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ブランクーシ展

美術館に行っているのに記録をつけ忘れてばかりなので、少しずつ感想など書いていきたい。
三日坊主にならないようにしたい……。
アーティゾン美術館はありがたいことに予約すれば学生無料。貧乏学生には本当にありがたい。
インスタなどで写真映えするおしゃれスポット扱いされているのにはすこしウンザリするけれども、学生に美術への興味を少しでも持ってもらうという点ではアクセスが良くて展示も多いアーティゾンのような美術館はぴったりだと思う。
今回はブランクーシ展。個人的にはキスしている石像(接吻)と金色のツヤツヤした女性の頭?(眠れるミューズⅡ)は見たことがあったけれどもそれ以外はほとんど知らなかったのでほぼ知識もなしの状態で見た。良かった点、面白かった点、疑問、不満に思った点をまとめていく。

良かった点・面白かった点

  • ブランクーシの作品
    前述したように箱根彫刻の森美術館とアーティゾン、そして中之島かどこかで一度ずつぐらいしかブランクーシの作品を見たことがなかったのでまとめて作品を見れたのはとても良かった。
    なんとなく受けた印象としては女性的な彫刻には丸み、男性的な彫刻には直線的要素が強いように思った。

  • 出発点
    自分が彫刻に詳しくないためわりとロダンに対して日本美術における雪舟のような印象を持っていたが、ブランクーシのように反発(?)というかあえて離れて自分の彫刻というものを作り出していった人がいることはとても面白かった。

  • 写真への向き合い方
    最初は複数点鋳造できる筈の彫刻をなぜわざわざ写真に撮っているのだろうか、そしてそれを展示しているのだろうかと思っていたが、ブランクーシ本人の撮影作品が多く、彼の写真は彫刻をただ再現するものではなく、再解釈するものだという考え方がとても面白かった。
    なんとなく自分の中には町にある彫刻だったり絵画だったりをそのまま全景を写して記録的に撮ること以外に否定的な考えがあったのだけれども、作家本人が自らの作品を撮影することで再解釈を行なっているのに少し衝撃を受けた。(作者本人だから許されるのかもしれないが。)
    また、写真家の写真が気に入らず自分で撮影を始めたというのも気質を感じられて好感を持てた。独学で写真を撮っていたっていうのもよい。

良かった作品

・ポガニー嬢Ⅱ
石橋財団アーティゾン美術館
《ポガニー嬢Ⅱ》1925年 (2006年鋳造)、磨かれたブロンズ、高さ44.8cm、石橋財団アーティゾン美術館
女性らしい丸みと柔らかみ、流れるようなフォルムが美しい作品だと思った。

アーティゾン美術館公式サイトより

・《雄鶏》1924年(1972年鋳造)、ブロンズ、92.4×10.5×45.0cm、豊田市美術館
抽象化されているけれども鳥のフォルムとしての最小単位は残されていている。少し脚が鶴のようだなと思ったが雄鶏だった。
後ろに青い背景が置かれていて彫刻に映る景色の一部となっていた。《空間の鳥》にも赤色の背景があったので意図的なものだとは思うけれども、ブランクーシの考えなのだろうか?

自分で撮影。

不満点

これを撮影して見ながら…
  • 作品のタイトルや解説が冊子にしか載っていないこと
    ブランクーシの考え方や彫刻という表現の特性を考慮したものなのかもしれないが、作品の近くには番号しか振られておらず、冊子を開いてタイトルや解説を確認しなければならないのに少しストレスを感じた。
    (抽象美術の覚醒展からしばらくアーティゾンを訪ねていなかったので、この展覧会だけではないかもしれない。コレクション展も番号だけの作品が多かった気がするし。)
    他の作者の作品も混じっている以上多少は仕方ないのかもしれないが、並んでいる作品の番号がバラバラのため、作品を見ながら冊子をパラパラとめくって探さなければいけない。H×Hのクロロみたいになっていた。
    そして中盤にあるブランクーシのアトリエを再現した白い部屋に関しては、忠実な再現を重視したのか番号が上の画像のように入り口の壁に描かれている。
    上から光で照らされていてとってもきれいな部屋なのだけれども、作品の解説を読みながらじっくり鑑賞するためには番号を控えなければならず、左手にスマホを持ち撮った画像を眺め、右手で冊子をめくりながら解説を読まなければいけなかった。
    自分はノートに考えやスケッチなどまとめながら鑑賞するスタイルなので、手が塞がってしまい困惑した。
    音声ガイドに頼ればいいんじゃいないかとという人もいるだろうけれども、映画館で映画を見るように、作品を見ているときに他のことを考えたくないのであまりスマホを開きたくないし、自分の鑑賞スピードを音声に邪魔されたくない気持ちが強いのであまり私には向いていない。
    みんなどうしているのだろう??

  • 無限柱など
    年表などで紹介されていた代表作の《無限柱》《接吻の門》《沈黙のテーブル》ついてもう少し詳しく知りたかった。
    自分で調べろって話ではあるのだけれども、作者の名前を冠した展覧会ならばもう少し説明あってもよいのかなと。音声ガイドなどにあったら申し訳ない。

    冊子はこちら↓

疑問に思った点

  • レダという作品が白鳥のような形を模していて、これはレダというよりは白鳥だからゼウスでは……?と思った。ちょっと面白かった。

  • カメラがあるほど近代の人物にしては本人のエピソードや本人の言葉での作品への考え方みたいなものが少なかったように感じた。あまり著作など残さなかったのだろうか。

  • デュシャンやその他複数人と交流があったことは紹介されていたが、お互いにどのような影響を受けていただとかそういうことをもう少し知りたい。作品の丸みを帯びたフォルムはあまり変わっていない気がするからあくまで友人関係とかだったのだろうか。

  • 作品を見ると鋳造したのは比較的最近のものも多かった。つまり鋳型が残っているということだけれども、今後その鋳型を電子データとして取り込んで、そこから鋳型を作り出して鋳造した作品とかこれからでてきそうだなと思った。

  • どうしても素人目線だと鋳造できる彫刻はたくさん展示できそうだと思ってしまう。実際たくさん鋳造するのは難しいのだろうか?直彫の作品が多いとも記述があったような気がするし、鋳型になっていないものも多いのだろうか?
    この辺りはそのうち調べたい。

追記

この段階ですでにかなり細長い…!

下の階のコレクション展は閉館時間ギリギリだったのと見たことある作品も多かったのでダイジェスト的に通り過ぎてしまったが、ジャコメッティの素描がすでに細長いフォルムになっていたのが面白かった。詳しくは知らないのでそのうちどこかで展覧会とかやってくれないかな〜。
パリのポンピドゥーセンターでもブランクーシ回顧展が同時期にやっているらしい。羨ましい行きたい……。
何かご指摘やご意見、間違えなどありましたら遠慮なく教えていただければと思います。

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