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【体験記】KUA通信イラストレーションコース卒業記念

この文章はKUAイラレコースの体験記である「海外在住で日本の通信大学のイラストコース第1期卒業生になった話」の最後の感想ページの推敲前のちょっと長いやつです。KUAイラストレーションコースの入学から卒業(2021~2023年)の体験記とその感想をつらつらと述べたものになります。

こちらのBOOTHから無料DL(もしくは卒業おめでとうの1EUR投げ銭版…1EUR149円ってマジ??)できます。

もちょっと細かく言うとこのあたりの記事とつなぎの描き下ろし漫画が数ページ、それから実際に作成したポートフォリオや卒制のプレゼンをPDFにぎゅっとぶちこんだ総まとめ本になります。

https://note.com/roua12tnt/n/nc8cd0d6c2afb
https://note.com/roua12tnt/n/n63c907cc6644
https://note.com/roua12tnt/n/n3b501b661326

コース最初の卒業生ということで、せっかくだし何か記録残しておこうかなーと思いつくりました。ちょっと胡散めのタイトルついてますが海外あんま関係ないので表紙詐欺です。

よければ入学検討中の方、在校生、全くしらないけどちょっとだけ興味ある人の参考に、または同じ卒業生の方に「あったあった」となってもらえれば嬉しいです。

念の為、個人の描き散らしなので当然ながら大学・関係各所とは一切関係なくまた内容に起因するいかなる責任も負いません。 必ず最新の公式情報を参照してください。 作品のトレスや課題としての使いまわしもやめてね。


以下はPDFでお楽しみください!

https://rouatnt.booth.pm/items/4693370

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総評:入学して良かった!

 これで私も日本のアートの高等教育の一端を経験した芸術学士となったわけです。あえて「大学」で、平たくいえば誰でも描ける「イラスト」を学ぶとは一体何なんだろうとちょっと期待していたところもあったのですが、ここに関しては実際よくわかりませんでした。特に技術面や表現の歴史的なところを体系だって学ぶという感じではなく色々触りを体験する感じの授業構成で、しかし学部ならこんなものなのかもしれません。ただとにかく「絵を楽しんで描き続けようね!」というメッセージはよく伝わってきました。私はもともと自分が最高に満足する漫画や作品がこの世に存在しないことを嘆いて筆をとり、とにかく自分のための作品を好きなように描き続けたいタイプです。そのせいかいわゆるSNS疲れや他人に比べて落ち込むみたいな感情があまりないため「なんかめっちゃくっちゃ褒めてくれるなー嬉しい!」っていうだけだったのですが、他の方が別の美大・芸大の思い出を語られている中で「酷評される」「自信をなくす」とかいうのを聞くと本当にそんな厳しい感じじゃなくてよかったと心から思います。

 その分技術的にめっちゃ鍛えられるとかいうことは(自分で頑張らない限り)ないのですが、私はこのコースが取り扱っているタイプのイラストというのはアート・芸術ではなく大量生産・大量消費のあくまで商品だと考えていますし、私が学びたいのはまさにそれで間違いないとも思います。職人の天賦の才能、一途な努力、膨大な時間と犠牲の上に成り立って人々に感動を与え、故に高付加価値がつく美術品ではなくて、安価かつ安易に大衆に広まって日々大量に消費される電子やインクの塊。これは確かに「芸術」扱いはされないでしょう。でもこのおかげで美術館に行く暇もない社畜階層のワタシの人生はとびきりかわいくてセンスのあるイラストに日々彩られ、多種多様なアニメやマンガに感動し、それが創作意欲となって毎日元気に活動できているのです。

 もっと産業として確立され洗練され、資本主義の中でチープに、そして人々にとって最も身近な消費財の一つになっていくといいなと思っています。そのためにこうして誰でも高等教育の一貫としてイラストが学べるというのは本当に素晴らしいことだなと思いました。

 今まで通信教育的なのしたことなかった(チャレンジとかも含めて笑)しCourseraとか案の定挫折しまくっていたので自分の耐性を疑っていたけどなんとか大丈夫でした。ゆくゆくはどこかでオンラインのマスター取りたいと思っているのでちょっと自信になりました。マスター挑戦するときは絶対もうちょい仕事暇にしてからにする。後色んなソフトでとりあえず学生価格試せるのはいいですね。学生証にUniversityの英語表記と西暦の有効期限があればもっと完璧でした。海外で使うのはちょっと難しいです。

 その他海外在住でも全然卒業までの問題はありませんが、Adobeリージョンの罠とかに引っかかったりするからちょっと注意は必要です。当然ですが選択できる科目は狭まります。スクーリング系はもちろん、郵送必須とかオンラインで教科書がないやつは選べません。また日本の住所は絶対必要です。これはそもそも出願の際に日本住所ある人ではっきり書いてた(はず)。リアルタイム出席が求められるもの、私が遭遇したのは卒制の全体講評くらいだったけど後で視聴可能だし週末だったし顔出しもマイクもいらんので布団の中からでも参加できました。

 システム面は完璧とは言わないけど普通に安定稼働していると思います。自分が仕事で似たようなシステム作ってるからめちゃくちゃハードル下がってると同時に勘でヤバそうな操作を避けてるバイアスあるだろうけど「いやそれは普通に仕様では…」みたいな感想をいくつか見て密かに心痛めたりしてたので…もっとやべぇシステムいっぱいあるぞ!!ちょっと古いとこはあると思うけど全然良い方だよ!!落ち着いてゆっくり操作してみてください。

 またオンラインとはいえ本当に色んな人に出会えたのが良かったです。オンラインゆえの交流や企画もあり、時差や仕事もありそこまで積極的に関われたわけではありませんがゆるゆると繋がりができたのは嬉しいかぎり。同人アカウントだと多くのフォロワーがトチ狂ってるので皆生まれた頃から限界原稿マラソンしてるのかと錯覚してしまうのですが、当然一枚を大事に描きたい人もいるしそもそも絵を描き始めたばっかりの人もいる。大学が初めての人もいるし仕事や子育てしながらの人もいる。私生活不詳の狂人ばかりから大分人間味が溢れるタイムラインになりました。多様性大事。

 一方、余計なお世話になりますが個人的にマジでゼロお絵かき経験で入るのは流石にちょっとおすすめできない気がします。ペンと紙さえあれば始められる趣味なのでとりあえずいっぱい描いて「楽し~!!」ってなるのか「うわ…だる…」てなるのか見極めてから検討しても遅くないと思う。卒業したからって就職できるタイプの専門分野でもないしお金払って手探りで飛び込むにはちょっとハイリスク・ローリターンだし、それでお絵描き嫌いになる人が出るのは寂しく本末転倒に感じます。

 二年間で劇的に何かが変わるわけでもなく相変わらず仕事して同人誌描いてイベントに出て…という趣味の生活を続けていますが、何かを成し遂げることはそのまま自信になるし、こうやって絵を描くことについて少なからず考えるいい機会にもなると思います。イラストを愛でることも描くことももっとあたりまえの世界になっていきますように。


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