ミハイル・ヴォルガノフからの手紙

ミハイルから手紙が届いた。

ミハイルとは十年以上も連絡を取っていなかったので、封筒の裏に彼の名前を見たときは、驚くより前に、これが誰なのかを思い出すのに少し時間がかかった。

ミハイル・ヴォルガノフは小学校時代からの友人である。当時はよく二人で遊び、いたずらをしては親や教師に怒られた。他にも仲の良い友人はいたが、ミハイルが一番の親友だったと言ってもいいだろう。

中学に入るとそれぞれ遊ぶ友だちも変わり、二人で何かをしたり、出掛けたりすることは少なくなった。

高校に入学すると私たちの距離はさらに広がった。このようなことは、残念ながら世の中にはよくあることだ。私は東部の高校へ行き、ミハイルは西部の高校へ行った。私たちはたまに地元の駅で顔を合わせる程度の関係になった。

ミハイルと最後に会ったのは、高校卒業直後に地元の友人十人ほどで集まったときだったと思う。

私は高校を卒業するとすぐに就職し、三年目に結婚した。その後三人の子どもに恵まれ、裕福とは言えないが幸せな生活を送ってきた。

ミハイルは高校を卒業すると外国の大学へ行った。大学卒業後は、国際的な有名企業に就職して世界中を飛び回っているらしい。これは共通の友人から聞いた話だ。

そのミハイルから今日突然手紙が届いた。いったい何の用件だろう。心当たりは全くなかった。

最初に思い浮かんだのは、友人の誰かが死んだ可能性である。友人ではなく恩師かもしれない。もしくはそれ以外の共通の知人かもしれない。だがそれをわざわざ手紙で伝える必要があるだろうか。

次に思い浮かんだのは、ミハイルが何らかの理由で私に助けを求めてきた可能性である。しかしそんなことがあるだろうか。収入は彼のほうが多いだろうし、私が彼を助けられることなどあるとは思えない。

いずれにしろ手紙を開ければわかることだ。私はペーパーナイフで封を切った。中には便箋が一枚だけ入っていた。そしてそこには驚くべきことが書かれていた。

〜完〜

めかぶは飲み物です。