このイメージを持って、日々業務に取り組み、転職のチャンス、昇進のチャンス、異動の機会があった時には、勇気をもって踏み出せるのではないかと思います。

ご参考になれば幸いです。


以上、ここまでお読みいただきありがとうございます。
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